篠田英朗のレビュー一覧
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最初の第一部が理論の説明でとっつきにくかったが、地政学自体は大風呂敷の議論で、英米系も大陸系も難しいものではない。
本書の特徴的なところは、その切り口でウェストファリア以降の欧州、明治以降の日本、冷戦、ウクライナ戦争の構図、中国の一帯一路とFOIPなど当てはめて議論しているところ。
個人的に特に面白かったのは、①日本の近代史が英米系→大陸系→英米系の地政学的施策になっていたということ。②日本は大陸に絡め取られて大失敗したが、アメリカのアフガン戦争・ベトナム戦争も小失敗だが同じということ、③中国はランドパワーではなくスパイクマンの言う両生類。ロシアとは根本的に行動原理が違う、といったあたりか -
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篠田先生の、憲法論を読んだことなければこれからでもいいかも。
主張自体はこれまでのまとめみたいかな、と思ったが、そもそも集団的自衛権という発想が、新興国アメリカのモンロー主義からであり、ヨーロッパにはなかったというのが驚きであった。
いわゆる孤立主義ではなく、旧世界の汚れたヨーロッパ主義でうちに絡んでくんなというのがモンロー主義。
ヨーロッパでは大国のバランスオブパワーがルールであり、小国の主権は尊重されず、つか、喧嘩して負けるならそれは自分を押し出す主権がないのだから国ではないという発想。
倉山先生の本ではウィルソン大統領は、稀代の悪魔ということになっているが、なるほど、こういう観点もあるの -
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国際政治学者の篠田英朗氏と経済評論家の上念司氏の対談本。
コロナの不安だけを煽るマスコミを尻目に「日本モデル」を冷静に評価する。日本のマスコミは政府の成果は無視し、至らないところだけを批判する。コロナだけではなく、安倍政権批判や憲法9条問題にも通じる。
篠田氏の「国権の発動たる戦争」と国際秩序を守るための「制裁としての武力行使」は違うという理論は、伝統的な東大憲法学を超えて憲法改定しなくても、自衛権も集団的自衛権も合憲と解釈できるというのは目から鱗。憲法9条改正議論はマスコミの大ネガティブキャンペーンになるに決まっているので、憲法改正の議論と合わせ、是非この解釈もメジャーになってほしい。 -
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現行憲法はアメリカが起草した。日本国民が憲法制定権力者ではない。アメリカによって作られた現行憲法は無効である。この都合の悪い事実を覆い隠すための奇妙な説が「八月革命」説。ポツダムを受諾した8月に、天皇が神意に基づいて日本を統治する神権主義から、(国民が自らの意志で?)国民主権への転換・革命が起こったと考える。p.129『ほんとうの憲法』
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国際的にみて、かなり異様な第9条がなければ、こうした憲法論議もなかった、というか不要だったわけで、そういう意味で極めてローカルな話題であり、いくら議論に熱が入っても、どこか空しさが漂う。普遍性を持った未来志向の議論に感じら -
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この本は憲法解釈を題材に、通説的かつ固定的な解釈に対して幅広い視点で素直に解釈することの大切さを教えてくれる。
焦点は主に日本国憲法の前文と9条の解釈である。
現在の日本国憲法に対する解釈は19世紀ドイツ国法学に基づいたものであり、さらには憲法学者内で独自に決めた通説が反映されている。
一方、著者は国際政治学者として国際法や国際社会の歴史を前提に解説する。
現在の憲法解釈がいかに狭い分野で解釈されているのか理解できる。
憲法前文を素直に読めば、いわゆる三大原理(国民主権、基本的人権の尊重、平和主義)は自明ではない。
⇒たしかに、小学生か中学生の時に憲法前文は暗唱させられ三大原理が大事だと習 -
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法学部法律学科で憲法を専攻する学生の視点から感想を述べる。
ゼミの夏合宿にて、総勢30名が本書の言説を多角的視点から分析したが、主に私が担当した憲法9条の解釈論(おそらく本書でいう1〜4章あたり)について、篠田氏の思考方法と、本書の内容について触れる。
⑴篠田氏の思考方法について
彼は主に国際法的観点から、憲法のあるべき解釈について主張している。ことに、憲法前文の記述を独自の解釈により9条の解釈について論じている。この思考方法は、なんら憲法学者と変わらず、その作法を守っている意味で、外観は、憲法的議論としては成立している。ただ、憲法前文では、周知の通り基本的人権の尊重、国民主権、平和主義が -
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国際法学の観点から日本国憲法の特に9条の成立過程を読み解く。その論理は、緻密で説得力がある。しかし、一方的すぎる。
憲法学が東大の学者中心のヒエラルキーで成り立っていることや、宮沢、長谷部、(今をときめく)木村などの見解に論旨不整合ないし不充分な点があることも事実だろう。国際法的視点から現在の憲法学の主流の解釈がおかしいこともよくわかる。しかし、それでも憲法学の大勢が、国際法とは異なり、一切の戦力放棄あるいは集団的自衛権は違憲だが個別的自衛権は合憲という解釈を(無理をしてでも)主張してきた重みが軽視されている。「国際法からみるとこうなんですよ。」というスタンスであったなら、本書は(著者から -
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国際法の立場から見た、日本国憲法。
いかに国内の、んで、憲法畑の先生たちの論が、ガラパゴスなのかと。
利権構造、権威構造がここまで酷いのかと驚いた。
元々日本国憲法は英文で書かれたものを和訳したもの。原文に当たれば、不戦条約とか、国連憲章のコピペであることは一目瞭然で、であれば、それに沿った解釈をすべきではないか。
要は、国際ルールをきちんと守って、国際社会に復帰しますという約束なのだ。
それを変な思い込みに沿って解釈しようとするからおかしくなる。とことんおかしくなる。
目的のための議論。
政治家でもあるまいし。
全部受け入れて良いのかどうかは判らないけど、目的のために変節も厭わない方々だけの -
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「『複数の人間(集団)が、相容れない目的をもっているとき』、紛争は生まれる」(P14)。分析のスタートとして的確な定義だと思う。つまりそう簡単に紛争はなくならない、ということだ。では不安定なりに維持しなければならない秩序とは何か。
著者が強調するのは、世界のそれぞれの地域に「国民」が存在し、その「国民」が「国家」を形成しているというしくみ(P38)自体が、せいぜい20世紀後半に確立したものであること、このいわば「今たまたま」の国際秩序を費用対効果に見合った方法で維持できるのか、その答えは見つかっていないこと(P42)、の二点。
当たり前だが、すべてを整合的に説明できるような統一理論は社会科 -
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まさか著者も私のような無学な人間が読むとは想像していなかったのかもしれない。
IQが離れていると会話が噛み合わないと聞いたことがあるが、読みながらそれを思い出した。何を言っているのかがわからない…。読み始めた当初は最近の私の悪癖、エセ速読(内容がしっかりと頭に入っていないのに、単語を形として認識しぽんぽん読み進めていく。それでほぼ問題ないくらいの内容の本を読んできたので癖になっていた)とこの本の難しさが相性が悪かったのかもしれない。徐々にきちんと読まないとこれは理解できないぞ、となり、一語一語しっかり読むようになって少しわかるときもありました。
この本を読んで、自分が本で触れてきた地政学が -
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地政学については今でも興味を持っている分野ですが、昨年の私の59歳の誕生日を迎えるあたりに読んでいた本でいた本ですが、部屋の隅に放置されていました。
地政学の本を読んでいて楽しいのは、本文の理解を助けるために、必ず地図が出てくることですね。それも、現在の見慣れている地図ではなく、事件・戦争が起きた時の地図なので、今と国境や時代を遡れば、地形さえも変わってきますからね。読み終わって時間が経過していますので、レビューを書きながら中身を振り返りたく思います。
以下は気になったポイントです。
・17世紀までは、スウェーデンが北方勢力の代表であった、18世紀以降は、ロシアが勢力を拡大し、欧州北方に