静月遠火のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
山本弘の『世界が終わる前に』のビブリオバトルで紹介されていたので興味を持った。
乙一の『Calling You』を思い出した。
時間的・空間的に離れた相手と電話でつながってしまう話だ。
本作では、綾の世界では一哉が死んでしまい、一哉の世界では綾が死んでしまっているが、二人の間では電話がつながってしまう。
それぞれの死には不可解な点があり、その真相を探ろうとする。
全体としては、電撃大賞金賞なだけあって、よくまとまっている。
似たような世界にいて、同じ場所に立っているはずなのに相手がいないせつなさの描写もうまい。
でも、せっかくパラレルワールドを扱うなら、だんだんと2つの世界のズレが広が -
Posted by ブクログ
設定は大変魅力的で、ヒロインも可愛らしく、主人公はややウルサい嫌いがあったけれど、従兄弟くんが上手くそれを中和していて、なかなか楽しく読める作品だった。そもそも「予言」は嘘だと告げようとしたり、或いは現実になり始めた「予言」を防ぐために駆け回るも、実際に事件は起き続けて、ヒロインは自分が多重人格じゃないかとの疑いを抱き……という下りはミステリ的にもとてもわくわくした。のだけど、落としどころがちょっとありがちで、そのことが評価を大きく下げている。
もちろん、それに至る過程で何らかの推理を働かせる余地があったり、伏線が繋がっていたりすれば話は別なのだけど、それっぽいものはひとつしか無く、それす -
Posted by ブクログ
“「綾……俺はさ、もう綾に死んでほしくないんだよ。せっかく生きてる綾と話ができた、それだけで嬉しいんだ。綾にはさ、俺のことなんて忘れて幸せになってほしいんだ」
「なんでそんなこと言うのよバカバカバカバカ!!一哉がいないのに!一哉がいないのに一哉がいないのに一哉がいないのにどうやって幸せになれるって言うのよ!私は一人でも犯人を捜す、一哉の力なんか借りなくても絶対捜す!」
「無駄だってのがどうしてわからないんだよ!」
「無駄って何、一哉に私の何がわかるの!?私に何が必要で何が無駄かあなたにわかるって言うの!?」
「もういい、勝手にしろ!」
「言われなくたって勝手にするわよ!」
思い切り乱暴に通話を