原丈人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
twitterで「岸田首相のブレーンはコイツだ」「新しい資本主義の影の立案者だ」などと言われてるのを見て著者を知り、どんな内容なのか知りたく購入した本。
最初の30ページほどは、とにかく資本主義の悪い面を語っているので、「なんだ、ただの社会主義者じゃん」と思った。
もし「新しい資本主義って結局何なの?」を知りたければ4章から読むのがお勧め。
読み終えて、少なくとも著者が目指したい資本主義を理解はできたと感じた。
界隈で強く批判されるほど、悪い考えとは思わなかったし、むしろ賛同したいと思った。
同時に、「新しい資本主義」というワードだけが独り歩きしているのは、これも政治なんだなぁ、と感じる。
今後、岸田政権がこの本の考えに沿ったかたちを目指すのか、注視していきたい。 -
Posted by ブクログ
原丈人(1952年~)氏は、慶大法学部卒、スタンフォード大学大学院工学修士の実業家、ベンチャーキャピタリスト、考古学者。当初は考古学を志して、その資金づくりのために渡米し、大学院在学中に起業した後、1984年にベンチャーキャピタルのデフタ・パートナーズを設立、その後シリコンバレーを代表するベンチャーキャピタリストとして活動し、米、英、イスラエルの世界的企業の会長を歴任。2013~20年に内閣府参与。米NGOのアライアンス・フォーラム財団代表理事、デフタ・パートナーズ・グループ会長。
本書のテーマである「公益資本主義」とは、著者が2007年の著書『21世紀の国富論』で提唱し、2014年の世界経済フォーラムのアジェンダ決定会議の場で示し、2017年には同フォーラム年次総会であるダボス会議で、山本幸三内閣府特命大臣が日本政府を代表して言及したもので、2020年のダボス会議で発表された「ステークホルダー資本主義」の元となっている考え方(ほとんどパクリ)である。
私は以前より、世界に広がる格差の元凶である資本主義に問題意識を持っており、これまでも、ジョセフ・スティグリッツ、広井良典、水野和夫、トマ・ピケティ、斎藤幸平ほか多数の著書を読んできた。それらはどちらかというと長期的かつ概念的なものであったが、もう少し短期的・技術的な対処方法も考えたいと思い、本書を手に取った。
一読すると、現在の資本主義(これを著者は「株主資本主義」と呼んでいる)の実像と問題点、株主資本主義と公益資本主義の違い、公益資本主義を実現するためのポイントと具体的なルールなどが明確に理解できる。
因みに、株主資本主義と公益資本主義の違いは以下。
<株主資本主義> ●短期の勝負、●新たな富を生まない(単なるマネーゲーム、ゼロサムゲーム)、●一部の超富裕層と大多数の貧困層を生む、●英米の金融界、メガファンド、投機家、ウォールストリートが望む資本主義
<公益資本主義> ●中長期の勝負、●新たな富を生む(プラスサムゲーム)、●層の厚い中間層を生む、●大多数の日本人と、世界の大多数の国民が望む資本主義
また、公益資本主義を実現するための3つのポイントは以下である。
●中長期投資・・・持続的成長を支えるために、中長期的な投資を行う。経営陣は、短期の利益を求めつつも、中長期的な課題にバランスよく取り組む。●社中分配・・・会社があげた利益を、株主だけでなく、会社を支える社中(経営者、従業員、仕入先、顧客、株主、地域社会、環境)各員に公平に分配する。こうすることで社会の格差を是正し、貧困層を減らし、層の厚い中間層をつくる。●起業家精神による改良改善・・・リスクをとって果敢に新しい事業に挑戦し、常に改良改善に努める。
著者はあとがきで、「今後、世界の人口は、途上国を中心にさらに30億人程度増加すると予想されているが、地球上のすべての人々が、平和で豊かに暮らせる世界を望んでいるはずである。こうした世界を実現するには、経済の新しい仕組みが必要となる。資本主義自体も、いずれ新しい仕組みにとって代わられるだろう。しかし当面の間は、資本主義が続くことも間違いない。ならば理想論にとどまらず、まず現実的に世の中を変えることが重要だ。その原動力となり得るのが、本書で論じてきた「公益資本主義」だ。」と書いているが、著者の思いに100%同意する。
岸田新首相は「新しい資本主義」を掲げるが、公益資本主義こそそれなのではあるまいか。税制や金融制度や法令を変えればできることであり(資本主義のシステム自体を変えるのとはレベルが違う)、何より、公益資本主義とは、日本がかつて行ってきたことそのものなのだ。
(2021年12月了) -
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この前に読んだ「会社はだれのものか」で登場していた原丈人さんで検索して見つけた本。1,2,4,5章を読んだが、非常に意欲的な作品。学生のようなエネルギーを感じた。そして実績も十分のようだ。三方良しの日本型経営から発展しうる公益資本主義と主にアメリカを念頭に置いた株主資本主義を比較、そして株主資本主義の欠点を指摘。公益資本主義においても、まずは大いに稼ぐことが大前提、この点は激しく同意。利益さえあれば大抵の問題はなんとかなると思うので。利益を上げれていない法人企業は頑張っていただくとして、この著書の偉大と思うところは、利益の出ている会社が公益資本主義を実践するための手段が用意されているところ。株主資本主義の影響を薄めるというアプローチで、保有期間に応じたキャピタルゲイン課税や市場作り、法人企業のストックオプション廃止などを提案。成長と分配を掲げる岸田政権にも考慮していただきたい。中長期投資家としての私の希望でもある。5-10年保有したら税率0%、デイトレーダー(1年未満)は30-40%など大賛成です。格差の拡大こそが諸悪の根源であると、ここの理由づけも時間がある時に考えてみたい。
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いゃ〜!面白かった。
「会社は株主だけのもの」というアメリカ流の資本主義から公平な富の分配をする公益資本主義に変わることを提唱する筆者がわかり易く説明している。
印象に残った文章
⒈ 企業をむしばむCEOゴロ
⒉ 株主にとっての利益になるのであれば、何万人の従業員が解雇されようと「株主価値」が最大の時点で会社を解散するのがベストであると理解するのが、現在の資本主義である。
⒊ 経済が文化をつくり、技術が政治をつくる。
⒋ 社長と社員のあいだにあまり差のないフラットな組織をもつネットワーク型の中小企業
⒌ これからの時代に日本が輸出すべきものは、システム(制度)やモデル、さらにルール(規則)といったいったもの
⒍ 人間が幸せになるということが一番の目的で、お金持ちになることやGDPを上げることは幸せになるための手段でしかないのです。
⒎ 違いを認めたうえで、その違いをよく説明していく能力 -
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株主資本主義から公益資本主義
論語と算盤は実践が可能。
会社は社中の利益を最大化する。会社の基盤である社会を利することで会社を利する。
短期的な株価のつり上げによる儲けを企む株主のために資本主義は社会を崩壊させる。一部の富裕層と圧倒的多数の貧困層を作る。豊かな中間層(正規分布)を作ることが継続的な社会の発展や維持に有効。
そのための考え方に。中核産業は移り変わる。それを前提に中長期的にものを開発していく産業を持つことの強み。そんとための資金準備としての内部留保。研究開発は必ず成功する者ではないが,その過程で経験と人材育成が可能。そのリターンが次の開発に繋がる。
会社を維持するための短期的な収支,会社を発展させるための中長期的な収支。
これは人格の発展や教育においても同様か。 -
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ポスト資本主義としての公益資本主義についての話。金融資本主義がいかにあやうい制度であるか、そして今後の社会制度というのはどのようなものであるべきかという考察と提案。実際に事業を行っている人間の話なので単なる絵空事ではない。
経済学の本ではなく、日本の将来のビジョンを示すという意味でビジョナリー的な本である。
おそらく似た様なコンセプトの本の中では新しさそして実現した時の日本の存在価値の絶対量では群を抜いた考え方ではないだろうかと思う。
具体的な内容については本を直接読んでいただく方がよいだろう。
「会社はだれのためのものか」という疑問に一つの答えを与えてくれる本である。 -
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独立自尊や自主独立を実現するのに不可欠な4項目
1. 食料と水の確保
2. エネルギーと資源の確保
3. 防衛力と外交を強化する事による安全保障
4. 文化と言語を守る事
日本は単に工業製品を売るだけでなく、システム(制度)、モデル、ルール(規則)を輸出する時代が来る。
日本の人口が減少する中でも、貿易収支から貿易外収支へと転換させ、国民所得を増やす事は可能。
夢を実現する2つの方法
1. 今そこにある体制や環境に順応しながら、その枠組みを上手に利用して叶える。
2. その体制や環境をおかしいと思い、ルールそのものを変更する事に挑戦し、新しいルールに基づいた世界をつくる事によって叶える。
コア技術の大きな特徴は、どう応用すればよいのかについて、最初は一般に解りにくい事。
基幹産業の典型的なライフサイクルは、始まる時は目立たないところで徐々に、ある一線を超えると急速に伸び、やがて成熟産業となる。その後はまた徐々に時間をかけて衰退していく。
GDPを増やす事、経済成長することも、その中身を見ずにただ数字だけの上がり下がりで短絡的な判断をする風潮も、手段と目的を取り違えている。
最初から社会貢献をもっとも大きな目的として事業を行う会社と、利益のごく一部をあくまで株主の同意を得られる範囲で社会貢献に使う他の企業を比べてみれば、市場経済や株式会社という同じ資本主義の仕組みを使っていても、その効果と影響は全く違う。
株主と株価連動型の報酬をもらう経営者の為に、短期的な株価の上昇を追求するより、会社を公器ととらえ、中長期的な視野を持った経営の方が最終的には持続し発展する。
いくら哲学的に深い考えをもった経営者がいても、ビジネススクールで株式資本主義的な考えに洗脳されたテクノクラートが増えたり跡を継ぐと、数字にならない事は価値がないと切り捨てる傾向が強まる。
一般社員と経営者の所得格差は、1950年代には20倍程度、1980年代には42倍程度。2000年には120倍、2013年では204倍にまで広がっている。
ストックオプションのような株価連動型の報酬は、短期的に株価をあげる事に関心の少ない取締役、執行役員などに対する大株主が仕組んだ賄賂。これをもらうとどうしても任期中に株価を上げるような空気を醸成し、株主と経営陣は共通に達成すべき利害調整が完成する。後は、定期的に自社株買いを実行すれば株価は上がる。さらに、経営者の労働市場が、情報の非対称性や参入障壁などによってひどく歪んだものになっているのは明らか。
1993年以降、株式公開すると、逆に市場に会社の資金が吸い取られている。資金調達額よりも自社株買い額の方が高いのである。
公益資本主義の概念に則った、ROEに代わる会社の評価基準は、
1. 富の分配における公平性、、、様々なステークホルダーに対して富を公平に分配する事。
2. 経営の持続性、、、社員の幸福度を高める事。数字を整える事ばかり考えては幸福度は下がる。内部留保は会社の将来の為に使う事。配当には回さない。
3. 事業の改良改善性、、、成功体験を持つ大企業は柔軟性を失い、新しい業態へ変化し辛い。企業における改良改善は社会全体の成長や学習能力とも密接に関わる。目先の利益にとらわれていては、その影響は社会全体に広がる。
経営者は、大会社になっても相手の立場になって考える事、感謝の気持ち、きびしさを内包した優しさを自ら率先して示し、「暖かい」社風を進歩、発展させる事。小さな企業と同じような状態をいかに大企業の中にも作っていくか。これは公益資本主義の理論を構築していく上でも要となる命題。組織の論理を強くして個人や周囲の人々の幸せを奪わない事。
株主資本主義の観点からは、CSRは企業イメージをあげる道具にしかならない。だが、会社とはそんなつまらないものではない。社会に貢献したいという志をもとに組織が活性化すれば、社員も生き生きとし、結果的に会社も儲かる。そんな会社が評価される世の中の方が、時価総額を上げた人間が立派だと誤解するような世の中より素晴らしい。
投資家が短期間で売却する為のインセンティブを消す為に、保有期間が長ければ長いほど一株あたりの配当金額を大きくする。現在のファンドの平均保有期間は10ヶ月。
本当の意味で中長期的な投資を行いたいと思っている投資家は世界全体の総資金量の10%はいる。
有害な投機を抑制する為に、証券投機取引税やファンドの報告義務を強化する事も必要。
日本版SOX法は廃止すべき。これは企業の不正監査や粉飾決算などを防ぐために会計の透明性を高め、内部統制の強化を謳った法律の俗称だが、高いコストを払って内部統制の仕組みを整備しても、企業の新しい事業への投資意欲を削ぐ結果になるだけ。内部統制があってもなくても社内で起きる犯罪発生率は変わらない。むしろ大部分の社員はコンプライアンスに対して辟易しており、信じるより疑う事で社員の一体感を損ねる。
日本が取り組むべき6つの制度的課題
1. 法律上、会社の公器性と経営者の責任を明確にする事。まずは「上場企業は社会の公器である」事をしっかり定義する。そして、「経営者と取締役会は従業員、顧客、取引先、株主、地域社会、地球環境などすべてのステークホルダーに対して責任を持つ」という新しい企業統治のルールを作る。
2. 中長期保有株主を優遇する制度を作る。3-5年以上保有しなければ議決権を行使できない等。
3. 革新的な技術を事業化し、新しい産業をつくる仕組みを作り上げる。所得税の10%分を先端技術ベンチャーに投資した場合、上限を定めて税額控除を行う。
4. ROEに代わる新しい企業の価値測定法を確立する。富の分配における公平性、経営の持続性、事業の改良改善性等。
5. 投機家に利するような極端な規制緩和は改める。現在は、「投機家に対する利益誘導」を「規制緩和」の美名の下に行う事が多い。本当の意味で社会の豊かさを増すような規制緩和を行う。
6. GDP、GNIを補完する経済指標をつくる。
21世紀の「グローバル人材」に一番大切な要素は、英語や中国語といった語学力よりも、「違いを認めた上で、その違いをよく説明していく能力」。外国語はあくまで道具として使い、自国語でしっかりと考えを表現できるような教育を徹底する事。 -
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ネタバレ014
非常に面白い本だった。「ベンチャーキャピタリストとは未来を予測する仕事である」と昔言われたことがあるが、原氏の本を読んでいると本当に「未来を予測する能力」に長けていると思う。
特に「基幹産業をみつける」という件はまさに目から鱗。時代はITなどではなく、むしろITは人間の可能性を広げる類のものではなく、むしろコンピューターに思考を依存させてしまうことで、思考の自由が制限されてしまうということ。そんなこと考えもしなかったよ。
あと「途上国だからこそ、インフラが整っていないからこそイノベーティブな変革を」というくだりもやはり素晴らしい意見だと思う。実際にはサプライヤーが海外にいたりして、なかなか難しいんだけどね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ21世紀の国富論も読んだことがあり、今思えば、金融危機以前にアメリカ型の資本主義に対する危惧を明解に提示していた。
この本は、さらにわかりやすく、また日本人を力づける内容である。
金融資本主義、株主至上主義の誤り、欠陥の理由を指摘するだけでなく、この本には「公益資本主義」という概念で解決策が述べられている。
また、その中で日本の持つ強み、可能性が力強く展開されている。
「公益資本主義」=「会社の事業を通じて、公益に貢献すること」。
つまり、「会社の事業を通じて、会社が関係する経営者、従業員、仕入先、顧客、株主、地域社会、環境、そして地球全体に貢献すること」
これは、まさしく日本の江戸時代の近江商人の三方良しの考え方そのものである。
経営者と一般社員の平均年収の差が400倍。(1990年には100倍程度でこの10年ちょっとの間に急速に格差拡大。)
2007年のヘッジファンドマネージャー上位10人の個人所得の合計は、日本円で1.74兆円で、トヨタ自動車の2007年度当期純利益1.71兆円を上回る数字。
そんなアメリカの歪んだ現状。
対して、日本は長い歴史の中で、
・新しい技術による新しい基幹産業の創出(ポストコンピュータ産業)
・民間の力による顔の見える途上国支援
・新しい公益資本主義
すべてにおいて、資質を持ち、実現可能性に満ちている。
来るべき次代で、日本こそがリーダーシップを発揮するにふさわしい、と大いなる希望を感じさせてくれる。
著者は、公益資本主義の有効性を訴えていくために、今後、必要な要素を明確に打ち出し、指標化し、「数式化」し、理論を構築するという。
この「公益資本主義」が、多くの者に対して説得力をもち、当たり前のものとなることを大いに期待したい。 -
Posted by ブクログ
今、世界を席巻している、金融資本主義というものに対して、
その悪いところを指摘し、ポスト資本主義として公益資本主義というものを
示唆することを主軸とした本でした。
お金がお金を産む資本主義、金融工学の進歩によってそうなった資本主義の在りように
異を唱えてその論拠を次々と述べていくさまは胸がすかっとするし、
もともと自分はそういう話を待望していたのだということに改めて気付かされました。
著者の原丈人さんについては糸井重里さん主宰の「ほぼ日」に登場されたときに知りました。
その糸井さんとの対談を読んで、なんてスケールが大きくて素晴らしい人なんだと、
そんときも胸がすくような痛快な思いがして、それが忘れられずに今回この本を買って読んだのです。
読んで、勇気とやる気が湧いてくるのは、
彼が説く論説のどれもが、世の中の「なんか変じゃないかな」というベールを剥いでくれるものだからです。
そこまで、「ほんとうのこと」に迫ったならば、あとは個々人が頑張ればいいのです。
世の中、このままの資本主義では、ヘッジファンドのみならず、すべての人がハゲタカに
なりさがってしまいます。そうはならない、新しい資本主義のヴィジョンをみんなが持って、
世の中に貢献することで利益を得て、その利益でまた世の中に貢献するというスタイルを
浸透させていくことが大事なんだと、当たり前のようなことですが、
その当たり前の心理に戻してくれるのです。
もしかすると、そういった心理さえ、当たり前じゃなくなった人たちというのが、
金融資本主義にどっぷりつかった人の中にはいるかもしれないです。
でも、それはおかしいということです。
経営者と一般労働者の間の所得格差が大きすぎることなどを考えても、そのおかしさは
伝わりますよね。
元気もやる気も出て、知識も増えて考える力の源にもなる本です。
お金の流れ、世の中の企業のありかたや自分の働く会社のありかたに違和感を感じるかたは、
この本を読んで自分の視点がクリアになるのを感じるでしょう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレかつて基幹産業といえば繊維産業である。それが鉄鋼になり、現在はコンピューター産業がこれに取って代わっている。交代のサイクルは概ね40年。成熟期に入ってくると産業の伸びが落ち、景気も悪くなるため、金融を緩和することから、新しい基幹産業に移行する端境期にはこれまで金融の過剰流動性が発生してきた。また、経済指標に使われているGDP等経済統計は、ファンドの活動や超過過剰流動性が世に広まる前の定義で市場を測っているため、大きく膨れ上がる過剰流動性によって、数値が実態の景気以上に高くなるという統計との乖離状況が起きている。本物の好景気にするためには、過剰流動性をつくるのではなく、新しい基幹産業を育成する方向に資金を回すことである。バブル的な投資ではなく実業にお金が入っていくようなメカニズムである。ポスト金融資本主義としての新秩序の構築は喫緊の課題だ。アメリカではIT産業が新たな基幹産業となり経済規模を拡大し財政黒字に転じたが、アメリカではもはやコア技術を開発することが困難となっている。リターンだけに関心を持つファンドマネージャーや経営コンサルタントが資金運用の主体となってしまっているからである。ポストコンピューターの基幹産業を創出していくためには、安心して投資できるリスクキャピタル制度をつくることが鍵となる。新しいコア技術を開発し新しい基幹産業をつくりあげていく取り組みに対して投資支援を行うとか、リスクキャピタルに該当する投資を行った場合は損金参入できるようにするという制度である。次の時代のコア技術のほとんどは知的財産であり、高度な知的財産をハードウェアとして実現できるだけのインフラ基盤があるのは日本のみである。著者は、法律、規制、倫理観など、個人の自由を守り経済の活力を高めながら資本主義と公益を両立させる新しい資本主義、公益資本主義を提唱している。会社の事業を通じて地域社会、環境、人、雇用、株主、地球全体に貢献することこそが価値として認められる資本主義である。昨今、アメリカ資本主義が金科玉条となり、金融で儲けるのが賢いあり方の風潮を生み、産業資本主義は低くみられるようになってしまった。しかし、アメリカ発の金融危機は産業の中心になりえない金融業が我が物顔でバブルによって拡大したがために必然的に崩れが起きたことを忘れてはならない。あくまでも主役は企業家であって金融は縁の下の力持ちにすぎないのである。日本には、日本の先達経営者たちがつくりあげてきた経営理念、企業哲学の中に脈々といき続けている。バブル頼みの幻の景気から、皆が恩恵を受ける本物の好景気へ導くことができるのは日本のみと信じる。是非、新しい資本主義の担い手として世界をリードしてもらいたい。
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ネタバレ[ 内容 ]
アメリカ発の金融危機は、市場万能・株主至上の金融資本主義の欠陥を露呈した。
二〇〇三年時点ですでにこの事態を予見していた著者は、格差も恐慌も打ち破る究極の解決策を提言する。
「ストックオプションは禁止せよ」「五年以上の株主だけの市場をつくれ」「投資減税で新技術開発を促せ」。
マネーゲームに明け暮れるファンドの横暴を止め、終焉が近いパソコンに代わる新しい基幹産業の創成をめざす。
バブル頼みの「幻の好景気」から、みんなが恩恵を受ける「本物の好景気」へ。
日本こそこの新しい資本主義の担い手となれ。
[ 目次 ]
第1章 金融資本主義の何が間違っていたのか-幸せは「数式」では表せない(金融資本主義の崩壊は必然だった ファンドを規制する具体的な方法 あの「幻のような好景気」の理由)
第2章 「大減税」で繁栄する日本-次なる基幹産業の覇者となる方策(「金の卵を産むガチョウ」を生み出せ 「コア技術」を開発できる理由 「投資減税」で夢ある日本を)
第3章 コンピュータはもはや足枷-新ビジネスを生み出す画期的コア技術は何か(「解けない技術」を解く技術 コミュニケーションの大進化 「実業立国」日本が世界を制する)
第4章 途上国援助の画期的実践-日本人によるおもしろくて、採算も取れる活動を(最新テクノロジーで「貧困」に挑む 国連旗の下での民間による支援 マイクロクレジットを日本人の手で)
第5章 公益資本主義の経営へ-市場万能・株主至上の弊害を斬る(世の中への貢献こそが価値 すべての会社は「中小企業」になる)
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