森真一のレビュー一覧
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現代日本で言う「やさしさ」とは、「相手を傷つけないよう、事前に万全の配慮をする」こと。なぜなら、一度きりの人生で、自分の能力を自分らしく最大限発揮することが尊重されるべしという暗黙の了解があり、相手を傷つけることは相手の価値観を尊重していないことになる。
さらに、相手の価値観は、オンリーワンを是とする時代なので、世代性別見た目から最大公約数的に割り出すことは難しい。(例えば、お年寄りに席を譲ろうとしたら、「年寄り扱いするな!」と言われるとか)
しかし、現代日本はゼロリスク、ミスゼロを是とする社会なので、勘違いをすること = 人を尊重していない、大変失礼な振る舞い、と扱われ、社会的・人間関係的な -
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ネタバレ「かまわれない自由」と「かまわれない孤独」
「不当に世間から見捨てられているという精神的飢餓感」
筆者が、自分を「かまわれない自由」が必要な人間と認めた上で話を進めているのが良かった。
5章までは現状分析でふーんという感じだったが、最後の6章にある、「自由」が道徳になると「世間」に対する暴力を認めてしまう、という論理展開が興味深かった。「自由」にも「世間」にも善い部分と悪の部分があり、どちらかを完全に否定するのではなく、それを踏まえた上で折り合いをつけて、自分にあった生き方を選択すべきだ、という。
あえて、難しい単語を使わずに、読みやすく書かれているのも良かった。 -
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店のみならず、病院や学校でまで「お客様」扱いされる傾向が強い中、「お客様」扱いされる消費者や、また仕事として「お客様」の相手をする側にはどのような意識を持ってどのような行動をとるのか、ということを分析した本。
学校で働く者としては、やはり学生・生徒のお客様化、が印象的だった。「してもらう主義」は、本当に当然のことと考える生徒も多いし、教員側も何でもしてあげて生徒に気を遣いがちだと思う。
「お客様」と呼んだり呼ばれたりするのを止めようという提案も分かるが、ここまで進行してしまっては、「お客様社会」との健全な付き合い方を考えることが賢い消費者になれるのではないかと思う。(13/02/16) -
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ネタバレ[ 内容 ]
現代の日本社会は「お客様=神様」として扱うが、客の不満はゼロになるどころか、不満は増大し、自主性の欠如や拝金主義、暴力につながっていく。
「お客様」社会の問題点と脱却法を考える。
[ 目次 ]
第1章 「お客様」社会先進国ニッポン(消費者社会としての日本社会;「お客様」社会としての日本社会;広がる「お客様」化;「お客様」になれば認めてもらえる)
第2章 「お客様」による暴力はなぜ増える?(「お客様」社会は問題か?;「お客様」は「荒ぶる神様」;「お客様」が暴力的になる理由)
第3章 客を客とも思わない店員―労働者から誇りを奪う「お客様」社会(「お客様」社会の逆説;スーパーと職人; -
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[ 内容 ]
「やさしさ」「楽しさ」が無条件に善いとされ、人間関係のルールである現代社会。
それがもたらす「しんどさ」「こわさ」をなくし、もっと気楽に生きるための智恵を探る。
[ 目次 ]
第1章 やさしさを最優先する社会(やさしいきびしさ・きびしいやさしさ 治療としてのやさしさ・予防としてのやさしさ 実効性のあるルールとしてのやさしさ)
第2章 きびしいやさしさの特徴(敬意の過大評価・修復の過小評価 対等性の原則)
第3章 どうしてやさしさルールはきびしくなったのか?(人生の自己目的化 楽しさ至上主義 能力開発への情熱 仲間うちでやさしさルールがきびしくなった理由)
第4章 やさしさ社会の -
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現代日本人は他人を決して傷つけてはいけないという予防的やさしさを求める。
私たちは常に仲間と対等に、楽しく生き、人生を充実させるために
自己の能力を最大限に引き出せるようにしなければならない。
自分が傷つかないために、この暗黙のルールを破るものは厳しく糾弾され
結果的に「やさしさ」は私たちを厳しく縛りつけることとなったというのが本書の趣旨である。
かなり平易な文で書かれており、目次だけでも内容が分かるくらいだが
現代社会の閉塞感の一因を浮き彫りにしているように思う。
特に、心理学がこのような傾向に拍車をかけたという考察は、非常に重要だろう。
やさしさは確かに大切なものだが、心の傷は不可逆的なも