篠田英朗のレビュー一覧

  • 戦争の地政学

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    4部構成になっていて、最初の英米系地政学と大陸系地政学の違いをベースに、後の3部が展開される。なので、第一部を理解する必要があるが・・・難しかった。日本語の言い回しがもう少しわかりやすければ、もうちょっと早く読み終えただろうと思った。ただ、この二つの地政学の違い(価値観の違いのようなもの)を理解すると、残りはなるほどなぁと興味深く読めた。特に、第4部の欧米以外の地域に触れている点が新鮮だった。今後の世界を立体的に理解する参考に良いと思った。
    ただ、ちょっと難しかったの…苦笑

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    2024年05月06日
  • 戦争の地政学

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    学術的には正式には成立していない地政学だが、個人的にとても関心がある。
    『英米系地政学』と『大陸系地政学』と二つの学派があるとのことだが、そのあたりの違いが、まだきちんと咀嚼でいていないけど興味深い。
    現在各地で頻発している国際紛争の原因を知る上で、歴史とともに理解を深めたい。

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    2023年11月10日
  • 戦争の地政学

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    国際政治チャンネルで地政学についてトークしているのを見て手に取りました。とりあえず地政学として大陸系と海洋系の2つの流派があるのは判りましたが、それ以上は難しい内容だったなぁと(大学の教科書ですかこれ)。
    とりあえず内陸国家が外にはみ出そうとする動きは武田信玄とか確かにあるなぁと納得してしまったり。
    とにかく難しい内容で理解しきれてないので、時間をおいてもう一度読み直したほうが良さそうです。

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    2023年11月01日
  • 戦争の地政学

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    篠田英朗(1968年~)氏は、早大政治経済学部卒、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス国際関係学Ph.D.取得、広島大学平和科学研究センター助手・助教授・准教授を経て、東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。その間、ケンブリッジ大学客員研究員、コロンビア大学客員研究員等も務めた。
    本書は、近年関心が高まり、関連する書籍も多数出版されるようになった「地政学」について、理論的な枠組み・定義を示し、地政学的見地から、近代の戦争の歴史、日本の戦争、現代世界の戦争を考察したものである。
    主な内容は以下。
    ◆地政学には2つの異なる枠組みがあり、ひとつはハウスホーファー、シュミット等による「大陸系地政学

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    2023年07月11日
  • ほんとうの憲法 ──戦後日本憲法学批判

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    憲法学者(の主流)って、英米法の世界であるアメリカ人が作った憲法を、大陸法のコンテクストで読み解こうとして遊んでる莫迦揃いだったのか!

    だまされた!

    「自衛権」は国際法上の概念だから、憲法に記載する必要が無い。それで全て終わってるんじゃねえか!

    ・9条1項は、1928年不戦条約の焼き直しであり、国連憲章2条4項を国内法で裏付けるするもの
    ・9条2項は、「国権の発動たる戦争」を否定したものであり、常に国際法に合致する形でのみ武力行使を行い、決して国権の発動たる戦争を行うことのない組織としての自衛隊は、9条2項の言う「戦力」ではなく合憲。
    ・「交戦権」はもはや現代国際法には存在しない概念。

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    2023年06月07日
  • 戦争の地政学

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    地政学:地理的事情を重視して政治情勢を分析する視点
    英米系地政学:海、分散的に存在する独立主体のネットワーク型結びつきを重視
    大陸系地政学:圏域思想、影響が及ぶ派にの確保と拡張にこだわる
    理論学派:自己充足的、自己弁護が目的化
    構造的な要因で歴史的な流れで決まる
    ラッツェル「政治地理学」→チェーレン「ゲオポリティーク」
    マッキンダー・歴史の理利敵回転軸とハウスホーファーの地政学理論
    スパイクマン・地政学理論の普遍主義とシュミット・広域圏論の地域主義
    地政学をめぐる争い≒人間の世界観をめぐる争い
    運命論的な巨大な力←何であるかをめぐる世界観の闘争

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    2023年05月07日
  • 戦争の地政学

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    最初の第一部が理論の説明でとっつきにくかったが、地政学自体は大風呂敷の議論で、英米系も大陸系も難しいものではない。

    本書の特徴的なところは、その切り口でウェストファリア以降の欧州、明治以降の日本、冷戦、ウクライナ戦争の構図、中国の一帯一路とFOIPなど当てはめて議論しているところ。

    個人的に特に面白かったのは、①日本の近代史が英米系→大陸系→英米系の地政学的施策になっていたということ。②日本は大陸に絡め取られて大失敗したが、アメリカのアフガン戦争・ベトナム戦争も小失敗だが同じということ、③中国はランドパワーではなくスパイクマンの言う両生類。ロシアとは根本的に行動原理が違う、といったあたりか

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    2023年04月29日
  • 集団的自衛権で日本は守られる なぜ「合憲」なのか

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    篠田先生の、憲法論を読んだことなければこれからでもいいかも。
    主張自体はこれまでのまとめみたいかな、と思ったが、そもそも集団的自衛権という発想が、新興国アメリカのモンロー主義からであり、ヨーロッパにはなかったというのが驚きであった。
    いわゆる孤立主義ではなく、旧世界の汚れたヨーロッパ主義でうちに絡んでくんなというのがモンロー主義。
    ヨーロッパでは大国のバランスオブパワーがルールであり、小国の主権は尊重されず、つか、喧嘩して負けるならそれは自分を押し出す主権がないのだから国ではないという発想。
    倉山先生の本ではウィルソン大統領は、稀代の悪魔ということになっているが、なるほど、こういう観点もあるの

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    2023年03月01日
  • ほんとうの憲法 ──戦後日本憲法学批判

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    本邦憲法学者による日本国憲法に対する専断をその歴史、背景、あるべき解釈も含めて鋭く解体する。

    旧帝国憲法で主流となったドイツ国法学派が新憲法への移行時にその勢力を維持すべく、本来(英)米法、国際法に由来する新憲法を強引にドイツ国法学の文脈で解釈したのがすべての捩じれの発端。

    国際法体系にはない統治権、生存権というドイツ国法学由来の概念を持ち出し、「八月革命」なる架空の概念をでっち上げ、現憲法における自衛権を制限した。

    国家を擬人化するドイツ国法学体系に基づけば生存権に裏付けられた自衛権の存在は自明と思われるが、なぜ個別的自衛権のみを許容し集団的自衛権を否定するのか。

    自らの政治力維持の

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    2022年07月10日
  • ほんとうの憲法 ──戦後日本憲法学批判

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    戦後、抵抗の憲法学は憲法の表と裏をうまく操りながら、憲法の狭い理解での解釈を定着させつつあるのだと理解した。
    憲法は国連憲章、国際法の実情を踏まえて解釈する必要がある。
    ドイツ国法学の解釈に頼ることも不適切だ。
    憲法を素直に読むことの必要性を改めて感じた。
    憲法は少なくとも一部の限られた憲法学者の解釈のために存在するわけではない。
    筆者は国際関係学中心の専門的な知見と、憲法についても独自に深い洞察を加えながら、非常に素直に憲法を解釈していると感じた。
    改憲するのかどうかは別として、憲法について議論することは有意義だ。本書をきっかけにあらゆる分野の人が憲法について再考することを祈念する。

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    2022年04月10日
  • 不安を煽りたい人たち

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    国際政治学者の篠田英朗氏と経済評論家の上念司氏の対談本。
    コロナの不安だけを煽るマスコミを尻目に「日本モデル」を冷静に評価する。日本のマスコミは政府の成果は無視し、至らないところだけを批判する。コロナだけではなく、安倍政権批判や憲法9条問題にも通じる。
    篠田氏の「国権の発動たる戦争」と国際秩序を守るための「制裁としての武力行使」は違うという理論は、伝統的な東大憲法学を超えて憲法改定しなくても、自衛権も集団的自衛権も合憲と解釈できるというのは目から鱗。憲法9条改正議論はマスコミの大ネガティブキャンペーンになるに決まっているので、憲法改正の議論と合わせ、是非この解釈もメジャーになってほしい。 

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    2021年09月28日
  • 憲法学の病(新潮新書)

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    現行憲法はアメリカが起草した。日本国民が憲法制定権力者ではない。アメリカによって作られた現行憲法は無効である。この都合の悪い事実を覆い隠すための奇妙な説が「八月革命」説。ポツダムを受諾した8月に、天皇が神意に基づいて日本を統治する神権主義から、(国民が自らの意志で?)国民主権への転換・革命が起こったと考える。p.129『ほんとうの憲法』

    ****************

    国際的にみて、かなり異様な第9条がなければ、こうした憲法論議もなかった、というか不要だったわけで、そういう意味で極めてローカルな話題であり、いくら議論に熱が入っても、どこか空しさが漂う。普遍性を持った未来志向の議論に感じら

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    2023年03月30日
  • 不安を煽りたい人たち

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    現行憲法の特に9条を国際法との整合性を切り口に解読する篠田の論理的な解釈は、伝統的憲法学者による情緒的、哲学的な説明よりもはるかにわかりやすく、納得的だ。
    今や一部の(重鎮の)憲法学者も篠田の解釈に近づいているらしい。

    コロナ状況は本来専門外のはずだが、客観的データに基づく著者たちの分析は、一部感染症専門家たちのものよりよほど説得力がある。

    権威に胡坐をかく「専門家」と視聴率を稼ぐために安易にそれに乗って扇動するマスコミは存在価値がないばかりか、社会の害毒ですらある。

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    2021年07月08日
  • 憲法学の病(新潮新書)

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    この本は憲法解釈を題材に、通説的かつ固定的な解釈に対して幅広い視点で素直に解釈することの大切さを教えてくれる。

    焦点は主に日本国憲法の前文と9条の解釈である。
    現在の日本国憲法に対する解釈は19世紀ドイツ国法学に基づいたものであり、さらには憲法学者内で独自に決めた通説が反映されている。
    一方、著者は国際政治学者として国際法や国際社会の歴史を前提に解説する。
    現在の憲法解釈がいかに狭い分野で解釈されているのか理解できる。

    憲法前文を素直に読めば、いわゆる三大原理(国民主権、基本的人権の尊重、平和主義)は自明ではない。
    ⇒たしかに、小学生か中学生の時に憲法前文は暗唱させられ三大原理が大事だと習

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    2021年05月29日
  • 不安を煽りたい人たち

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    篠田先生の憲法学の本を読んで感動した上念さんが仕掛けた対談本という感じなのかな。

    タイトルそのまま。

    武漢コロナと、憲法改正問題と、財務省への批判。

    リスクコミュニケーションのコントロールと、クレーマーの利権。
    憲法改正問題は、篠田先生の一連の本の方がもちろん詳しいが、十分にエッセンスは伝わるし、東大長谷部教授の最近の変節も知った。

    医学会にも、東大閥VS的な問題があるんだ。

    上念さん、虎八干されたのが返す返すも残念。

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    2021年03月14日
  • ほんとうの憲法 ──戦後日本憲法学批判

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    ネタバレ

    本書は日本国憲法の解釈の変遷をつぶさに読ませてくれた。
    政治の都合による解釈、憲法学者のロマン主義による解釈、それがすべてであって、憲法の精神などというのは解釈する人間の言説にすぎないと思い知る。

    この事実を見ると、現在戦われている憲法解釈、改憲論争など本当にどうでもいい感じがしてくる。ばかばかしい、としか言いようがない。
    政治に都合がよく、憲法学者が容認し、世論が同調すれば、いかなる解釈も合憲になりそうだ。

    著者が言うには
    日本国憲法は世界的に見て特別なものではない。
    もともとが国連憲章とアメリカの憲法思想に基づいて起草されたものである。
    つまり英米的な、字句に捕われないスタイルの憲法で

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    2021年03月11日
  • 国際紛争を読み解く五つの視座 現代世界の「戦争の構造」

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    世界各地で発生している紛争の背景を理論的に理解でき、読みやすかったです。

    日本では、こういった冷静な議論が少ないため、とても勉強になりました。

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    2020年07月04日
  • 憲法学の病(新潮新書)

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    法学部法律学科で憲法を専攻する学生の視点から感想を述べる。

    ゼミの夏合宿にて、総勢30名が本書の言説を多角的視点から分析したが、主に私が担当した憲法9条の解釈論(おそらく本書でいう1〜4章あたり)について、篠田氏の思考方法と、本書の内容について触れる。

    ⑴篠田氏の思考方法について
    彼は主に国際法的観点から、憲法のあるべき解釈について主張している。ことに、憲法前文の記述を独自の解釈により9条の解釈について論じている。この思考方法は、なんら憲法学者と変わらず、その作法を守っている意味で、外観は、憲法的議論としては成立している。ただ、憲法前文では、周知の通り基本的人権の尊重、国民主権、平和主義が

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    2020年01月19日
  • 憲法学の病(新潮新書)

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     国際法学の観点から日本国憲法の特に9条の成立過程を読み解く。その論理は、緻密で説得力がある。しかし、一方的すぎる。
     憲法学が東大の学者中心のヒエラルキーで成り立っていることや、宮沢、長谷部、(今をときめく)木村などの見解に論旨不整合ないし不充分な点があることも事実だろう。国際法的視点から現在の憲法学の主流の解釈がおかしいこともよくわかる。しかし、それでも憲法学の大勢が、国際法とは異なり、一切の戦力放棄あるいは集団的自衛権は違憲だが個別的自衛権は合憲という解釈を(無理をしてでも)主張してきた重みが軽視されている。「国際法からみるとこうなんですよ。」というスタンスであったなら、本書は(著者から

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    2019年12月15日
  • 憲法学の病(新潮新書)

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    九条を中心とする我が国の憲法解釈が何故、どのように歪んでいったかを明確に解析してくれる。

    学者がイデオロギーを持ってはいけないとは思わないが、イデオロギーを正当化するために学説をいじるのは禁じ手だろう。

    とはいえ、憲法学者以外にも歴史学者、社会学者など、他国にもそういう似非研究者はあまたいそうだが。

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    2019年12月05日