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現代の日本社会は「お客様=神様」として扱うが、客の不満はゼロになるどころか、不満は増大し、自主性の欠如や拝金主義、暴力につながっていく。「お客様」社会の問題点と脱却法を考える。
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Posted by ブクログ
私自身も買い物するし、ファミレスで食事するし、病院、スポーツジム、美容院、、、いろんなところで「お客様」として接遇されているんだろうな。読み進めていくと「これって私のこと?」っなるサイコホラー。
内容(「BOOK」データベースより) 現代の日本社会は「お客様=神様」として扱うが、客の不満はゼロになるどころか、不満は増大し、自主性の欠如や拝金主義、暴力につながっていく。「お客様」社会の問題点と脱却法を考える。
ちくまプリマー新書は結構当たりが多い。 というのも高校~大学一・二年を対象にしているため、 非常に心を砕いて文章を書いていて読みやすいからね。 ジャケも好き。 本書は、 「お客様社会」というキーワードをもとに書かれた消費社会論。 消費社会のいいところといえば、 お金さえ払えば簡単に承認欲...続きを読む求が満たされる点である。 ストレス発散に買い物をするのもこの承認欲求が満たされるところが大きいような気がする。 また、 消費社会の特徴として、 「自己決定」「自己責任」というのがあげられると思う。 「日本の思想(丸山眞男)」にある「する」論理である。 しかし、 これが過度に進むと、 いろいろな弊害も出てくる。 それが本書に書かれていることだ。 効率化のためのマニュアルが形骸化し、 子供に対して「お煙草はお吸いになられますか」などと聞いてしまったり、 個別に柔軟な対応ができなかったり、 接客が慇懃無礼になったりしている。 他にも、 「お客様」という姿勢が消費者を傲慢にさせ、 なんでも「やってもらってあたりまえ」という受け身の態度を助長している。 またそういった姿勢は、 客の欲望を神聖視し、 欲望を満たすことは「よいこと」「正しいこと」とされ、 不満を感じさせることは「悪いこと」「不正なこと」とされる。 そうしてますます「お客様」は増長していくのである。 こうなってくると、 サービスの向上という面も、 客の期待値の向上という面で相殺、 というよりむしろ悪化してくる。 たとえサービスが良くなっていたとしても、 客の期待値が高すぎるせいで、 相対的に不満を感じてしまい悪循環するしかなくなるのである。 悪い客の代表「クレーマー」というのはこういった背景により、 自分が「助言をしている」「いいことをしている」と思っている。 さらにこれが瀰漫していき、 今では病院や教育機関でさえ「お客様」という言葉を使っている。 けれど、 そもそも病院や教育機関は、 自由経済の論理には適さない種類のものである(社会共通資本という)。 それは治療や学問が、 コストに見合った便益をすぐに得られるかどうかが分からないからだ。 まったく役に立たないかもしれないし、 少しのコストでものすごく役に立つかもしれない。 そういう振れ幅が激しいいわば水物なので、 定量化しようとすればするほど、 本来の便益を損なうことになるのだろう。 なんでもかんでもビジネスにする傾向はいかがなものかと思うね。 「ドラゴン桜」を例に出してるけれど、 ひどい漫画やな、思想的に。 「グラゼニ」は許せる、野球だから。 「ONE OUTS」大好きだし。 ここに書いたことは、 いつもどおり、だいたい内田樹先生の受け売りであります。 まぁでも、 こういった状況は昔のアメリカみたいに、 サービスを切り捨てる方向に進む気がします。 スカイマークの一件はその兆しかなと。 それはあまりいい傾向とは思えませんが。
日本を「お客様」社会とし捉え、買い物依存症、「お客様」の暴力、態度の悪い店員、職人の追放、マニュアル化などの課題について指摘している。拝金主義の「お客様」から、大人の消費者へ、そんな意識改革が必要である。
店・店員に要求するレベルが高くなり、以前は気にもしなかったようなことが苦情、クレームとして表出する「相対的不満」。教育、医療、介護の臨床にまで浸透する「お客様」社会とその素地である拝金主義。教育のとこで取り上げられてるのは、たぶん久留米大学かも。授業評価アンケートのこととか載ってるしね。
お客様という扱いが、今の日本をダメにしているということを事例をもとにして述べている本。事例を見ていると絶望的な感じになってくる。これらの根本には拝金主義があるのだと思う。拝金主義というところを視点にして、自分はどうしていったら良いか、今一度考えたいと思う。
店のみならず、病院や学校でまで「お客様」扱いされる傾向が強い中、「お客様」扱いされる消費者や、また仕事として「お客様」の相手をする側にはどのような意識を持ってどのような行動をとるのか、ということを分析した本。 学校で働く者としては、やはり学生・生徒のお客様化、が印象的だった。「してもらう主義」は...続きを読む、本当に当然のことと考える生徒も多いし、教員側も何でもしてあげて生徒に気を遣いがちだと思う。 「お客様」と呼んだり呼ばれたりするのを止めようという提案も分かるが、ここまで進行してしまっては、「お客様社会」との健全な付き合い方を考えることが賢い消費者になれるのではないかと思う。(13/02/16)
お客さんではなくお客様。 いろんな場面でお客様はいます。 そのお客様の不満はどんなおもてなしをしても 減るどころか増えるばかり。
● お客様は神様であることは確かだけど、えてして、謝られる資格の乏しい人ほど声を大にして謝罪を要求したり、本当は自分が悪いことを知っている人ほどむきになって文句を言うことが多いものです。 ● 「お客様」社会は、「不満排除システム」です。不満を徹底的になくそうとする社会です。
現代に蔓延る「お客様」扱いを、お客様扱いする方とされる方の両方から分析している。さらにその問題点や、クレームや暴行はお客様扱いするからこそ生まれることも指摘。なんとなく閉塞的な世の中を、ちょっと解明する本なのかもしれない。読みやすかった割には得るものが多くて良かった。
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