篠田英朗のレビュー一覧

  • 戦争の地政学

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    地政学とは近代の歴史の出来事を後付けで説明したのでは?と感じる部分もありましたが、説明としては十分に納得出来るものでしたし、世界の様々な国の考え方として捉える事ができました。世界や日本の情勢を考える時のヒントになりました。

    また、今はまだ資源や民族や宗教と言った従来の地政学の延長線上のような世界ですが、これからの科学技術の発展などで資源や民族や宗教と言ったものの価値が下がった時に、我々人間はどのように考えるのだろうか?と思いました。

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    2026年02月03日
  • 戦争の地政学

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    大陸の中心部のハートランドを制したものが沿岸部のリムランドも制するのか、それとも、リムランドを制したものがハートランドも掌握するのか、シーパワーであるにも関わらずランドパワーとしての侵略を犯してしまった大日本帝国の、ランドパワーからの制圧(ソ連対日参戦)は必然なのか、地政学という定まっていない学問の中で歴史を読み解くことは非常に興味深い一方で、あまりにも変数が多いとも言える。中国という、ランドパワーもシーパワーも有する「両生類」が画策する一帯一路に、日本からインド、中東、東アフリカ世界を包含したアジア太平洋世界は対抗しうるのか、全ては何もまだ経験していないから分からないのである。

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    2025年06月08日
  • 憲法学の病(新潮新書)

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    憲法学会(憲法学者)による、組織的な日本国憲法のハイジャックを告発する本。
    日本国憲法のテキストにない言葉、原則、概念をねつ造して日本国憲法本来の趣旨を歪め、その「国際協調主義」を全否定してきた憲法学会(憲法学者)の罪は重い。

    憲法は、憲法学会(憲法学者)に任せるには重大すぎる事柄であると再認識した。

    また、9条2項の「交戦権の否定」が、そもそも現代国際法において、「交戦権は既に現代国際法で否定されている」「(個別的および集団的)自衛権を否定するものではない」
    「戦力の不保持」も、ここで対象となるのは、国際法で否定されている戦争を行うための戦力であり、自衛のための戦力の保持は何ら規制されていないと言うことを、「殺人の凶器としての刀剣」と「緩衝用に合法的に保有している刀剣」との違いというたとえでわかりやすく示している。

    憲法学者に、国民も国会議員も騙されているのである。
    この単純な事実を、著者は責任を持って広く啓蒙し続けるべきである。特に、自民党や公明党の議員に対して。

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    2025年06月05日
  • 戦争の地政学

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    そもそも地政学とは何か、
    地理的要因を基に分かりやすく解説されています。
    中国やロシアの暴走の内容について
    一帯一路政策やランドパワーの話など
    戦争に興味ない人にはお勧めしませんが、大人の教養としてあると良いものばかりだと思います。

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    2024年04月26日
  • 集団的自衛権で日本は守られる なぜ「合憲」なのか

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    読みやすい文章で、現行憲法において、集団的自衛権がなぜ合憲なのか(そして、なぜ憲法学者が嘘をつくのか)について、集団的自衛権の歴史及び日本国憲法制定の経緯から、その源流について述べている。

    日本国憲法のそこにも集団的自衛権の制約はおろか、自衛権に関する規定もない

    自衛権は国際法上の概念

    「戦争」であるが合法である、と言う行為は、現代国際法には存在しない

    「交戦権」は、現代国際法に存在している概念ではない

    この英米系立憲主義を自然な思想傾向としてもつアメリカ人が起草した日本国憲法典を、ドイツ国法学とフランス革命の絶対主権論の信奉者である2本の憲法学者は、良く理解しなかった

    国際連盟規約から国際連合憲章に至る歴史的経緯を見れば、集団安全保障と集団的自衛権が、相互補強を期待されて導入されたことは一目瞭然世ある

    違法行為によって生み出された結果を承認してはいけない

    国際秩序は、戦争を違法行為とみなす。だからこそ対抗措置である「自衛権」が正当化され、必要視される。

    NATOは人類の歴史で稀に見る平和で安全な地域を作り出し、今なおそれを維持し続けている組織である

    もともと憲法9条は自衛権を否定していないので、芦田修正はかんけいない

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    2023年08月10日
  • 戦争の地政学

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    二つの地政学の見方がどちらも妥当性を持ちつつ、現代において、するどく対峙することを説く。
    大陸系地政学(広域圏の均衡)と英米系地政学(シーパワーとランドパワーの均衡)がその二つだが、後半になるに従って、その見方の鋭さを裏付ける叙述になっている。

    台湾とインドの話しが示唆に富んでいた。

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    2023年05月01日
  • 戦争の地政学

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    毎日世界のどこかで争いが起こり大勢の市民が犠牲になっている。なぜ人は争うのか。権力争いの発展系や領土拡大欲、宗教の対立など原因は様々だ。その根本原因はそれぞれに違うだろうが、地球を海と大陸、そして流れる河や砂漠、山脈、地図の上から確認できる地形的要素を加えて、力の関係や方向性、政治を考察するのが地政学だ。ここ数年本屋で多くの書籍を見かけるようになったし、会社に訪問してくるグローバル企業のエバンジェリストの方なども、地政学の話をよくされるので、私もいくつか本を手に取り読んでみた。本書はその中でも、これまでの私の浅い知識を再整理し、言葉の意味合いや考え方のおさらいに非常に役に立つ。
    わかりやすいところで言えば、太平洋戦争時は帝国陸軍も対共産主義をベースとして大陸に向けた地政学的分析がなされていたそうだし、ナチスドイツの第三帝国思想、大英帝国がインドを植民地化した背景にはそうした地政学が影響を与えたと言われている。日本やドイツは大陸に向けた領土拡大を主目的とする大陸的地政学、イギリスは大陸と海洋のそれぞれの力関係を説く英米系地政学に分類され、現在我々がよく見かけるのは後者だ。本書はこの大きな二つの考え方の違い・国家戦略の衝突の一因と捉える。最終的には現代の超巨大経済圏を構築する中国の一帯一路に話が繋がり、地理・ジオポリティーク、ジオポリティクスの両面で現在までの変遷を理解できるようになる。
    2つの地政学を理解したのち、近代の多くの紛争発生地域を眺めてみる。内戦も多くはランドパワーとシーパワーの境界線にベルト(地帯)上に発生している。第二次大戦後の国際連合を主軸とする大国協議、冷戦終結による2大国の睨み合い終結などで紛争は抑えられてきたように思っていたが意外にもその数は増え続けているそうだ。地図上で見ると、見事に力の空白地帯や、国の求心力低下に伴う政情不安に端を発する内紛を引き金に不安定な地域に収まっている。また、近年のロシアによるウクライナ侵攻も再三のプーチンの警告を無視して、ロシアとその他の地域の緩衝地帯が崩れた事が原因なのは明白だ。そうやって地図から世界を見れば次にどこがその発生地になるかが見えてくる。我々日本にとっては目下台湾が1番気になるところだが、台湾自体の政情には注意が必要だ。だが他国だけに注意を払えば良いと言うわけではなく、巨大なシーパワー(アメリカの出先も兼ねる)として大陸ランドパワーの牽制役を担う我が国も一度不安定になれば、当然に大陸中国からの力の影響をもろに受ける事になる。
    改憲議論や沖縄基地問題、原発再稼働問題などいつ火を噴くか判らない数々の問題・課題は大陸諸国にとっては美味しい餌としか映らないだろう。
    まずは自分たちの住む国がそうした地図上の重要な役割を担い、それが政治の力によって「安定」「不安定」のいずれにも簡単にバランスを崩し、地域の不安定ひいては世界規模の不安定につながる事を、こうした書籍で理解しておきたい。
    民主国家を謳歌する人々が自ら政治に参加する意識の低いなどあり得ない。ネットやニュースに踊らされて政治を知った気になっている人達よ、先ずは身近な投票ぐらいは行ってますか?

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    2023年04月13日
  • 憲法学の病(新潮新書)

    購入済み

    日本国憲法を正しく理解したい人

    日本国憲法がどう誕生したのか、当時の国際情勢、歴史観、国際法、誕生過程から、憲法をどう読むのかを示し、日本国憲法の理解を示す。
    著者の論理構築は緻密であり、説得力に富む。常々、日本国憲法の現在までの解釈には国連憲章等と乖離がある様に思い、学生時代(法学部)より違和感を感じていたが、霧が晴れる様に明瞭になった。

    #深い #タメになる

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    2022年11月26日
  • ほんとうの憲法 ──戦後日本憲法学批判

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    「戦後日本の国体」に於ける日本国憲法がどのような歴史を辿って来たのかを著した一冊です。日本の歴代の憲法学者の主張を分析し、本当の日本国憲法とはどのように解釈すべきなのかを提言した含蓄に満ちた内容でした。日本国憲法は「国民による政府の制限ではなく、憲法規範による社会構成員全員の制限によって定義される「立憲主義」」と「国際協調主義」に基づき憲法と国際法の調和を求めていると本書は説きます。日本国憲法が既に存在していた国際連合憲章を後追い的に追認するものであるというのは、腑に落ちました。この本の発行当時は安倍総理による集団的自衛権の行使に注目が集まっていた時期だったので、終章の著者の憲法9条に於ける意見も必読です。

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    2022年09月20日
  • 国際紛争を読み解く五つの視座 現代世界の「戦争の構造」

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    国際政治 東アジアの政治的勢力均衡を通しで解説
    欧州地政学
    大学の時以来見たウォータースタインの世界システム論
    など 思考の軸を提供してもらった。
    良書と思う。

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    2021年05月21日
  • 国際紛争を読み解く五つの視座 現代世界の「戦争の構造」

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    日本人にとって他人事と思われがちな紛争について5つの理論的視座を地域とその歴史を通して対立の本質的要因を解いた本著はとても興味深かったです。正直、自分も意識的に注意しないと中東紛争など日本には関係ないと思ってしまっていた節がありました。しかし、他国(特にアメリカという超大国)と密接な関係を持ち、中国やロシアと地理的距離も近い日本こそ世界中の紛争に深く関係している事に気づかされ、事の重大さを思い知りました。今物議を醸している香港問題は米中対立や中国の東シナにおける台頭と拡張が挙げられていますがその背景にある地政学や勢力均衡、文明の衝突等の存在に文献のおかげで着眼することができました。
    本著を通して普遍化した自由主義の①留保(韓国の立ち位置によって実現される勢力均衡やマッキンダーの理論を通して知った地政学)、②挑戦(中東混乱の根底にある西洋文明とイスラム文明の対立とその解決の有限性)、そして③欠陥(西洋的国民国家制度が馴染まない上に経済的不利で国際社会で行き詰まるアフリカ)について学び、その背後に自由主義を提唱し「明白な運命」を理由に拡張と侵略を正当化し成長を続けてきたアメリカの存在がある事が大変わかりやすく繋がりました。
    そこで考えたのはまず成長と進歩についてです。アメリカの成長に対する執着は明白な運命という言葉と思想によって正当化された利己的な行動を促し、国際秩序を混乱させ世界情勢に悪影響を及ぼしてきたという点は以前から感じていました。しかし本著ではアメリカの上昇志向なくては限界を超えようとする存在が居なくなり、人類の発展をもストップさせてしまうと指摘されており、大変興味深く目から鱗でした。それもそれで困ると感じたと同時に、終盤の日本の格差問題の部分であるように「成長の限界を受け止める」事も必要なのではないかと考え、一度立ち止まって既存の問題を解決する事も成長なのではないかと思います。成長とは物事が大きくなる事と定義づけられがちですが、私は成長という言葉が持つ進歩の意味に着目すべきだと感じています。これまでは物事を大きくすればするほど新しい価値が生まれ社会は育っていました。しかし現代の世界に求められているのは拡大的な成長ではなく道徳・倫理の意味での成長、進歩なのではないでしょうか。
    次に日本の外交について論じられている「曖昧さとの折り合い」の点について考えました。2章で言及されているように外交政策を通して達成しようとする目標に一貫性を大切にし、同時に目標達成の為に臨機応変かつ柔軟な対応が必要である為、時には曖昧な態度もとることが必要だという点に同意見です。日本の外交は曖昧な故に弱腰と批判されることが多いですが、批判すべきはその態度よりも外交目標の透明性さが故に起こる「軸」の欠如だと思いました。そもそも目標が不透明なのは目標がないからなのか、何を目標とすればいいかわからないのか、もしくはその他に理由があるのかは分かりませんがこの部分を明確にしない限り日本の外交は進展しないと思います。その目標に何を設定すべきか考えさせられ、香港問題や移民・難民問題を中心に日本もイギリスのようなバランサーとしての役割を担い実行する事はできないのだろうかとふと思いました。
    また、地政学の重要さは分かったのですがその本来の意味について十分に理解できていないと感じ、更に学びを深めたいと思いました。

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    2020年06月02日
  • はじめての憲法

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    篠田先生の理論は、歴史的な経緯と国際政治の「常識」に忠実で、明快。
    随所に挟まれる質問と答えが議論を深めている。

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    2020年03月23日
  • 憲法学の病(新潮新書)

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    9条をめぐる国内の憲法学説が、いかに国際法と噛み合わないガラパゴス学説であるかを論じています。あくまで9条は不戦条約や国連憲章の焼き直しであることを強調しています。また、憲法学者ひとりひとりを章立てて批判しており、問題点を理解しやすい論じ方だと思いました。

    本書にあえて疑問を投げかけてみます。

    なぜガラパゴスではいけないのか。国際法が必ず国内法に優越することは自明ではないはずです。国内における特殊な理由があれば、ガラパゴス化そのものは非難の対象とはならないのではないでしょうか。また、もし憲法学者自身がガラパゴス現象を自覚しているのなら尚更でしょう。

    なぜ戦後に憲法学者たちが、9条の特殊性を学説でうたったのかに思いを馳せるとき、冷戦当時の戦争巻き込まれが念頭にあったはずです。戦後の国際社会は自衛権、とりわけ集団的自衛権の行使を適切に取り扱っているのでしょうか。戦後、アメリカ、ロシア、中国などの軍事的に影響力のある大国の行動は振り返ってどうだったでしょうか。国際法と集団的自衛権と国際社会に対する信頼性の検証、もしくは信頼への決意があってはじめて、国際協調主義の観点から憲法学説の神学論的一面を批判できるのだと思います。

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    2019年07月31日
  • 国際紛争を読み解く五つの視座 現代世界の「戦争の構造」

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    とても読みやすく勉強になる本だった。
    この本の前に、安保論の本を読んだ。
    その本だけ読んでいたら、言われてみればそうだ!ってことばかりだったんだけど、その後にこの本を読み、そもそもこの世界の作りを知って、安保論の世界観は未来永劫続くものではないし、そもそもこの価値観は欧米諸国主導で作られたものであって、脆いものなのだ。

    こんなことを考えながら、ニュースを見ているとかなり怖い。
    世界の中の日本、という考え方から目をそらして、私たちはこうだからって言いたくなる気持ちも分かるけれど、それじゃあ滅びるんだなぁ。

    1歳になったばかりの甥っ子の将来を案じつつ、じゃあどうしよう、ということを考える本だった。
    おススメ。

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    2018年03月24日
  • ほんとうの憲法 ──戦後日本憲法学批判

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    こういう論争を呼び込む議論を新書でしているのは、わくわくしますね!
    しかもその手法が既存の解釈に対して憲法典を忠実に読み込むことで反論とする、まるで現代の宗教改革みたいでおもしろいです。
    読後の一番の感想は、法ナショナリズムへの欲求を我慢すれば改憲の必要はないのかも、ということでした。

    本書では、戦前日本の軍事的挑戦を鑑みつくられたGHQ憲法と、当時の国際法との本来的親和性を強調します。目的は国際協調です。この議論でいう国際協調とはなにをイメージしたらいいのでしょうか。本書の筋で考えるとすれば、歴史的に見るべきでしょう。それは憲法成立時、国際法ならびに国際協調とは大戦の勝者、なかでもルーラーであった英米の考えるところのものです。過去日本は近代の超克やアジア主義などと称して、独自のルール作りや解釈をしてきたことを反省し、また反省させらたのです。戦禍を経て明治の不平等条約改正前の発想に立ち返ったのです。

    では現代において国際協調とは何でしょうか。やはり引き続き英米的グローバリズムでしょうか。中華思想的秩序でしょうか。イスラム的価値観でしょうか。またその全てでしょうか。あらゆる価値観が相対しているように見えます。
    現実日本のとっている選択肢は、英米的な法の支配という考えです。アメリカ追従とも揶揄されるそれです。多少良い言い方をするのであれば、メインストリームの国際協調にベッドしているということでしょう。本書の通り憲法の出自を考えれば当然です。そのベッドは憲法にプログラムされたものなのですから。

    戦後の憲法学は改憲でなく9条に特化した憲法解釈で、別の言い方をすれば平和主義や平和国家という本書のいう顕教で、プログラムを否定してきました。日米安保や日米同盟を密教として視界から遠ざけながら。
    しかし今、アメリカの影響力の相対的低下により、いかに顕教が密教に裏打ちされた議論であったかが露呈してしまったように見えます。密教たる日米安保のセーフティネットがあって初めて、平和主義を掲げることができたのです。そして憲法本来のプログラムを顕然化させることで、ついには密教の顕教化が進んでいる。そのように見えます。

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    2017年10月17日
  • ほんとうの憲法 ──戦後日本憲法学批判

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    日本国憲法観が一変した。学校教育での社会科、行政書士試験を通して日本国憲法を学習し、さらに数多くの集団的自衛権論を学んできた自分であったが、基本概念である「主権」や3大原理についてさえ、理解に大きな隔たりがあったとは驚きだ。また、歴史的な意図にも無知だった。芦辺『憲法』に代表される東大法学部出身者が作り上げてきた論を痛快に批判し、成功している。

    ・立憲主義とは「法の支配」の貫徹。国民主権に対しても屈することがない。
    ・紛争後の和平プロセスにおいて、あるいはもっと平常な開発援助を通じた場合であっても、大量の外国人コンサルタントによって法制度が整備されていく場面は、あまりにも日常的な風景だ。
    ・背景には、過度な日本国憲法のロマン主義的理解、あるいは20世紀国際法の過小評価がある。
    ・伝統的な英米法思想においては、絶対主義の観念が弱い。それは意識的に維持されている仕組みのためである。主権が相対化され、法の支配の原理が協調される。主権者といえども制限されるという前提の中で、チェック・アンド・バランスの均衡が確保される。
    ・「統治権」がなくなってしまったら、いったい憲法学は何に対して「抵抗」すればいいのか。
    ・自衛権というのは、どこからやってくるのか?留保も放棄も出来ないとは、どういうことか?まず、自衛権は国際法の概念である。

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    2017年09月10日
  • 国際紛争を読み解く五つの視座 現代世界の「戦争の構造」

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    5つの理論的視座を通して、地域を別にして、紛争、対立の本質的な要因を読み解く。テレビ等の時事解説や政治家の言説がいかに浅薄なものだったか、この本で思い知る。

    韓国の立ち位置、地政学の本来の意味、イスラムの混乱の本質、アフリカという国家制度がなじまない地域への視点、アメリカという成長神話を奉じる国家の限界などなどどれも目から鱗だった。

    ・国家間紛争に代わって、国家内紛争が主流になった、という言い方は、あまりに単純すぎる。
    ・米中という二つの超大国の双方が、他方に対する最善の窓口を韓国と指名するようなシナリオが韓国にとってベスト。
    ・東欧を制するものはハートランドを制し、ハートランドを支配するものは世界島を制し、世界島を支配するものは世界を制する:マッキンダー
    ・北米13州に加えて、19世紀に中南米諸国が独立したことを、20世紀にアジア・アフリカで広がった「脱植民地化」の波の先駆けの歴史としてとらえることができるかは、疑問が残る。
    ・フロンティアを求めて先住民を駆逐して国家を設立し、国家を膨張させ、そしてその後も「ニュー・フロンティア」を求めながら国力の増大を図り続けてきたアメリカは、もはや進歩する余地がないといった事態にはけっして耐えることが出来ない国である。

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    2017年08月20日
  • 国際紛争を読み解く五つの視座 現代世界の「戦争の構造」

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    歴史と理論を踏まえ、現在の世界の在り方を根源から問い直し、未来について考える良著。
    勢力均衡理論により東アジアにおける日本、中国、韓国等の関係について見たり、マッキンダー等の地政学によりヨーロッパと2つの世界大戦を見たり、文明の衝突論により中東を分析し、 主権国家という仕組みそのものの根源について見たり、ウォーラーステインの世界システム論により世界システムの周辺としてのアフリカを分析し、国民国家を主体とする現代の国際秩序そのものの根源について見たり、成長の限界という観点からマニフェストデスティニーの思想のもと成長を続けたアメリカの歴史を概観し、限界を迎えたときにどうなるのかを考えたり。

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    2016年05月10日
  • 戦争の地政学

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    地政学は、共通の世界観を持つ人々が、単なる利益計算にしたがってのみ争っているような世界だけを描写しているのではない。むしろ根本的に異なる世界観を持つ人々が、世界観をめぐるレベルにおいてこそ争っている様子を、明らかにするのである。

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    2026年05月21日
  • 戦争の地政学

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    地政学は、大陸国家は膨張したがり、周辺の海洋国家(イギリス、アメリカ、日本)は交易等の利益のためそれを連携して防止する。そこで衝突が起きるという英米型のマッキンダー理論。
    世界はそれぞれ生存圏(東アジア、スラブ中東、ユーロアフリカ、アメリカ大陸)があり、それを確立するために衝突する(ナチス、大東亜共栄圏)という大陸型のハウスホーファー理論。
    の2つに大別される。
    本書は地政学という特に日本では誤解されがちな学問を、この2つの異なる理論を使って説明する。

    マッキンダー理論が発明されたきっかけ。世界史で前列のない非白人国家との日英同盟が成立し、日露戦争が起こったことでマッキンダーが理論立てた125

    なぜ明治日本がヨーロッパのように、利害の一致する国どうしで同盟をして共通の敵と戦う、という発想を持てたのか。それは関ヶ原の戦いや薩長同盟などの経験値があったから125

    実は日本で最初、本格的に取り入れられたのはハウスホーファー理論。これを元に大東亜共栄圏が生まれた。ハウスホーファーは明治期、外交官として京都に滞在。緑龍会という秘密結社にも参加していた知日家139

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    2026年03月14日