寺脇研のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本を読んで意外だったのは、文部科学省にも真剣に教育のことを考えている人がいたという事実だ。学校に勤める職員のほとんどは、文部科学省をこころよく思っていない、というよりむしろ、教育の敵くらいに考えている。文部科学省とは、権力者や経済なんとかという金の亡者が、生徒のためでも教員のためでもなく、単に己の利益のために思いついた作戦を、適当な美辞麗句で包んで一方的に現場に強制し、当然のごとく失敗しても、責任はすべて現場に押し付ける組織だと思っている。実際その通りであることは、英語の授業におけるオーラルコミュニケーションとやらの失敗や、最近では加計学園事件で証明されているが、この本を読んで、文部科学
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Posted by ブクログ
自分はギリギリゆとり教育の手前の世代で、しかもそれ以前の教育体制の中ではいわゆる「エリート」に属していたこともあって、ゆとり教育に関してはアンチでした。しかし、最近になって「ゆとり世代」と活動することが増えて行く中で、彼らの柔軟さや、できない子を切り捨てるのではなく、自分の負担になってでも相互理解を進める姿勢に感心していたところに、運良くこの本に出会えました。
すでに「成長期」を過ぎた日本において、私たち以前の「やればできる」という価値観が意味をなさないこと、競争ではなく共生の発想のものに生きていること、シュリンクして行く社会において寄付やボランティアが重要であること、どれも非常に学びになりま -
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Posted by ブクログ
前川喜平と寺脇研の対談。
前川喜平は、文部科学省の天下り問題で責任をとって事務次官を辞任、その後、加計学園問題で、文書があったと証言した人。
対談相手の寺脇研も文部省で「ゆとり教育」を推進した人。
お互いのやってきたことを話し合うような感じ。
どのように組織の中で自らの信念を貫いたかというようなストーリーが多く、武勇伝というか、結果、自分たちをほめたたえている。
流石、官僚組織で出世するような人たちだから、ぎらぎらして、口もうまいんだなーという印象も受けた。
どこまで組織の中で、話しているような反骨精神で推し進めていたのか、当の本人たちが語ってしまっているので、客観的にはわからないが、こ -
Posted by ブクログ
やや自画自賛に見える部分はありますが、お二人ともが、日本の教育の将来に対して、自らが持つ力を捧げて仕事をしてきた人であることがよくわかります。
強いものになびき、時の強者の意に沿う行動だけを競うレースに、なんとか参加せずに生きていきたいと思わざるを得ません。
「ゆとり」か、「それ以外」か。
「改革」か、「抵抗勢力」か。
なんでも単純化して、なんでも標的を作っては一人の強者の周りを多数で固めて「黙れ黙れ」をするのは、残念ながら日本のお家芸なのかもしれません。
実態のない「おもてなし」より、
「黙れ黙れ」の方が、ずっと日本を象徴しています。
自分が世を去る100年先、ではなく、
「20年 -
Posted by ブクログ
寺脇研さんの、タイトル通りの、若者礼賛の本。
行間がめちゃくちゃ広いし、字も大きくてすぐ読めます。
悪い意味ではないですが、かなり偏っていたきらいがありました。
寺脇さんの言う「生きる力」は、いいことしか言うてないので、「いや、それは無理やろー」ってなる。
あと、戦後すぐの世代が幸せに生きてきて、バブルが弾けて以降の若者たちがしんどい思いをしているっていう単純な分け方には納得しかねました。たぶん、それぞれにしんどいことがあるはずで、今の若者に一.五票を持たせるっていうのも現実味がなさすぎると感じてしまいました。
その他寺脇さんの主張に、大方は賛成ですが、若者「だけ」ではなく、戦後世代にも、バブ -
Posted by ブクログ
ネタバレ15年くらい前の本。ゆとり世代に関してはご自身が推進しただけあって、擁護するのは当たり前。ただ世間で言われていることも強ち間違いではない気もする。そして今よりもまだまだ理想を訴えてもよかったんだと思ってしまう。考え方は賛成なこと多い(原発反対とか)けれども、この15年間で起こったこと、コロナやウクライナ、能登半島地震などを経験すると理想だけでは立ち行かなくなっている。
そして、この本では『失われた20年』だが、結局30年失われちゃっている…
それこそ今、ポピュリズムで時代の転換期なのか、日本の先行きますます混沌としてきている気がしてる。