飯田譲治のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
調べてみたら中一の時だった。所謂バタフライナイフ事件が発生したため、木村拓哉主演のドラマ「ギフト」の再放送が打ち切られ、世間から一切封印された。記憶を失った主人公が「届ける」事に拘る原因となった出来事とは何か、由紀夫の正体は何者なのか、ついぞ分からずじまい。
あれから17年。心の底に引っかかっていた疑問がふとしたきっかけで再浮上。ドラマは相変わらず封印されていたが、ノベライズの存在を知り読んでみた。17年来の謎が解けた。いい話だった。
どんなに重い罪を犯してしまった人間でも、その内面には良心があり、人生において蘇生のチャンスがある。そして、人間には「赦す」という偉大な行為がある。それが『ギフト -
Posted by ブクログ
生を放棄することを決めた記憶喪失のホームレスが
雪の日に生の灯火が消えかかっていた赤ん坊を拾う
前半は周囲のホームレスが一体となって赤ん坊をアイドルとしながら
協力して育てていく話に思わず、じんわり。懐かしさを愉しむ
中盤は子供への成長過程で開花される芸術の才能と数々の不思議な能力
スピリチュアルなファンタジーストーリーが展開
終盤は自らの生い立ちを受け止め、父ホームレスとの別離を乗り越え
芸術家として更なる高みへ……
モザイクアートという芸術を生み出す天才少年の成長を軸としながら
人間愛、家族愛といった現実社会の暖かさや、
悪意、殺意の様な心の闇をスリリングに盛り込む -
Posted by ブクログ
病院で目覚めた由紀夫は自らの記憶を失っていた。どうやら彼は消えた51億円の行方を掴んでいるらしく、周囲には謎の女社長・奈緒美ら怪しげな面々が。奈緒美の考案で、頼まれたものは何でも運ぶ「届け屋」となった由紀夫。果たして彼は、失くした過去を取り戻せるか。ミステリータッチで描く感動のストーリー。
記憶をなくすことは、時にいいなぁ・・・
なんて思うときがあります。
忘れてしまいたいこともあたりまえですが、多々ありますからね。。。
でも、忘れたいようなことがあるから、きっと今の自分はあるんだとも思うのですよね・・・
人間ないものねだりってやつでしょうか??
ねっ -
Posted by ブクログ
下巻になってアナンが喋ったとき、まず驚いてしまったww
下巻はアナンが主人公なんだな。いろいろ思う。アナンと少女のSEXはまだ早かろうと顔をしかめたし、健太のせりふ「お母さんはプレアデスで天使やってる」には噴いてしまった。私はこれがスピリチュアルファンタジーと知らなかったので、スピ系な内容のことを触れているなと読み進めながらも、こんなにあっけらかんと話す健太には驚いてしまった。
私の想像力でアナンの作品を再現しても少し足りない。やはりじかにに触れてみたい。鶴の湯もたまごも。いいな。
けれど、映像にはしてもらいたくない。アナンは山下和美の描く『不思議な少年』のイメージ。 -
Posted by ブクログ
ちょっと長いプロローグと3つの短編からなる本です。愛と笑いと恐怖が融合する短篇集らしい・・・。
「ちょっと長いプロローグ」
ある夜部屋に居て「助けて」と声が聞こえて来た。声の方はバスルームの扉だった。その扉を開けて見ると、自分の部屋と同じような部屋だった。そして、その部屋に入ると・・・。
「コールドスリープ」
フジオの天才級の脳には人生の最大の危機が迫っていた。しかし彼は、人間の至福の眠りの中にいた。彼は、眠りから目覚めると液体状のゼリーのカプセルの中にいた。カプセルの中で長い時間眠っていたらしい・・。彼は、水着のような下着一枚の姿で側には着替えもない・・。カプセルから出た彼は、 -
Posted by ブクログ
病院で目覚めた由紀夫(とりあえずの名前)は、自らの記憶を失っていた。どうやら彼は、消えた51億円の行方を掴んでいるらしく周囲には、謎の女社長・奈緒美ら怪しげの面々が。やがて奈緒美の考案で、頼まれたものは、自転車に乗ってなんでも運ぶ「届け屋」となった。
51億円の行方。「届け屋」の仕事で巻き込まれる事件。失った記憶が少しづつ戻ってくるが・・。今の自分、失った記憶の自分。由紀夫は、何を考え行動するのか・・。感動を呼ぶミステリーです。
主演の木村拓哉を思い出さなくても大丈夫な小説です。飯田譲治が書く小説は、ドラマや映画より面白いかも☆両方楽しむのもいいかもです。
とっても、面白くできた作品で -
Posted by ブクログ
この本のラストのおかげで
真夜中にひとり大号泣する、という事態になってしまった。
いつもは通勤電車内で読んでる本。
電車の中じゃなくて、本当によかった(笑)
飯田譲治、という人に共感を覚え始めたのはいつ頃だったろう。
彼の人間の善意と悪意に対する考え方、未来、力、流れへの視点。
けして器用でも、学術的でもないそのシンプルさが
自分のそれとものすごく「ぴったりくる」と思った。
だから今でも彼の作品に触れると、私は思い出させてもらえる。
原始から自分の中に備わりながら、日々磨耗し、ぼやけていく・・・
それでいて何度も何度も不器用なやり方で取り戻している
そんな自分のチカラを。
大丈夫。
大