原丈人のレビュー一覧
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どこでこの本を知り購入しようと思ったのか忘れてしまったが当たりだった。素晴らしい考え方だと思う。日本的経営がまだ色濃く残っている時に就職し、全体最適を常に考えるようにしてきた自分にとって株主資本主義、金融資本主義はやはり合わない。とは言うものの、それがグローバルスタンダードだと言い切られてしまうとスッキリしないまま従ったり、分かったふりをしていたような気がする。こう明解に言ってくれると大変ありがたい。
①富の分配における公平性
②経営の持続性
③事業の改良改善性
会社は株主だけのものではない、というのは以前読んだ岩井克人の本にも通ずるものがある。良い会社かどうか、見極める指標として「公益」資本 -
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ネタバレ英米主導のグローバリズムは、
英米の基準や価値観、考え方を諸国に押し付け、
英米が利する世界になることを理想とする主義だといっていいものです。
そこには、グローバリゼーションの名のもとに、
各国・各地域の多様性をおしのけて一律化をすすめていく作用が生じている。
その波は確実に日本をも飲みこんでいて、
90年前後にバブルがはじけてから敬遠されるようになった「日本型経営」を、
より排斥していく方向に力が働いてきた。
グローバリゼーションを進めたアメリカの資本主義は、
いまや「株主資本主義」と言われます。
株主の利益を最優先事項とし、
会社は株主のものであり、株主の利益を出すために隷属したものだと -
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サブプライムローン問題、リーマンショックを予言したとして有名な本書。
若手行政官(官僚)への推薦図書として、マックス・ウェーバーらの古典と並んで紹介されたこともあるらしい。
読みたいと思いつつ、読んだことがなかったけれども、増補版が出たということで読んでみた。
増補にあたっては、主に時事ネタなどが更新され、具体例が増えているよう。
また、IFX(インデックス・ファブリック。リレーショナル・データベースに代りビッグデータ等の構造化されていないデータを取り扱うための新たな仕組み)についての記載もされている。
著者の原丈人氏は、考古学を学んだ後にベンチャーキャピタリストとして、未来を創るベンチャ -
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ネタバレ良書だ。本書のマインドにとても共感。こうなりたいと強く思う。
著者の原丈二氏は、日本人ベンチャーキャピタリストのパイオニア。「21世紀の国富論」を読んでたので、同じ著者の本を見つけて購入。
感想。今現在、万人うけしてはいないが、こうなりたい、こう生きたいと強く思う。
備忘録。
・ヘッジファンドを代表とするアクティビストの配当要求は、過去の利益の蓄積を搾取する行為だ。株価至上主義がこれを助長。
・金融工学の理論は、完全競争とか、経済学の前提を設定したうえで成り立っている。絶対的判断を与えてくれるものではない。
・コア技術→産業の源泉。できた当初にはそれを何に応用したらいいいかわからないよう -
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欧米型市場万能主義へのアンチテーゼ
著者はタイトルにある「新しい資本主義」のモデルを実現実行しているベンチャーキャピタルの最前線を行く人物である
「端的にいおう。「幸せ」を数式で表すことができるだろうか 。」
【第一章 金融資本主義の何が間違っていたのか】
から始まり
「私が経営するXVD社の技術者は,途上国で遠隔医療や遠隔教育に役立ち、自分のつくった技術で貧困を撲滅できることを誇りをもっている。」
【第五章 公益資本主義の経営へ】
・・・まで読み進んでもしかしたら忘れかけていた本来の価値観を取り戻すかもしれない
裕福な人が行う寄付も否定しないが採算のとれる援助活動・・・それをビジネ -
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ネタバレ■産業をつぶすIRRとROE
アメリカ発の金融危機は、本来は脇役の金融が拡大しすぎた
まず産業ありでなければならない
・IRR(内部投資収益率)
投資に対してどれだけのリターンがあるか
この指標ばかりに捉われると、研究開発に多額を投じてリスクを取るよりも
短期間で儲かる仕事ばかりに注力してしまう
・ROE(株主資本利益率)
株主の投資に対して、どれだけのリターンをあげたか
経営陣は短期間で株価を上げることを意識しすぎてしまう
ストックオプションもあって在任中だけの株価上昇をめざしてしまう
研究開発から利益を生んでROEを上げるには7~10年はかかるが、
平均在任期間が5年程度のCEO -
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ネタバレ著者の非常に熱い思い、日本への誇り、大きなビジョンが込められた本。支えになるような素晴らしい本だった。
中長期投資のみを対照とした資本市場の話、おもしろかった。
IFXというデジタルによる計算技術の次のコア技術の話。
非常に熱い思いがつまっており、心地よかった。
章構成
第一章 金融資本主義の何が間違っていたのか
第二章 大減税で繁栄する日本
第三章 コンピュータはもはや足枷
第四章 途上国援助の画期的実践
第五章 公益資本主義の経営へ
第一章
株主権を行使できるのは、五年以上株式を保有しているものだけとし、それ以外の短期は配当金およびキャピタルゲインを得るだけとする規定の提案。中長期の -
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ビジネス書や自己啓発本というより、経済思想の本。
新自由主義・ROE至上主義に批判的で、「公益資本主義」を提唱する。
筆者のビジネス界での実経験が、主張に説得力を持たせている。
いつだか積読に入れていた。
「ROE経営は「すでにあるもの」の効率化を図ることはできても、「今はないが、将来つくるもの」の価値を最大化することはできません。反対に、そういうものを積極的に切り捨てたほうが、ROEは上がる。」(74頁)
「日本企業は米国の基準に振り回される必要もない。いいところだけを吸収し、地球の未来にとって悪い点は正し、米国のシステムを上回るものを創ればいい。」(159頁) -
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学研の宮原さんのおすすめで。
めざすべき資本主義の例を得た。
会社が株主のもの、会社はROEの最大化をめざす、といった暗黙の了解に全く共感していなかったけれど、会社は公器なのであり、顧客、従業員、株主、地域、社会、すべてにとってプラスであるべき、とする公益資本主義。腹落ち感ある。これで経営していきたい。
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アメリカの企業統治
新CEOがやりがち、何も生み出していない
・短期・目先の株価を上げるための施策
・マネーゲーム
・ストックオプションが元凶
手順
・必要以上のリストラ
・試算圧縮(ROE)
・過去の累損の一掃
・将来出るかもしれない負債まで引き当てる形で大きな損失を出す
↓
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twitterで「岸田首相のブレーンはコイツだ」「新しい資本主義の影の立案者だ」などと言われてるのを見て著者を知り、どんな内容なのか知りたく購入した本。
最初の30ページほどは、とにかく資本主義の悪い面を語っているので、「なんだ、ただの社会主義者じゃん」と思った。
もし「新しい資本主義って結局何なの?」を知りたければ4章から読むのがお勧め。
読み終えて、少なくとも著者が目指したい資本主義を理解はできたと感じた。
界隈で強く批判されるほど、悪い考えとは思わなかったし、むしろ賛同したいと思った。
同時に、「新しい資本主義」というワードだけが独り歩きしているのは、これも政治なんだなぁ、と感じる。 -
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原丈人(1952年~)氏は、慶大法学部卒、スタンフォード大学大学院工学修士の実業家、ベンチャーキャピタリスト、考古学者。当初は考古学を志して、その資金づくりのために渡米し、大学院在学中に起業した後、1984年にベンチャーキャピタルのデフタ・パートナーズを設立、その後シリコンバレーを代表するベンチャーキャピタリストとして活動し、米、英、イスラエルの世界的企業の会長を歴任。2013~20年に内閣府参与。米NGOのアライアンス・フォーラム財団代表理事、デフタ・パートナーズ・グループ会長。
本書のテーマである「公益資本主義」とは、著者が2007年の著書『21世紀の国富論』で提唱し、2014年の世界経済 -
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この前に読んだ「会社はだれのものか」で登場していた原丈人さんで検索して見つけた本。1,2,4,5章を読んだが、非常に意欲的な作品。学生のようなエネルギーを感じた。そして実績も十分のようだ。三方良しの日本型経営から発展しうる公益資本主義と主にアメリカを念頭に置いた株主資本主義を比較、そして株主資本主義の欠点を指摘。公益資本主義においても、まずは大いに稼ぐことが大前提、この点は激しく同意。利益さえあれば大抵の問題はなんとかなると思うので。利益を上げれていない法人企業は頑張っていただくとして、この著書の偉大と思うところは、利益の出ている会社が公益資本主義を実践するための手段が用意されているところ。株
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いゃ〜!面白かった。
「会社は株主だけのもの」というアメリカ流の資本主義から公平な富の分配をする公益資本主義に変わることを提唱する筆者がわかり易く説明している。
印象に残った文章
⒈ 企業をむしばむCEOゴロ
⒉ 株主にとっての利益になるのであれば、何万人の従業員が解雇されようと「株主価値」が最大の時点で会社を解散するのがベストであると理解するのが、現在の資本主義である。
⒊ 経済が文化をつくり、技術が政治をつくる。
⒋ 社長と社員のあいだにあまり差のないフラットな組織をもつネットワーク型の中小企業
⒌ これからの時代に日本が輸出すべきものは、システム(制度)やモデル、さらにルール(規則)とい -
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株主資本主義から公益資本主義
論語と算盤は実践が可能。
会社は社中の利益を最大化する。会社の基盤である社会を利することで会社を利する。
短期的な株価のつり上げによる儲けを企む株主のために資本主義は社会を崩壊させる。一部の富裕層と圧倒的多数の貧困層を作る。豊かな中間層(正規分布)を作ることが継続的な社会の発展や維持に有効。
そのための考え方に。中核産業は移り変わる。それを前提に中長期的にものを開発していく産業を持つことの強み。そんとための資金準備としての内部留保。研究開発は必ず成功する者ではないが,その過程で経験と人材育成が可能。そのリターンが次の開発に繋がる。
会社を維持するための短期的な収支