木原敏江のレビュー一覧
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木原敏江さんの作品はいつも読後に清純な気持ちにさせられる。終わってからももっとキャラクター達を追いたくなる、そんな魅力と愛を感じる。
この摩利と新吾もそんな作品で、二人の青春期の成長を描いている。少年期から青年期への雰囲気、心情の変化など描写が細かく、人物描写の多彩さがすごい!
私の中でこの作品の盛り上がりのピークは新吾の成長だった。どんどん追い詰められていく新吾だったが、それを受け止めたくましく飛躍する新吾。それまでの人物描写が丁寧であったからこそ、一緒に見守り、涙することができたんだと思う。
というわけで私の中ではその後は割りと蛇足だったのだが(最後まで一気に読みましたとも)、彼らの最期 -
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子どもの頃から、鬼の出てくるお話が好きでした。
そして、その鬼を意識したのが、木原 敏江の「夢の碑」でした。
意識して鬼を追いかけ始めてから出会ったのが、馬場 あき子の「鬼の研究」です。わたしは、それまで(そして今でも)、物語の世界が大好きで、物語で泣いたりしたことはあったのですが、はじめて物語の形をしていないものでも、感動するのだなぁと知った作品でした。
そして、その「鬼の研究」のなかで、1番印象に残っていた話が、この「伊勢物語」のなかのエピソードでした。
そのエピソードが、このマンガの1話目になっていて、なんか、木原 敏江からはじまって深まっていったものが、また、一周して戻ってきたよう -
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木原敏江さんの作品で、すごく好きなお話に異類婚のお話があるのですが、「花かんむりの牢屋敷」は、そのテーマがかなりストレートに出た初期の作品だと思います。
根底には、「おとぎ話」を信じる心というのがあって、それは、実は、他のすべての木原作品にも通じている気がします。
表題作の「銀晶水」は、異常な欲望のお話ですが、そこに「おとぎ話」としてのそれでも根底に流れる「愛」が語られています。
異常さに目を背けて、否定していくのではなくて、それをふくめた上で、物語として昇華させていくということは、他人を理解していく上でも、かなり大切なことのような気がします。
そこは、自分自身もっとも見たくないところ -
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不覚にもマンガで泣いてしまった、久しぶりに。
新撰組ってそもそも泣かせる題材ではありますが、鴨を暗殺したあたりからどうしても暗く重くなっていく。
そこをどう描くかが、作家それぞれの想いと工夫と力量の生かし所なのだろうな。
総司が戦場に向かう歳三を、弱った身体で追うシーン、哀しかった。
もう生きて会うことはないだろうとわかっていて、希望を捨てずお互いを思いやり笑って別れる。
現実ではできないからこそ想像の世界で鮮やかに描ききった、この時代(幕末ってのもそうだし70年代というのも)ならではの作品。
最後まで摩利と真吾の原点だなあと思う作品だった。 -
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なんだか、木原敏江がというか、「天までのぼれ」が読みたい気分だということで、秋田文庫の木原敏江のシリーズに手を出しています。
「花の名の姫君」は、歌舞伎を素材にしたマンガなんだそうです。
いくつもの時代物のマンガを描いているので、こういう作品は、得意です。というか、こう、大げさに見栄をきるそんなのを楽しんで描いているような気がします。
すごく、陰性の人間を描いても、カラリとしているところは、もしかすると、こういったお芝居からきているのかなぁとも思います。
お気に入りは、「轟く滝の下で」。
まか不思議な仙人(美形。暗い)が出てくると、この人の世界だなぁと。
しかも、あっさり、すくわれちゃ