戸川幸夫のレビュー一覧
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購入済み
凄い作品だった
碌に文字も書かない自分ですが、いやはやのめりこむ様に読んでしまいました。
話そのものもそうですが、ちょくちょく見開きで圧倒的な画力が眼底を殴ってくるのは昨今の漫画ではあまり覚えないものです。
少しでも興味のある方は二の足を踏まず買ってから考える事をお勧めします
同梱されている羚羊の話も大変引き込まれるものでした。
件の羆事件を知っている方も知らずにいる方も、読んでおいて損など何一つ無い話であります
ただ一つ、題材が題材なだけに、流石にショッキングなシーンはあります -
Posted by ブクログ
戸川幸夫『マタギ 日本の伝統狩人探訪記』ヤマケイ文庫。
動物文学の第一人者である戸川幸夫が昭和20から30年代に秋田県阿仁の最後のマタギの生活を記録した非常に興味深いノンフィクション。
東北の奥羽山脈のごく一部の地域で厳しい狩猟の掟を受け継ぎ、自然の中で自然と共に生活するマタギ。実際にマタギたちと山の中で狩猟の現場を取材し、マタギの歴史や風習、衣食住の様子を貴重な写真と共に記録した傑作である。
現代に於いても、まるで自然に回帰するかのようにキャンプや登山など山の自然を楽しむ人たちが増えているが、それは日本人が昔から山の自然と共に生きて来たという証しなのかも知れない。
備考に『阿仁ことば -
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購入済み
面白い、と一括りに出来ない…
作者略歴を見れば、矢口氏50台半ばの連載、それも「ビッグゴールド」というベテラン作家ばかりを集めた月刊誌での掲載だったのだから、かなり自由に描けた筈の連載だったろうと推察出来る。(しかも、趣味性の高いヤマケイ文庫で単行本化)ほぼ、矢口高雄という作家の絶頂期の作品と考えて良いのではないか。
実際、二本の作品のどちらも、胸に来るモノがあった。
子供の頃、「シートン動物記」に感動した人なら、強くお薦め出来る。 -
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Posted by ブクログ
作・戸川幸夫、画・矢口高雄『野性伝説 羆風・飴色角と三本指』ヤマケイ文庫。
何と幻の傑作『野性伝説』が合本され、2分冊となり、ヤマケイ文庫から復刊。
本作は1,000ページ余りのボリュームで読み応えがある。何しろ『羆風』だけで3分冊だったのに『飴色角と三本指』まで合本されているのだ。
『羆風』。何度かテレビでも取り上げられ、様々な書籍でも描かれている大正4年に北海道の開拓地で起きた最悪の羆害事件が矢口高雄の緻密な筆致で描かれる。何度読んでも恐怖を感じる。
『飴色角と三本指』。宮城県七ヶ宿を舞台にカモシカの飴色角とマタギ・三本指との闘いを描く。人間のエゴと野性……結末は…… -
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Posted by ブクログ
本来、人間は自然の一部である。
自然というフィールドにおいて、人間と他の動物とは対等であるべきなのだ。
大正四年十二月、三毛別羆事件として知られるこの事件は、二日で六名の死者を出す被害となった。
開拓民の村を羆が襲い、女子供を食べては、何度も現れる。
どこから羆が襲ってくるのか、村は恐怖に陥る。
一方、自分の縄張りで好き放題山を開墾する二本足を苦々しく思っていた羆はある日、彼らの家を襲うことにした。
自分の縄張りで何をしようと文句を言われる筋合いはない。
軒先のトウモロコシを食べていたが、ある時をきっかけに人肉の味を知ってしまう。(羆風)
かつては毛皮を目当てに狩猟対象だ -