あらすじ
現代社会は「やさしさ」「楽しさ」が無条件に善いとされ、人間関係のきびしいルールになっている。しかし、それは本当に生きやすい社会なのだろうか。なぜやさしいひとばかりが増えてしまったのか。その根本から丁寧に解き明かし、しんどさやこわさをなくして気楽に生きるための智恵を探る。
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時代が変わり自己実現を重視するよう、生き方が変わってきた。しかし、①楽しまなければならない、②能力を発揮したい、という感覚が、自滅になっているという感覚は感じる。「楽しくないとだめ」は本当にどうしようもない結果をもたらしてしまうという感覚もある。本当に今はなぜか不思議なくらい、ぎりぎりのところに立ちたがると思う。読み終えたばかりなので、後日にまとめることにする。
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とくりふ読書会課題図書
いやー社会学面白い
そして今の人間関係の関心ごとにぴったり
「なんで日本人ってこうも残念なのだろう」という長年の疑問がまた一つ納得できた。
そして、うまい具合にやさしさを使えるようになろうとも考えられた。
国木田さん、ありがとう!
来週楽しみ
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内容(「BOOK」データベースより)
「やさしさ」「楽しさ」が無条件に善いとされ、人間関係のルールである現代社会。それがもたらす「しんどさ」「こわさ」をなくし、もっと気楽に生きるための智恵を探る。
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治療としてのやさしさ・予防としてのやさしさ
治療としてのやさしさは、たとえば、将来苦労しないように今は少し厳しくするという、少し昔のタイプのやさしさ。一方、現代的なやさしさは、今相手を傷つけないように努力べきというように考える。
この現代の「やさしさ」は伝わりづらい。なぜなら、現代的な「やさしさ」つまり、予防的やさしさは「~しない」という形を取ることが多いからだ。
予防としてのやさしさの例として、本書には電車内で寝たふりをする女の子の例が載っている。
”電車でお年寄りに席をゆずろうと思ったけれども、気分を害するかもしれないと考え、あえて席を譲らない。黙っていればすべて良いというわけではないということは自分にもわかっているが、相手のことを考えるとつい黙ってしまう。自分にとって黙っていることは相手に対する見えない優しさだと考えている。”
私自身、そういうところがある。電車内で少し離れた席の女性がかばんの中のものをばらまいてしまった際に、「あ、拾ってあげようかな。でも、そうやって注目されるのを恥ずかしいことだと思って嫌がるかもしれない」と考え、つい見てない振りをしてしまったことがあった。おそらく誰にでも似たようなことはあるだろう。
こうした現代的やさしさには「今」を大事にしたいという
考え方が根本にあるという。「今」気分を害さないように席を譲らなかったり、「今」恥ずかしがらせないように、見ていないふりをしたり。
予防的やさしさのすべてがなくなれば良いとは思わないが、電車内で席を譲ったりという相手を思いやってした行動がすべて否定されてしまうような社会は生きづらいものだ。
時にはつらいこともあるよ、ということを受け入れられなければ、こうした伝わりづらいやさしさは変わらないのだろうか。
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p.16やさしいきびしさ「愛のムチ」
p.18きびしいやさしさ「謝るぐらいなら、最初からあんなことをするな!」
p.20治療としてのやさしさ 注意して治す
予防としてのやさしさ 注意しない
→人に恥をかかせないのが「やさしさ」現代
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2008年の本。当時の他人に厳しい怖い社会
のことを書いたものだけど、2020年に読むと、今現在、ますます怖さが増した感がありますね。今は人権に配慮っつう政治的な正しさをもった優しさがトッピングされましたからね。勿論、人権意識が低いのは問題なんだけど、本来ならもっと前からちゃんとしとくものでしょ。怖い時代になってから人権問題なのか、自己崇拝は政治に目覚めたんかーとしみじみ思ったわ。現代人は自己目的化に生きる意味を見出す剥き出しの脆弱な個っつことなら当然の帰結か。
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現代の人間関係が冷たく感じる社会の性質と成り立ちを分かりやすく解説している本。
なぜこんなに窮屈な感じがするのか。見知らぬ相手を注意することはなぜいけないのか。そんな疑問が氷解していく。
また著者の考察が深く鋭い。示唆に富み、多くの気づきを与えてくれる。例えば人生の自己目的化について。昔は人生の目的は家であったり国であったりした。しかし太平洋戦争後には人生は自分の為に生きるのが普通になった。偉いのは個人。人格が崇拝された。するとその神聖な人格を傷つけることはタブーとなる。それを破って注意すると、された方は神聖な人格を傷つけられたとして逆上する。などなどなるほどと思う。
ただし、具体的な解決策は書かれていない。が、楽しさ至上主義を改めた方が良いという。常に楽しさばかり追い求めると苦しいし焦る。それがこの窮屈な社会を生み出す原因の1つだと。
この社会は何となく生きにくいなと思っている方にオススメです。
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表面上のやさしさが最優先されるこの社会は,ほんとうはもっとも恐い社会ではないのか。
少しでも傷つけることを許さない集団の中にいることが,集団そのものの閉塞状態を生み,空気を読めない子を平気で排除することになる。自分だけが目立たないように平等で対等な関係のふりをしながら,ますますその集団から抜け出せなくなってくる。しかしその反面,見えない世界では,平気で人を傷つける言葉を吐く…。
最近の子どもの社会がここに描かれていて,ドッキリしました。学級崩壊も,やさしさ優先の社会だからこそ多発しているのかも…と思ったくらいです。
もう一度,じっくり読みながら,子どもたちの現状を分析してみたいと思います。
Posted by ブクログ
現代日本で言う「やさしさ」とは、「相手を傷つけないよう、事前に万全の配慮をする」こと。なぜなら、一度きりの人生で、自分の能力を自分らしく最大限発揮することが尊重されるべしという暗黙の了解があり、相手を傷つけることは相手の価値観を尊重していないことになる。
さらに、相手の価値観は、オンリーワンを是とする時代なので、世代性別見た目から最大公約数的に割り出すことは難しい。(例えば、お年寄りに席を譲ろうとしたら、「年寄り扱いするな!」と言われるとか)
しかし、現代日本はゼロリスク、ミスゼロを是とする社会なので、勘違いをすること = 人を尊重していない、大変失礼な振る舞い、と扱われ、社会的・人間関係的な制裁の対象となってしまう。
これが現状で現実だが、
ありえねー、ストレス溜まって当然じゃないすか?
…って内容の本。
ホント、ありえねー。
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あまりにも傷つく・傷つけることに敏感であるがゆえに、相手にたいして感じていることを率直に言うこともできない状況(p.139)
楽しいことを最優先するため、人との対等性の原則を守るため。現代人が生きるうえで気をつかいまくっているいくつかのこと。誰にでも当てはまる。面白い。
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いまの若者たちは「やさしいなぁ」と思う。でもその「やさしさ」が結果的に「しんどさ」「こわさ」へとつながっていくという、思わぬ作用をていねいにたどっていく。「がんばる」のかわりに「楽しむ」がよいこととされ、それが「楽しさ至上主義」となった時点で、なにがおこってきたのかというあたり、おもしろい。たいへん「散文的」で、「論文調」ではないので、いっけんやさしいように読めるのだが、まとめるとなると難しい。でも、2回、3回くらい読み返していくうちに、自分なりの言葉で「やさしさ」のもたらすものをイメージできるようになるんじゃないかな……と思う。
Posted by ブクログ
現代社会のなかで、たとえ一時的に相手を傷つけることになっても、相手の将来を思い、叱ったり注意する(その後のケアも行う)「治療的やさしさ」は減りつつあり、
相手のプライドを傷つけないよう、常に慎重に振る舞い、結果 直接注意も出来ない「予防的やさしさ」が中心になっている、らしい。
ネットいじめもこの産物だ、と言うのはちょっと強引な気したけど、確かに空気が読めないのは致命的って時代で、普段は発言が抑制されてるってのはありかもなぁ。。
改めて、コミュニケーションって難しい…。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
「やさしさ」「楽しさ」が無条件に善いとされ、人間関係のルールである現代社会。
それがもたらす「しんどさ」「こわさ」をなくし、もっと気楽に生きるための智恵を探る。
[ 目次 ]
第1章 やさしさを最優先する社会(やさしいきびしさ・きびしいやさしさ 治療としてのやさしさ・予防としてのやさしさ 実効性のあるルールとしてのやさしさ)
第2章 きびしいやさしさの特徴(敬意の過大評価・修復の過小評価 対等性の原則)
第3章 どうしてやさしさルールはきびしくなったのか?(人生の自己目的化 楽しさ至上主義 能力開発への情熱 仲間うちでやさしさルールがきびしくなった理由)
第4章 やさしさ社会のこわさ(こわいひとびと 伝わらないやさしさ やさしさとかげぐち 思いやりの落差拡大と暴力)
第5章 気楽なやさしさのすすめ(家畜をめざすやさしさ社会は、いいものか? 人生は楽しいことばかりじゃない やさしさより、気楽さ・気軽さ 攻撃の知恵)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
現代日本人は他人を決して傷つけてはいけないという予防的やさしさを求める。
私たちは常に仲間と対等に、楽しく生き、人生を充実させるために
自己の能力を最大限に引き出せるようにしなければならない。
自分が傷つかないために、この暗黙のルールを破るものは厳しく糾弾され
結果的に「やさしさ」は私たちを厳しく縛りつけることとなったというのが本書の趣旨である。
かなり平易な文で書かれており、目次だけでも内容が分かるくらいだが
現代社会の閉塞感の一因を浮き彫りにしているように思う。
特に、心理学がこのような傾向に拍車をかけたという考察は、非常に重要だろう。
やさしさは確かに大切なものだが、心の傷は不可逆的なものという考えに捕らわれ
苦痛なことや恐ろしいことを全て見えないところに隠そうとする風潮は根強い。
それは人を傷つける危険性ばかりが、心理学を通して強調されてきたせいかもしれない。
プリマー新書ということで、少し掘り下げ方が物足りなかったため星は3つだが
一読すれば生活に潜む違和感の正体が見えるかもしれない。