中村仁美のレビュー一覧

  • サイバラバード・デイズ

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    近未来のインドを舞台にしたSF連作短編集。

    SFは、たまにしか読まないからこそ、脳みそをガツンとやられる。

    舞台は2050年頃のインド。圧倒的に発達したナノテクノロジーやサイバー空間・AIなどにより驚異的な発展を見せる一方、政治的には8つの国に分裂し、気候変動による水不足が問題になり、遺伝子操作による男女構成比の崩壊が社会的なひずみを生んでいる。
    そんな近未来的な設定が前面に出てくる一方で、カースト制度やヒンドゥー教的なエキゾチックな世界観もがっつり根付いている。
    そんなSFと伝統が融合し、AIなどの超技術といかにも人間臭い登場人物たちの葛藤が融合しているところに、本書の魅力があると思う。

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    2013年06月20日
  • 黒き計画、白き騎士 時間結社〈カンパニー〉極秘記録

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    有史以前、人類誕生の時代から暗躍している秘密結社<カンパニー>。これこそ時間旅行と不老不死の技術を手に入れた真なる秘密結社であり、その他の秘密結社といわれるものは<カンパニー>の存在を隠すダミーでしかない。
    その<カンパニー>のエージェントたちの関与した事件の数々を収録した短編集。この作品のエージェントたちは、(タイプはさまざまだけれど)秘密結社の構成員というより大企業の末端構成員という感じ。いかにも秘密結社的に邪魔者を排除したり戦争を引き起こしたりはするけれど、基本的にビジネスなので希少生物が絶滅する前に保護するといっても、それが商売になるからやるだけ。命令だからするだけ。やりたい仕事ができ

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    2012年12月22日
  • サイバラバード・デイズ

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    いいね、この装丁、この紙質、この表紙。遠目に見たとき「あれ、またバチガルビ?」と思った。「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」はこれで統一しているんだね。近未来のインドを舞台にした日常をたんたんと描く。爆発的な面白さは無いけれど、設定と雰囲気で読ませる。SFの舞台設定として東南アジア流行ってるのか?この人の長編も読んでみたい。

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    2012年07月28日
  • サイバラバード・デイズ

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    面白かった!分割した未来のインドを舞台に超知性やAI、第三の性、ネットワークに存在する複数の人格AIを描く。7つの短編どれも面白かった。なかでも好みは「暗殺者」、敵対する二つの家、ロミオとジュリエットの過激版?と勘繰ったけど、題名がこれなので・・最後はなんとも
    「小さき女神」神になった少女、ワイヤーから落ちて死んだ叔父を笑いながらみていたところから神の資質は・・・神ではなくなってからも面白い
    「ジンの花嫁」「ヴィシュヌと猫のサーカス」も良いです。好きです。

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    2012年05月11日
  • 女帝の名のもとに ファースト・コンタクト 下

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    ネタバレ

    宇宙と地上を舞台に、人類と異星人クリーラとの壮絶な戦闘を描いた戦争SF。

    本作の魅力は、壮大なスケール感と緻密な世界観にある。クリーラの歴史や文化、さらには人類側の思惑が複雑に絡み合い、物語に深みを与えている。特に心に残るのは、クリーラの「血に流れる歌」という概念である。この歌はクリーラにとってのアイデンティティであり、人類との間に横たわる深い溝を象徴しているように感じた。

    また、ミリタリーSFとしても楽しめる要素が満載だ。宇宙艦隊の戦闘や地上での激しい戦闘シーンは、まるで映画のような臨場感がある。しかし、その一方で、戦争の残酷さや無意味さも描かれており、深く考えさせる場面も随所に存在する

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    2024年10月22日
  • 女帝の名のもとに ファースト・コンタクト 上

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    ネタバレ

    異星人との接触を描いたファーストコンタクトSF。人類の探査船は、植民可能な惑星を探すミッション中に高度な文明を持つ異星種族「クリーラ」と遭遇した。クリーラは、戦いを至上の価値とし、人類を新たな獲物とみなす。圧倒的な力を持つ彼女たちに対し、人類は必死に抵抗する。

    この設定だけでもワクワクが止まらなかったが、物語は予想外の展開を見せ、私を物語の世界へと引き込んでいった。

    特に印象に残ったのは、白熱した戦闘シーンだ。 宇宙戦のスケール感はもちろんだが、個人的に最も心を揺さぶられたのは、地上での白兵戦だ。刀や拳による肉体的な戦闘は、SF作品でありながら、どこか人間味あふれるものとして描かれている。

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    2024年10月20日
  • 女帝の名のもとに ファースト・コンタクト 上

    ある意味宇宙規模のラブコメだ!

    宇宙開拓を押し進める人類がついに初めて遭遇した「異星人」クリーラは戦いを崇める女のみの生命体だった
    人類を上回る科学技術を持ちながらも、「対等な戦い」を尊ぶ彼女らは人類にも戦いを挑んでくる
    戦わなければ生き残れない過酷な戦争が幕をあげた・・・・・・
    敵役が女で熱烈な好意を持って迫ってくるなんて、これはラブコメってやつですね(汗)
    クリーラ人は皆クリーラ人固有の哲学に基づいて情熱的かつストイックに生きていてかっこいいです
    文明が進みすぎた故か、もはや叶うべくもない異星種族との対等な戦いに情熱的な幻想を抱く彼女らは、本気を出せば人類など容易く全滅させることができるにも関わらず、敢えて人類

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    2020年06月15日
  • サイバラバード・デイズ

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    2030~2050年代、近未来のインドのおはなし。カレーとITの国というイメージのインドをこうまでSF的に昇華させたところがすごい。AIの進化と、脅威、ホークとパーマーによるコミュニケート(まるでサイバースペースへのジャックイン!)それよりはもっとナチュラルか。散りばめられたガジェットはワクワクもの。ブラーミンはAKIRAに出てくる、あの子供大人たちを思い浮かべた。

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    2019年10月18日
  • 黒き計画、白き騎士 時間結社〈カンパニー〉極秘記録

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    ああ、ね、日本語訳されてない面白いシリーズって、まだまだたくさんあるんだろうな。
    ということで時間結社<カンパニー>シリーズの本邦初翻訳短篇集。

    カンパニーのエージェントが完璧じゃないところがね。
    天才アレックはどうなるんだろう?筆者はもういないけれど、続きはあるのだろうか。
    また翻訳されますように。

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    2018年11月14日
  • サイバラバード・デイズ

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    「埠頭三角暗闇市場」のインドつながりで、積読状態だったのを読んでみる。

    分裂戦争状態に入った近未来インドもやはり暑く混沌として、ガンジス川では沐浴も火葬も行われている中でAIも同居している世界。

    最近ニュースや映画でも取り上げられているAIに恋するなんてエピソードもあり、近未来との地続き感も良好。

    混沌としたアジアとしては内側からの視点として描かれた「埠頭三角暗闇市場」と違い、異なる文化の外側からの視点で描かれています。

    様々なガジェットをミックスさせるのが得意な作者も、文化のミックスにきましたか。

    2000年に入ってから日本では音沙汰がなかった作者で久しぶりなのですが、やはり悩み、

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    2014年07月28日
  • サイバラバード・デイズ

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    ハイテクノロジーと土着的猥雑さが共存する近未来のインド。
    分離戦争が勃発し、ドラック漬けのロボット戦士が進軍。遺伝子工学の発達が男女比率の偏りを生み、深刻な花嫁不足に。生神が身売りをし、魔神の代わりにAIが跳梁跋扈する。モンスーンは訪れず聖なる大河が枯渇し、生身を捨てた情報ネットワークの住人は新世界へと旅立つ。
    欲望と信仰とテクノロジーの革新に翻弄されながら、それでも強かに逞しく生きる人々の物語です。
    楽しめました。

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    2014年02月20日
  • 黒き計画、白き騎士 時間結社〈カンパニー〉極秘記録

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    ネタバレ

    オムニバス形式の「カンパニー」のお話。
    カンパニー所属の不老不死なエージェント達が時間を移動して、儲かりそうでかつタイムラインを壊さないような案件を探してコソコソうろついているw
    理由がわからないんだけど、「ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア」の「すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた」を連想するんだよねぇ。
    面白かったので、作者の今後に期待。

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    2013年04月11日
  • サイバラバード・デイズ

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    これは今まで読んだ事のないタイプの作品。
    だって、近未来のインドが舞台!なんだかとてつもなく新鮮でした(笑)

    個人的なお気に入りは「暗殺者」。
    敵対する名門一族の男女の恋。甘さと切なさのバランスが絶妙です。
    「小さき女神」と「ジンの花嫁」も良かったな。

    「シャンタラム」を読んだ時にも感じた事ですが、
    インドには、猥雑さもあれば例えようのない美しさもあって。
    混沌とした中にも、抑えられたパワーが満ち満ちています。
    そこがこの本の魅力で、こんなにも惹きつけられるんでしょうね~。

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    2012年11月18日
  • サイバラバード・デイズ

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    世界観がしっかりしすぎていて入り込みにくいのですが、その分入り込んだらすげー面白い!!ってなりました。

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    2012年05月25日
  • 私が泣かない理由 シングルマザー経営者の幸せの作り方

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    20120320
    同じ地方、同世代、子持ち等似ている部分が多くとても共感できた。
    ママをしてやりたいことがある人にはもってこいの本だと思う。
    私は背中を押してもらえた。

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    2012年03月28日
  • 黒き計画、白き騎士 時間結社〈カンパニー〉極秘記録

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    丈ちゃんオススメの本

     600pを超える15の短編集。それぞれの時代においてサイボーグ化したエージェントが、それぞれに活躍するファンタジーである。

     複数登場するエージェントに感情移入できるかどうかってところが楽しむコツなんだが、外国作品だからか、そこが多少難しい。人間味を感じさせる好々爺ジョゼフも良いが、人間になりたいサイボーグのヒロイン・メンドーサや成長を続ける少年アレックなんかが、私の好みかな。


     序文はエージェントの紹介っぽい「ゼウスの猟犬たち」、メンドーサがブドウの樹の下の過去の事件を発見してしまう「貴腐」、役割がイマイチわかんない「スマート・アレック」、出来損ないエージェン

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    2013年09月01日
  • サイバラバード・デイズ

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    未来のインドが舞台のSFというのが醸し出すアヤシゲな感じはいいのだが、それ以上の新鮮味が正直なかったな。前評判がいろいろよかったので期待が大きすぎたのかもしれない。
    これまでになかった国を舞台にしたSFというのも、手法としてかなり使い古されてきた感あり。次は北朝鮮SFぐらいかしらん。

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    2013年05月11日
  • サイバラバード・デイズ

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    本当は★3.5くらい。
    「Days」というだけあって、近未来、分裂後のインドの日々を描いています。共通するアイテムはパーマとホーク。

    最初の数編は事件らしい事件は起きません。
    『小さき女神』『ジンの花嫁』で盛り上がり、最後のいっぺんで近未来インドの歴史を俯瞰するという構成です。

    大きな事件が起こるのを期待して読むと肩透かしですが、日常を描く佳品としてお勧めできます。

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    2012年06月20日
  • サイバラバード・デイズ

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    7 つの中短編からなる作品集。
    眼で活字を追っているのだが、
    なぜか脳に物語が定着せずにすべり落ちてしまう。
    残念な思いをした。

    「ジンの花嫁」
    2006 年 英国SF協会賞短編部門受賞作品。
    2007 年 ヒューゴー賞中編小説部門受賞作品。

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    2012年05月02日
  • サイバラバード・デイズ

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    東南アジアなSF→バチガルビっぽい。けど、熱気と匂いがあまりしない。リアリティはバチガルビに軍配

    ロボットとか、未知の世界への憧れとか、男の子だねぇ~というお話。前半。
    後半は結婚に関する話

    AI 3.0とかが出てきて、賢さ別に管理する。将来的にありそうで、リアリティを感じる

    話間で共通のガジェット多い

    表現が耽美。薔薇を燃やした灰の匂い、なんてことがさらっと書いてある。すごいね

    だが、記述がだらだらしているので退屈でもある

    ナノテク、情報技術、AI、遺伝子工学、ロボットとSFネタは盛り沢山だが、アイディアは落ち着いていて、目から鱗程ではない


    これで1,785円は高いと正直思う

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    2012年05月05日