森真一のレビュー一覧
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治療としてのやさしさ・予防としてのやさしさ
治療としてのやさしさは、たとえば、将来苦労しないように今は少し厳しくするという、少し昔のタイプのやさしさ。一方、現代的なやさしさは、今相手を傷つけないように努力べきというように考える。
この現代の「やさしさ」は伝わりづらい。なぜなら、現代的な「やさしさ」つまり、予防的やさしさは「~しない」という形を取ることが多いからだ。
予防としてのやさしさの例として、本書には電車内で寝たふりをする女の子の例が載っている。
”電車でお年寄りに席をゆずろうと思ったけれども、気分を害するかもしれないと考え、あえて席を譲らない。黙っていればすべて良いというわけで -
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現代の人間関係が冷たく感じる社会の性質と成り立ちを分かりやすく解説している本。
なぜこんなに窮屈な感じがするのか。見知らぬ相手を注意することはなぜいけないのか。そんな疑問が氷解していく。
また著者の考察が深く鋭い。示唆に富み、多くの気づきを与えてくれる。例えば人生の自己目的化について。昔は人生の目的は家であったり国であったりした。しかし太平洋戦争後には人生は自分の為に生きるのが普通になった。偉いのは個人。人格が崇拝された。するとその神聖な人格を傷つけることはタブーとなる。それを破って注意すると、された方は神聖な人格を傷つけられたとして逆上する。などなどなるほどと思う。
ただし、具体的な解決策は -
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タイトルから思っていた内容とはちがっていたけど、すごくよかった。
「社会はひとびとの一時的協力でできている」ということを示してもらっただけでも、なるほどと思わされた。たしかに、無縁社会っていうけど、そのときいわれている無縁っていうことばの中身を自分自身考えてこなかったし、そもそも「一定期間維持されるつながり」が自分のなかで当たり前になってた。これはたぶん、多くのひとがそう考えていると思うのだけど。
そもそも一時的協力で社会は成り立っていて、それをどうにかこうにか維持してる、そしてときにそれは失敗して社会はまわってるねんなぁと思うと、気持ちが楽になった。 -
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男性おひとりさま かまわれない自由と孤独胃うまく対処できない。かまわれない孤独を愛せないから
過去の栄光を持ち出す人は、ひとつには自分を周囲に認めさせたいという動機がある
まわりに自分をどうみせるか 社会学で印象管理という
してもらう主義 全世代にいる
自由にしたいではなく、なにもしなくてもまあなんとかしてくれる
パターナリズムになれてしまい、授業中に私語が平気でできるしてもらう主義のひとびとを私は家畜系と呼びたいと思います。大人にもいます
自ら餌をもとめない。主体性ゼロとはいわないが、飼い主に餌をもらい、育ててもらう。飼い主に守られているから的に鈍感。仲間に敏感。仲間の顔色を伺うのに神 -
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表面上のやさしさが最優先されるこの社会は,ほんとうはもっとも恐い社会ではないのか。
少しでも傷つけることを許さない集団の中にいることが,集団そのものの閉塞状態を生み,空気を読めない子を平気で排除することになる。自分だけが目立たないように平等で対等な関係のふりをしながら,ますますその集団から抜け出せなくなってくる。しかしその反面,見えない世界では,平気で人を傷つける言葉を吐く…。
最近の子どもの社会がここに描かれていて,ドッキリしました。学級崩壊も,やさしさ優先の社会だからこそ多発しているのかも…と思ったくらいです。
もう一度,じっくり読みながら,子どもたちの現状を分析してみたいと思いま -
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ネタバレお客様は神様ですと言って大事にしてあるいはスリスリした結果が今回の本に書かれているようなことが起きている。つい最近、電車に乗っていて駅で止まったまま動かなかったのでどうしたのかと思ったら、アナウンスで何とか駅でお客様対応中ですと言っていた。人身事故ならはっきり言うはずだから、乗客同士のトラブルか、駅員に対するドラブルかと思われる。
「お客様」による暴言、暴力が多いのがコンビニ、電車と著者は指摘している。イライラ、ギスギス、セカセカしている社会の中で暮らしていると、怒りの矛先が店員に向けられることが増えると言える。
学校でも生徒をお客様扱いするところが出ているというのには、驚いた。しか -
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ちくまプリマー新書は結構当たりが多い。
というのも高校~大学一・二年を対象にしているため、
非常に心を砕いて文章を書いていて読みやすいからね。
ジャケも好き。
本書は、
「お客様社会」というキーワードをもとに書かれた消費社会論。
消費社会のいいところといえば、
お金さえ払えば簡単に承認欲求が満たされる点である。
ストレス発散に買い物をするのもこの承認欲求が満たされるところが大きいような気がする。
また、
消費社会の特徴として、
「自己決定」「自己責任」というのがあげられると思う。
「日本の思想(丸山眞男)」にある「する」論理である。
しかし、
これが過度に進むと