あらすじ
自国の独立など文明論全体のなかでは瑣々たる一か条にすぎない。だが今はその一か条にこそ賭けなければならないのだ―福沢の議論は、西洋文明の歴史と対比しつつ日本文明の伝統を描き出した上で、主権的国民国家の形成という日本国民が直面する課題へと一気につきすすむ。福沢の課題はどのような意味で今日の私たちの課題でもあるのか、またこの「概略」は福沢思想全体のなかでどんな位置を占めるのか、を明らかにして、丸山真男氏の講義は終る。
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Posted by ブクログ
途上国の発展を考える前に、日本の発展についてここまで深く考えたことがあるだろうか。我々が当たり前と感じていることに鋭くメスを当てていく様には脱帽。(丸山真男の解説もさすがによい)
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
『文明論之概略』は、福沢諭吉の気力と思索力がもっとも充実した時期に書かれた最高傑作の一つであり、時代をこえて今日なお、その思想的衝撃力を失わない。
敢えて「福沢惚れ」を自認する著者が、現代の状況を見きわめつつ、あらためてこの書のメッセージを丹念に読みとり、今に語りつぐ。
読書会での講義をもとにした書下し。
[ 目次 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
今から四半世紀前に亡くなった丸山真男が、今の世界を、今の日本の姿をどうとらえただろうかということに思いが至る。福沢諭吉の著作の購読から丸山が読み取った思想からは、現今の日本や世界がどう見えるのかをぜひ知りたいのである。
Posted by ブクログ
丸山真男 「 文明論之概略 を読む 」 ヨーロッパと日本の文明論に はじまり、日本独立論で終わる下巻。
明治維新直後の過渡期にある日本が進むべきは、人民と政府による国家体制と、外国から自国の主権を守ることであり、そのために 文明(人民の精神の発達)を進める必要があるとする論調
文明を進める際に障害となっているのは 権力の偏重。あらゆる社会関係に 権力の偏重が組み込まれているとしている
福沢諭吉 は比喩が 巧い。「一身にして二生を経るが如く、一人にして両身あるが如し」は 過渡期の日本の姿をうまく表現している
福沢諭吉の目線は面白い〜いろいろな自由が牽制しあって、どの自由も絶対的な力を持たない〜そういうところに自由がある