門田泰明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者のファンとしては駄作に近いといわざるをえない。
主人公も含め登場人物の描き方が類型的すぎて魅力がない。唯一共感の余地があるのは表題作の負け組定年リーマンだけ。彼が会社への屈託を非常に文学的な手段で解消する点、起業小説と純文学の交錯が認められる。ただし時間をかけて練り上げられた屈託も最後には「溜まりに溜まった感情の爆発(または不発)」という退屈なワンパターンに結実してしまい、がっかりせざるを得ないのだけど。
そういうふうに感情の爆発でいかにも形式的なオチを付ける短編が多く、おいおいまたかよ。。。という感想になる。
経済小説の専門家でないためリアリティーがないのも、没入の妨げとなる。いろんな経 -
Posted by ブクログ
2章の構成だが、1章は月刊誌、もう1章は文庫本への付録として書かれたもので、主人公が同じ以外は全く別物のように読めてしまう。
1章は親友夫婦が襲われて夫は死亡、妻は重症となる。この夫は酒の席での喧嘩と労咳が原因なのか旗本を追放されるが、この理由が最後まで不明。襲われた理由も何となく分かるが、詳細は出てこない。主人公の日暮坂道場主の竜之介は犯人の手掛かりを求めて道場の総本山がある甲州へ行くが、行った先は残っていたものの恩師の娘が庵主となる尼寺に変わっていたが、これも詳細は不明なまま。
2章は訳ありの青年剣士と母親の話し。最後の方に青年剣士の出自が明かされる。この母親は竜之介と過去に相思相愛の仲だ -
Posted by ブクログ
「剣戟文学」と帯に書かれていて、確かに闘争の場面が激しい作家。一方、調べた知識を詰め込んだ箇所はゴシックで表現するという変わった文体。また恋愛表現が苦手なのかヒロインが出てもあっさり終わる。前作では大坂にいた女性を見初めて、江戸の屋敷まで呼んだのに、そのまま放置。今作ではその女性が行儀見習い先で賊に襲われて命を失ったのに、あっさりとしたような感じ。もっと憤怒に燃えるとか無いのかな。
今シリーズも最後は一人で殆ど敵を殲滅。3作目にして終了するが、黒書院監察官大目付の職に任じられてから「拵屋」とは離れる一方で、このタイトルのままで続くのだろうか?