丸山真男のレビュー一覧
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ネタバレ1961年発行だけど、ちっとも古くない。
日本における思想の特徴は”歴史的に構造化されない雑居性”にある。「神道」は、その時代に有力な宗教と習合して教義内容を埋めてきた。明治以降の近代日本は、底辺の共同体的構造を維持したまま天皇制官僚機構にリンクさせる統治技術を導入し、国家秩序の中核自体を精神的機軸(→国体)とした。近代日本は権力(国体)と恩情(伝統)との統一によって運転されてきた。従来の共同体に見られる「タコ壷」を天皇制がつないできたが、戦後は天皇制が無くなりマスコミが共通の言語・文化を作り出すようになった。日本の伝統である思想的雑居性は「全体主義」「民主主義」「平和主義」を同時に包摂する -
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1 日本思想の伝統の蓄積されないこととその理由について
さらに、それが國體との関係性でどのように国民精神を養ってきたか
2 文学を特にマルクス主義文学をモチーフに、文学、政治、科学の三点対立で考える。科学の優位から文学の優位へ
正直、ここは理解しきれず
3タコツボ的な日本社会のあり方,イメージの壁の分厚くなる傾向への鋭い批判と危機意識
その契機を、前近代にみるのではなく近代思想の取り込みの段階にみるのが面白い。
4である価値とする価値の倒錯の起きていることへの危機意識
政治はする価値であり、芸術はである価値だ、というのにハッとする
めちゃくちゃすごい。こんなことを考えられる人がいるの -
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【「文明論之概略」を読む 中】
丸山真男著、岩波書店、1986年
福沢諭吉の「文明論之概略」を丸山真男と共に読む岩波新書の第2巻。
「文明は人の智徳の進歩なり」から始まる本巻では、儒教的精神の「徳」よりも、近代的精神の「智」こそが大切なのだ、と論じている。
中でも注目したいのは、丸山が福沢の述べる「智恵」について補足している224頁ではないだろうか。
知の建築上の構造として、下記の4階層の三角形で説明している。
Information (情報):真偽がイエス・ノーで答えられるもの
I
Knowledge(知識):学問(「物事の互いに関わりあう縁を知る」by福沢)
I
Intellig -
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・日本の思想は、いつでも何かの外来文化を骨格として受け入れ、自らはその周縁で生き続けるというある種巧いやり方で生き延びてきた。これに近いものは、河合隼雄の中空構造の日本の深層でも紹介されている。
・日本の学問は、タコつぼ型で、ヨーロッパ的学問のように根幹がない。そのため、どこかで自分の学問が別の分野とつながっているという意識が弱いと語られている。専門化、セクショナリズム化して、内輪ネタの応酬になりやすいのはそのためで、大学生として、様々な学問に触れてその根幹とやらを掬い取ってみたいと大学1年生ながらに野心を持つきっかけを作ってくれた本である。 -
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大学の先生から貸していただいた本。
何日もかけて、やっと上を読み終えることができた。
福沢諭吉さんの『文明論之概略』を、
著者の丸山真男さんが解説を交えて読み進めていく本。
丸山さんが冒頭で言っているように、
この本で文明論之概略を全て網羅しているわけではないので、
これを読んだだけでその全てを理解した気になってはならない。
内容だが、序の「古典からどう学ぶか」はなかなか面白かった。
丸山さんが言っているように、日本人の古典離れは書店に行っただけで分かる。
堂々と目立つように飾られているのは「~の方法」とか、「~だけが知ってる・・・のコツ」とか、
一目見ただけで目を引くようなものが多い。中 -
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ネタバレ[ 内容 ]
『文明論之概略』は、福沢諭吉の気力と思索力がもっとも充実した時期に書かれた最高傑作の一つであり、時代をこえて今日なお、その思想的衝撃力を失わない。
敢えて「福沢惚れ」を自認する著者が、現代の状況を見きわめつつ、あらためてこの書のメッセージを丹念に読みとり、今に語りつぐ。
読書会での講義をもとにした書下し。
[ 目次 ]
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参 -
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ネタバレ[ 内容 ]
『文明論之概略』は、福沢諭吉の気力と思索力がもっとも充実した時期に書かれた最高傑作の一つであり、時代をこえて今日なお、その思想的衝撃力を失わない。
敢えて「福沢惚れ」を自認する著者が、現代の状況を見きわめつつ、あらためてこの書のメッセージを丹念に読みとり、今に語りつぐ。
読書会での講義をもとにした書下し。
[ 目次 ]
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[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参 -
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福沢諭吉の「文明論之概略」を読む読書会での講義を基に書籍化された本(全3巻)。
解説を交えながら「文明論之概略」の要点を論じており、講義内容を基にして書かれたもののため、「日本の思想」よりは丸山入門者としては非常に読みやすい。
本書はそもそも古典む意味は何なのかということについて始まり、幕末・維新期を中心に日本人の精神構造について批判し、いかにして一国の独立、文明の進歩をなすのかということについて論じられている。
思想面で日本の近代化に貢献した福澤もたいしたものだが、福澤の思想について論じられる丸山も凄いと感じた一冊。
少しかじって読んでみるだけでも得られるものは大きいので一読の価値はありなの