静月遠火のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
哲学の次はどっからどう見ても、一分の隙もなくライトノベルです
我ながら振り幅のエグい本棚ですな( ゚Д゚)y─┛~~
本作は山本弘さんの『BISビブリオバトル部』シリーズで主人公が激推ししていたので読んでみましたよ
いやー電撃文庫やなー
いわゆるパラレルワールドものなんですな
高校生の女の子綾の楽しみは、別の高校に通う一哉との毎日の電話
恋人未満のふたりですが、ある日一哉は事故で亡くなってしまいます
一哉の通夜から帰ってきた綾に、なんと一哉から電話が!
その一哉はパラレルワールドの一哉で、しかもあちらの世界では綾が殺されていると言うのです
こっちの世界では男の子が死んでいて、あっちの世界では女の子が死んでるって
おい!
おいおい!
なんて悲しい設定考えつくんや!
こんな悲しいパラレルワールドやめてあげて!
そして、最後までがっつりライトノベルでした
うん、さらっとは読めた -
Posted by ブクログ
ホラーなのかミステリーなのかパズルなのか。
家に入りかくれんぼをすると、入ってきた人に成り代われる不思議な家。
中身も外見も変わるのに、周りから別の人と認識される。書き換えられるというのだろうか。個人が変わるだけならばと思ったけれど、自分を全く別の人ととして接せられることが怖いのか、自分ではない人を自分として接している周囲が怖いのか、何が怖いのかはよくわからない。
ただ○○の家と作中で出る単語が、人が入れ替わった途端名前が変わり、主人公も含めそれを当たり前のように会話で使うことにゾクリとする。
最後のパズルのような展開は目まぐるしすぎて理解するまでに時間がかかり、最後も感動的な展開を匂わせそうにしているのに楽しめない。 -
Posted by ブクログ
山本弘の『世界が終わる前に』のビブリオバトルで紹介されていたので興味を持った。
乙一の『Calling You』を思い出した。
時間的・空間的に離れた相手と電話でつながってしまう話だ。
本作では、綾の世界では一哉が死んでしまい、一哉の世界では綾が死んでしまっているが、二人の間では電話がつながってしまう。
それぞれの死には不可解な点があり、その真相を探ろうとする。
全体としては、電撃大賞金賞なだけあって、よくまとまっている。
似たような世界にいて、同じ場所に立っているはずなのに相手がいないせつなさの描写もうまい。
でも、せっかくパラレルワールドを扱うなら、だんだんと2つの世界のズレが広がっていって、それを上手く使うような謎解きだと面白かったかも。
こっちの世界では通れない道が、あっちの世界では通れるとか。
本作では、基本的に2人とも同じ行動をとるので、答え合わせをしてズレを認識するだけにとどまっているので、もったいない気がする。
でもそれも悩みものか。
実際のラストでは急にズレが出てきて、二つの世界の変化に焦ったし。
ところで、二つの世界に分岐する原因は何だったんだろう?
描写あったかな。
恋愛の面から見ると、あんな別れ方ではなくて、二人がそれぞれの世界で前を向いていけるような、決意を固める瞬間があってもよかったのではないか。 -
Posted by ブクログ
設定は大変魅力的で、ヒロインも可愛らしく、主人公はややウルサい嫌いがあったけれど、従兄弟くんが上手くそれを中和していて、なかなか楽しく読める作品だった。そもそも「予言」は嘘だと告げようとしたり、或いは現実になり始めた「予言」を防ぐために駆け回るも、実際に事件は起き続けて、ヒロインは自分が多重人格じゃないかとの疑いを抱き……という下りはミステリ的にもとてもわくわくした。のだけど、落としどころがちょっとありがちで、そのことが評価を大きく下げている。
もちろん、それに至る過程で何らかの推理を働かせる余地があったり、伏線が繋がっていたりすれば話は別なのだけど、それっぽいものはひとつしか無く、それすらもわざわざそこからたどり着かなくても、現実的に考えたらまずそこを疑うよね、といった内容だったりで推理と呼ぶにはいささか貧弱だと感じられたのも痛い。
最後の犯人との対決はリアリティがぶっ飛びすぎていたり、主人公の思考回路について行けなかったりで、どうにも乗り切れず結果として僕の中では評価を下げる要因となってしまった。
素材は良かったので、多少ファンタジックな要素を入れてミステリとしてまとめた方が良かったんじゃないかなと、そう思った作品だった。 -
Posted by ブクログ
“「綾……俺はさ、もう綾に死んでほしくないんだよ。せっかく生きてる綾と話ができた、それだけで嬉しいんだ。綾にはさ、俺のことなんて忘れて幸せになってほしいんだ」
「なんでそんなこと言うのよバカバカバカバカ!!一哉がいないのに!一哉がいないのに一哉がいないのに一哉がいないのにどうやって幸せになれるって言うのよ!私は一人でも犯人を捜す、一哉の力なんか借りなくても絶対捜す!」
「無駄だってのがどうしてわからないんだよ!」
「無駄って何、一哉に私の何がわかるの!?私に何が必要で何が無駄かあなたにわかるって言うの!?」
「もういい、勝手にしろ!」
「言われなくたって勝手にするわよ!」
思い切り乱暴に通話を切ると、とたんに辺りが静かになった。
私は涙を拭こうとして、片手にお菓子を握りしめたままだったことに気がついた。強く握りすぎて、月はほとんどバラバラになってしまっていた。
ティッシュの上に粉が落ちて、そのたびに胸が痛くて。
床に叩きつけようと振り上げた携帯を、そっとクッションの上に置いて、そして私は思い切り泣いた。”
綾の世界で一哉が事故死した。
だけど、通夜の晩を境に、彼女は所謂パラレルワールドの一哉と接点を持つことに。
一哉の世界では綾が誰かに殺されていた。
唯一の繋がりである携帯電話の通話を頼りにこっちの彼と向こうの彼女を殺した犯人を探す二人が見つけた真実とは。
「あ」と思わず呟いてしまうようなあっけない終わり。
後悔するにはあまりに遅すぎて、今まで続いてきた魔法が、一本の細い糸がぷっつりと切れてしまう感覚。
虚のような衝撃と、遅れて追いつく思考が終わりを告げてくる。
うー。
これは泣ける。各章の題名にも。
全ての章が綾視点だったため、「綾が自分で自分に描いていた夢のような現実逃避の作り話」と笑われてしまいそうな。
だけど、その考えには「綾がラメルと知り合えた理由」が穴を開ける。
それが、少し救われる。
向こうの一哉は一哉であって一哉ではない。
綾が向こうと途切れたときにこっちの一哉と向き合う展開は良かった。
ピヨホワイト。風邪薬。パラサイト。
複数のキーワードが繋がってひとつの答えを導き出す瞬間が良かった。
あと、二人が逃げる時の臨場感とか。
イラストも素敵。
“その笑顔を見て、涙がこぼれそうになった。ああ、なんでだろう、すっかり忘れていた。
「そう、ですよね」
<こっち>の一哉には、お通夜の日以来会いに行っていなかった。
<こっち>の一哉、私と同じ世界の一哉。私はどこかで彼の死を認めていなかったのかもしれない。仇をとると、彼のためだと言いながら、ずっと目をそらしていた。
「ラメルさん」
「ん?」
「今日だけ、泣いてもいいですか。明日からは元気になりますから」
彼女は長い髪を横に払うと、不思議そうな顔をした。
「別に今日に限定せねばならん理由もないだろう。泣きたければいつでも泣けばよい」
信号が点滅する。そうですねと言う代わりに、携帯電話を握りしめた。
そうだ、明日も泣いて、明後日も泣いて。
そしていつかまたこの電話が鳴ったときに、笑って話すことができればそれでいい。
今はまだ、その決意を口に出すこともできなかったけれど。”