【感想・ネタバレ】闘う皇族 ある宮家の三代のレビュー

あらすじ

香淳皇后の実家として知られる久邇宮家。初代は明治天皇を手こずらせ、2代目は貞明皇后を激怒させ、3代目は婚約破棄事件を引き起こす。戦後、皇籍離脱したお騒がせ皇族の実態に迫る皇室ノンフィクション。

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Posted by ブクログ

 昭和天皇の妃・久邇宮良子女王(香淳皇后)が色覚異常の遺伝子を持っているとして、婚約解消に動いた山県有朋一派と反対派の攻防である「宮中某重大事件」の顚末と、良子女王の祖父で幕末の有力者だった朝彦親王、その子孫の邦彦王・朝融王の型破りな素行について記す。
 前半は史料の引用が多く読みにくかったが、後半はとても面白かった。著者は色覚異常云々は口実で、山県有朋や貞明皇后が問題行動の多い久邇宮家を天皇の外戚に迎えることを避けたかったのが宮中某重大事件の真相と推測する。つまり、『闘う皇族』というタイトルは痛烈な皮肉だとわかる。
 ちなみに色覚異常の遺伝子は良子女王の母方の旧薩摩藩島津家から入っておりそのこと自体は事実。ただし反対派は長州閥の思惑などわからずに純粋に「一度内定した婚約を取り消すなどもってのほか」との理由で抵抗した模様。だが大正天皇も最初の婚約を解消している前例がある。皇太子妃選定の話は面白い。

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2021年10月21日

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