伊井直行のレビュー一覧

  • 尻尾と心臓

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    尻尾って何なのか、心臓って何なのか、わからなかった。乾と柿谷と来ればセレッソ大阪で、どこかにオマージュが隠れているのかと思ったけど、それも見つけられなかった。乾と笹島が微妙な立場でプロジェクトを成功させなければならない理不尽は、他人ごとではない。安藤課長から日報フォーマットをもらうだけのことになぜこんなに時間や労力を使い、気持をすり減らさなければならないのだろう。「そういうことを含めて仕事」みたいに言う人もいるし、実際そうなんだろう。何をしたくて、何をするべきかがはっきりしていれば最短、最速で辿り着くことを考えたほうがいいんじゃないのかな。これまでの会社員生活を根性論でやり切ってきたほうだけど

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    2019年01月20日
  • 草のかんむり

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    絶賛三浪中の予備校生。謎の講師に自宅に招かれ、写真を見て気付いたらアマガエルに…!グリム童話のように、お姫さまに会って無事人間に戻れるのか??

    ナンセンス、とまでは行かないけれど、かなり奇想天外な話ではありました。アリのコンピューターとか。鍵を握るのが、出会った女性との関係や講師の過去ではなく、結局自分の勉強の結果なのか、という場面の展開の不可解さに物足りなさがあった。

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    2017年06月12日
  • 尻尾と心臓

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    九州の食品会社から東京の子会社に出向してきた乾と外資系コンサル出身のデキる女性、笹島がコンビを組んで、営業アシストツール「セルアシ」の開発に取り組むお仕事小説。

    よくあるサクセスお仕事痛快モノかと思って読み進むとそんな単純なお話ではなく、舞台となる会社「カキヤ」も気難しい社長も含めてかなり特殊で、この2人の仕事もうまくいったかと思うと壁にぶつかったり。しかもこの2人もお互いに信頼しあっているわけでもなく、いまいちかみ合っていない。

    とにかくとってもリアルです。その中で、最後近くで笹島が自分の母親とのエピソードと思い合わせ、仕事にはその人だけの人格、リアリティーが顕れると気づくあたりがテーマ

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    2017年03月20日
  • 尻尾と心臓

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    会社員小説というジャンルらしい。
    外資のコンサルから、国内企業に転職した女性と、その会社に本社から出向になった男性を中心に、会社での業務を中心に話が進められる。

    同じような経験を、実体験として持っているだけに、まぁ、そんなもんだよねとつらつら読んでいく。
    途中、自分の経験ではありえないことも出てくるが、まぁ、会社によってはあるかもねと通り過ぎる。
    そして、話は終わらない。
    企業は継続していくのが使命の一つなので、いい企業は終わらない。そして、きっちりけじめをつけないのも、日本的企業の体質ではあるので、本書も終わらない....
    うーむ。

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    2016年07月25日
  • 尻尾と心臓

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    九州の本社から子会社に出向となった乾は、外資系コンサルタントから転身した笹島彩夏と新規事業室で営業補助システムを立ち上げることになる。社内の協力を得られず孤立した二人の葛藤を描きながら、会社という組織で働き続けることの難しさが伝わってくる作品。

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    2016年06月25日
  • 会社員とは何者か? 会社員小説をめぐって

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    絲山秋子さんの「沖で待つ」が好きだ。
    芥川賞を受賞されたときの文藝春秋を捨てられずにいる。

    伊井直行さんの本書は、会社員小説の書評を集めたような本である。その中に「沖で待つ」を見つけたときには嬉しかった。解説を読んで、なるほどなと思う。

    いつだったか、駅から会社に向かう道路を歩いているとき、同じ会社の従業員が行列になって歩いている姿を見て、みんないろんな問題抱えているだろうに、毎朝ちゃんと出勤して仕事してえらいなぁとしみじみ感じた。華々しく活躍している一部の人を除き、大抵の会社員は地味に堅実に仕事をこなして、その働きが会社の支えとなっている。会社員小説というのは、そういった会社員に寄り添う

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    2012年06月17日
  • 濁った激流にかかる橋

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    笑う、漫画のようでもある、立方体の中のような話。
    一話ごとの長さがちょうどいい。角度がおもしろい。
    装丁はあまりよろしくない。

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    2009年10月04日
  • 愛と癒しと殺人に欠けた小説集

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    タイトル&前書きがあるという珍しさに惹かれて。6つの物語。それぞれ話は違えど全体的なトーンは似ている。しょっぱな「ヌード・マン」の世界についていけず。最後の展開が私の嫌いなタイプ。なのでその後の話にあまり期待しなかったんだけど、思いがけず楽しめたものも。この中では「掌」がいちばん好き。最後の「えりの恋人」も嫌いではないけど、ちょっと分かりにくかったために後味が微妙。

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    2009年10月04日