中村仁美のレビュー一覧
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近未来のインドを舞台にしたSF連作短編集。
SFは、たまにしか読まないからこそ、脳みそをガツンとやられる。
舞台は2050年頃のインド。圧倒的に発達したナノテクノロジーやサイバー空間・AIなどにより驚異的な発展を見せる一方、政治的には8つの国に分裂し、気候変動による水不足が問題になり、遺伝子操作による男女構成比の崩壊が社会的なひずみを生んでいる。
そんな近未来的な設定が前面に出てくる一方で、カースト制度やヒンドゥー教的なエキゾチックな世界観もがっつり根付いている。
そんなSFと伝統が融合し、AIなどの超技術といかにも人間臭い登場人物たちの葛藤が融合しているところに、本書の魅力があると思う。 -
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有史以前、人類誕生の時代から暗躍している秘密結社<カンパニー>。これこそ時間旅行と不老不死の技術を手に入れた真なる秘密結社であり、その他の秘密結社といわれるものは<カンパニー>の存在を隠すダミーでしかない。
その<カンパニー>のエージェントたちの関与した事件の数々を収録した短編集。この作品のエージェントたちは、(タイプはさまざまだけれど)秘密結社の構成員というより大企業の末端構成員という感じ。いかにも秘密結社的に邪魔者を排除したり戦争を引き起こしたりはするけれど、基本的にビジネスなので希少生物が絶滅する前に保護するといっても、それが商売になるからやるだけ。命令だからするだけ。やりたい仕事ができ -
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ネタバレ宇宙と地上を舞台に、人類と異星人クリーラとの壮絶な戦闘を描いた戦争SF。
本作の魅力は、壮大なスケール感と緻密な世界観にある。クリーラの歴史や文化、さらには人類側の思惑が複雑に絡み合い、物語に深みを与えている。特に心に残るのは、クリーラの「血に流れる歌」という概念である。この歌はクリーラにとってのアイデンティティであり、人類との間に横たわる深い溝を象徴しているように感じた。
また、ミリタリーSFとしても楽しめる要素が満載だ。宇宙艦隊の戦闘や地上での激しい戦闘シーンは、まるで映画のような臨場感がある。しかし、その一方で、戦争の残酷さや無意味さも描かれており、深く考えさせる場面も随所に存在する -
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ネタバレ異星人との接触を描いたファーストコンタクトSF。人類の探査船は、植民可能な惑星を探すミッション中に高度な文明を持つ異星種族「クリーラ」と遭遇した。クリーラは、戦いを至上の価値とし、人類を新たな獲物とみなす。圧倒的な力を持つ彼女たちに対し、人類は必死に抵抗する。
この設定だけでもワクワクが止まらなかったが、物語は予想外の展開を見せ、私を物語の世界へと引き込んでいった。
特に印象に残ったのは、白熱した戦闘シーンだ。 宇宙戦のスケール感はもちろんだが、個人的に最も心を揺さぶられたのは、地上での白兵戦だ。刀や拳による肉体的な戦闘は、SF作品でありながら、どこか人間味あふれるものとして描かれている。 -
ある意味宇宙規模のラブコメだ!
宇宙開拓を押し進める人類がついに初めて遭遇した「異星人」クリーラは戦いを崇める女のみの生命体だった
人類を上回る科学技術を持ちながらも、「対等な戦い」を尊ぶ彼女らは人類にも戦いを挑んでくる
戦わなければ生き残れない過酷な戦争が幕をあげた・・・・・・
敵役が女で熱烈な好意を持って迫ってくるなんて、これはラブコメってやつですね(汗)
クリーラ人は皆クリーラ人固有の哲学に基づいて情熱的かつストイックに生きていてかっこいいです
文明が進みすぎた故か、もはや叶うべくもない異星種族との対等な戦いに情熱的な幻想を抱く彼女らは、本気を出せば人類など容易く全滅させることができるにも関わらず、敢えて人類 -
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「埠頭三角暗闇市場」のインドつながりで、積読状態だったのを読んでみる。
分裂戦争状態に入った近未来インドもやはり暑く混沌として、ガンジス川では沐浴も火葬も行われている中でAIも同居している世界。
最近ニュースや映画でも取り上げられているAIに恋するなんてエピソードもあり、近未来との地続き感も良好。
混沌としたアジアとしては内側からの視点として描かれた「埠頭三角暗闇市場」と違い、異なる文化の外側からの視点で描かれています。
様々なガジェットをミックスさせるのが得意な作者も、文化のミックスにきましたか。
2000年に入ってから日本では音沙汰がなかった作者で久しぶりなのですが、やはり悩み、 -
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丈ちゃんオススメの本
600pを超える15の短編集。それぞれの時代においてサイボーグ化したエージェントが、それぞれに活躍するファンタジーである。
複数登場するエージェントに感情移入できるかどうかってところが楽しむコツなんだが、外国作品だからか、そこが多少難しい。人間味を感じさせる好々爺ジョゼフも良いが、人間になりたいサイボーグのヒロイン・メンドーサや成長を続ける少年アレックなんかが、私の好みかな。
序文はエージェントの紹介っぽい「ゼウスの猟犬たち」、メンドーサがブドウの樹の下の過去の事件を発見してしまう「貴腐」、役割がイマイチわかんない「スマート・アレック」、出来損ないエージェン -
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東南アジアなSF→バチガルビっぽい。けど、熱気と匂いがあまりしない。リアリティはバチガルビに軍配
ロボットとか、未知の世界への憧れとか、男の子だねぇ~というお話。前半。
後半は結婚に関する話
AI 3.0とかが出てきて、賢さ別に管理する。将来的にありそうで、リアリティを感じる
話間で共通のガジェット多い
表現が耽美。薔薇を燃やした灰の匂い、なんてことがさらっと書いてある。すごいね
だが、記述がだらだらしているので退屈でもある
ナノテク、情報技術、AI、遺伝子工学、ロボットとSFネタは盛り沢山だが、アイディアは落ち着いていて、目から鱗程ではない
これで1,785円は高いと正直思う