浅見雅男のレビュー一覧

  • 皇族誕生

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    作者は近代の皇族・華族に関する著作を多く手がけ、本書は同名の単行本の文庫化。
    国家の藩屏としての皇族達がどのように拡充され、また特に旧日本軍においてどのように優遇されてきたかが如実に表されており、勉強になる本です。
    制度を作る側にあった伊藤博文ほかの元老たちの苦悩、あるいは高松宮殿下が軍隊にあって自らへの厚遇にいらだちを強めていたさま等、かなり意外なエピソードも多く、近代皇室史を知る上では是非読むべき一冊と思います。

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    2011年10月29日
  • 公爵家の娘 岩倉靖子とある時代

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    岩倉具視の曾孫が「赤化華族」として検挙、釈放後自殺・・・
    以前から気になっていた、戦前の昭和を騒がせた事件。

    以前おもしろく読んだ、林えりこ『日本女子大桂華寮』について
    批判的な部分もあり、襟を正して読む。

    「皇族の藩屛たる華族」の制度が消えた令和の御代、
    皇族の結婚に世間は大騒ぎ・・・
    隔世の感。

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    2021年10月05日
  • 皇室一五〇年史

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    明治以降の皇室通史かと思ったのだけれど、少々違った。でも、
    これはこれで面白い。

    明治以降の皇室について「皇室典範と宮家」「皇族という人々」
    「皇室と結婚」「皇室と外国」「皇室と財産」の5章に分けて解説
    している。

    小泉政権下で女性天皇・女性宮家に関する議論が行われたが、
    秋篠宮悠仁親王殿下ご誕生で皇統継承の心配が解消されて
    から立ち消えになった。

    しかし、振り返ってみれば明治からずっと皇統への不安は常に
    存在していたんだ。

    明治天皇の唯一の皇子であった大正天皇は幼少期より病弱で
    あり、明治天皇はこれを心配されていた。だから、江戸期より
    伏見宮、桂宮(三笠宮家次

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    2017年08月24日
  • 不思議な宮さま 東久邇宮稔彦王の昭和史

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    日本の首相がコロコロと変わっていた頃、情報バラエティ番組で「戦後
    の短命内閣」に必ず出て来たのか敗戦直後の東久邇宮内閣である。

    日本の憲政史上唯一の皇族総理大臣であり、「一億総懺悔」を唱えた
    人くらいの認識しかなかった。現在と違って戦前は宮家や皇族が多く
    て覚えきれないのだもの。

    最初で最後の皇族総理大臣であった東久邇稔彦王の、総理大臣辞職
    までを描いたのが本書である。著者である浅見氏の作品はどれも饒舌
    なのだが本書もそうだ。

    稔彦王は102歳と長寿だったので、臣籍降下後までを浅見氏が描いた
    のなら、とんでもないページ数になるんじゃないか。だって、本書でさえ
    参考文献

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    2017年08月23日
  • 皇室一五〇年史

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    新書で「150年史」などというタイトルは大風呂敷を広げ過ぎであろう。内容は皇室典範、皇族の変遷、結婚、外交、財産などカテゴリー別にエピソードを集めた内容である。興味深かったのは、なぜ皇室とベルギー王室が仲が良いのかという下り。ナチスに屈服し、戦争責任を問われる立場だった父の譲位を受けたボードワン1世、そして、昭和天皇の息子である皇太子が、共に肩身の狭い立場から国際社会での地位向上を目指したという指摘はよく理解できる。江沢民に謝罪し、紀元節に反対した「赤い宮様」、三笠宮の事績もコンパクトに紹介されている。皇室にも相続税がかかり、昭和天皇の遺産は約20億円で、今上天皇が約4億3千万円を納税したこと

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    2016年05月20日
  • 皇太子婚約解消事件

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    ゴシップ的な臭いに惹かれ、野次馬根性で手にした一冊。大正天皇の婚約解消事件のノンフィクションで、こんなことがあったと初めて知りました。と同時に、平安辺りの皇族婚姻の根回しと言うか泥沼過程というか野望と言うか、そんなのも垣間見た気がして、個人的には楽しんでしまった一冊です。皇族に力を取り返すのも、中世の元気な上皇が浮かんでしまったり。今問題になってる宮家のことも、ここで種が蒔かれたか…と、興味深いところがいくつもありました。何だか古代とあんまり変わってないような気もするのだけれど。庶民には関係ないか。

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    2013年06月09日
  • 皇太子婚約解消事件

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    いわゆる宮中某重大事件のほうは知っていたがこちらは知らなかったので、非常に面白かった。
    いろいろな意味でデリケートな事柄ながら、史料に拠っていることと、著者の推測によることが明確にされていているのも好もしく、一方で読み物としての面白さ・読みやすさを損なったりはしていない。
    それにしても、皇太子妃(将来の皇后)やその候補について、周辺の人々のなんと露骨に口さがないことよ。九条家のお姫さんに対してこれなんだから…。一方、現代語訳権記を読んでいるところなのだが、周囲の思惑による后妃たちへの様々な無礼はそれこそ王朝時代も似たようなものといえるし、例えば欧州の王配たちが晒された悪口等と思うと、洋の東西を

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    2013年02月16日
  • 皇族誕生

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    明治維新後に新しく作られた宮家に関してのノンフィクション。全体としては皇族による明治、大正、昭和史といった趣になっている。

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    2011年12月04日
  • 華族たちの近代

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    華族という限られた人たちのいろいろな生き方が載っています。
    華族といっても普通の人間なので
    いろいろな事件も起こしますが特権階級ということもあって
    その醜聞は平民の注目の的になっていたのでしょう。
    最後の華族になりたくなかった人の原敬の項は特に必読です。
    原敬が華族になりたくなかった理由、
    華族になりそうになった危機。
    そして山県有朋との手に汗握る駆け引きは見事です。
    「華族誕生」と共に読まれる事をお薦めします。
    (文庫版も今は出ているようなのでそちらの方が安いですね)

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    2009年10月21日
  • 闘う皇族 ある宮家の三代

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     昭和天皇の妃・久邇宮良子女王(香淳皇后)が色覚異常の遺伝子を持っているとして、婚約解消に動いた山県有朋一派と反対派の攻防である「宮中某重大事件」の顚末と、良子女王の祖父で幕末の有力者だった朝彦親王、その子孫の邦彦王・朝融王の型破りな素行について記す。
     前半は史料の引用が多く読みにくかったが、後半はとても面白かった。著者は色覚異常云々は口実で、山県有朋や貞明皇后が問題行動の多い久邇宮家を天皇の外戚に迎えることを避けたかったのが宮中某重大事件の真相と推測する。つまり、『闘う皇族』というタイトルは痛烈な皮肉だとわかる。
     ちなみに色覚異常の遺伝子は良子女王の母方の旧薩摩藩島津家から入っておりそ

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    2021年10月21日
  • 明治天皇はシャンパンがお好き 近現代日本 歴史の横顔

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    <目次>
    酒豪の天皇、下戸の天皇
    「妻殺し」の元勲
    啄木と京助 友情の「収支決算」
    借金の達人 牧野富太郎
    文士たちのフトコロ具合
    歌会始あれこれ
    天皇の漢詩と皇族夫妻の俳句
    昭和天皇がはじめて観た相撲
    「芥川龍之介」が載っていない辞書
    「野球」と訳したのは正岡子規か
    文士がかかわった極秘資料
    西園寺公望の「ミストレス」
    DAIGOと吉田健一
    安倍晋三 世襲政治家の運命
    鶴見俊輔 父と子とべ平連

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    2021年04月01日
  • 学習院

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    京都にあった学習院が華族の為の学校として東京に開校した
    のは明治10年。

    明治維新後、公卿家族の風紀の乱れ、知的能力の低下をどうにか
    しないといけないと、宮内省所管の官立校としてスタートした。

    皇族方が通う学校とのイメージが強い学習院の、その始まり
    からの歴史を追ったのが本書。

    なのだが、紙数のほとんどが戦前のお話。現在の学習院については
    さらっと流しているので少々物足りなかった。

    ただ、学習院=華族の学校とのイメージがあったので開校当初から
    華族ではない階級の子弟にも入学が許されていたことは知らなかった。

    でも、明治の頃は日本も階級社会。明らかに華族と非華族では

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    2017年08月21日
  • 皇族誕生

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    事実の分析のためだろうが、やたらに事実の羅列が多く、読みにくい。
    最終章も、結局東久邇宮の経歴をつらつらとならべただけで、何を主張するためのものかが分からない。

    事実の集積としては立派か。

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    2012年02月03日