円満字二郎のレビュー一覧

  • ひねくれ古典『列子』を読む
     朝三暮四や杞憂などの故事成語の典拠として知られる『列子』だが、それ以外はあまり知られていない。老荘思想の流れを組みながらも独自なストーリー展開をする『列子』の魅力をこの本は分かりやすく説明してくれる。
     逆説や意図的な論理矛盾、まとまらない終わり方など現代小説が行っている手法の原点がここにあったと...続きを読む
  • 漢和辞典的に申しますと。
    言葉や文字って面白い。故事来歴はもっと面白い。漢字に限って言えば、じっと眺めていて想像します。この漢字はこういう感じかしら。いやいやそんなことよりもっと深いものでした。


    まず目次から 

    1 食べる漢字と飲む漢字
    2 体育会系の漢字たち
    3 漢字で見る夢のいろいろ
    4 理数の国の漢字たち
    5 漢...続きを読む
  • 政治家はなぜ「粛々」を好むのか―漢字の擬態語あれこれ―
     これは眼から鱗。「ぶつぶつ」「どきどき」といった和語の擬態語はなじみ深いけど,中国から伝わってきた漢語の擬態語もあって,日本人も長い間親しんできたんだよという話。
     漢字は表意文字で,字自体が意味をもつという固定観念があったので,今まで意識したことがなかったが,漢語に擬態語があるのはまったく自然で...続きを読む
  • 漢字が日本語になるまで ――音読み・訓読みはなぜ生まれたのか?
    中国語の真似をしてできた音読み、中国語を知らない人にも分かりやすいようにした訓読み、そして新たに生まれた日本独自の音読みや日本独自の漢字。
    歴史系書物に弱い私でも漢字の歴史を興味深く思えた一冊。

    「外国語を学ぶことは、ものごとのとらえ方のちがいに触れる異文化体験」は、確かに。
    英語以外にも外国語に...続きを読む
  • 漢字が日本語になるまで ――音読み・訓読みはなぜ生まれたのか?
    漢字が日本で使われるようになった経緯を丁寧に説明した本だ.万葉仮名を発明し、その余韻が歴史的仮名遣いに残っているのは、日本人の創意工夫の産物だと感じた.さらに日本で作った漢語を中国が導入することなど、興味ある話が楽しめた.
  • 漢字が日本語になるまで ――音読み・訓読みはなぜ生まれたのか?
    円満字さんのファンなので、はじめは前にも読んだことある内容だなあと思いながら読んだ。
    中学生向けの本だから、わかりやすいよう、とっつきやすいよう、文体にも気を配って書かれている。
    しかし、簡単で知ってることばかりだったかというとそんなことは全くなく、通読すると、やっぱり「なるほど!」と思うことが多か...続きを読む
  • 漢和辞典的に申しますと。
    以前、この人の本を一冊読んだと思う。
    『漢和辞典に訊け』だったかな。
    その時以来、気になっていた疑問が本書で解決した。
    「円満字」さん、というお名前は本名なのか?という疑問だ。

    漢和辞典編集者、ということは、会社員の立場がある人として、あえてペンネームなのか、とも思っていたから。
    それで、今回分か...続きを読む
  • 漢和辞典的に申しますと。
    書くのは正直面倒くさいけど、漢字を読むのはすごく好き。
    読み方、意味だけではなく、成り立ちというストーリーがあるのが素晴らしいと思う。
    さすが表意文字。
    表音文字ならこうはいかない。

    ただ、この本を病室のベッドで読んでいて、しみじみ年を感じてしまったのは、画数の多い似たような文字の違いがなかなか分...続きを読む
  • ひねくれ古典『列子』を読む
    『老子』は極端、『荘子』は大げさ、『列子』はひねくれ。そのひねくれとはエピソードの構成と展開が考え抜かれたものであることによるという。 ただ、『列子』のエピソードは人に読ませる面白さを追求した結果、思想を伝えるという面で甘くなっているという。そのため「まともな」中国思想学者からは忌避されて、日本での...続きを読む
  • 政治家はなぜ「粛々」を好むのか―漢字の擬態語あれこれ―
    「漢字の擬態語」って何だ? と思いますが、まさに漢字で書かれている擬態語のこと。擬態語というと、ひらがな、かたかなで書くイメージですが、確かに中国では漢字で書くしかない訳です。
    「粛々」は一例として、中国で擬態語として使われていたであろう言葉が日本に伝わり、漢字のまま擬態語になったり、あるいはそれが...続きを読む
  • 漢字が日本語になるまで ――音読み・訓読みはなぜ生まれたのか?
    漢字に興味を持った子ども向け。
    文体が易しいので興味があれば小学校高学年から読める。
    大人が読んで、漢字練習に嫌気がさした子どもに豆知識として教えてあげるのも良いと思う。
  • 漢字が日本語になるまで ――音読み・訓読みはなぜ生まれたのか?
    言葉の成り立ちには興味あり。言葉遣いには一家言、みたいなスタンスでいたい。それにしても、”こうしょう”。カウとかコウとか、シヤウとかシヨウとかセウとか。現代語での発音は同じでも、古語とか中国語にすると、それぞれ違ったものになるんですね!そんな目で辞典を引いてこなかったから、正直目から鱗でした。こうい...続きを読む
  • ひねくれ古典『列子』を読む
    あべこべ病、孔子の憂鬱、心臓移植(人格の入れ替え)、ウィンクをするロボットなど、妙ちきりんな話がたくさん。
    ひねくれた論法などに道家の流れを汲んでいるのが感じられる。
  • ひねくれ古典『列子』を読む
    老荘思想についてや書物の成り立ち等も書かれているが、基本的には著者の読書感想文。列子という思想家の本に触れる入門書としてはいいかもしれないが、この本ではそれほど思想の内容に触れることはできない。
  • ひねくれ古典『列子』を読む
    編集者として高校教科書や辞書の編纂に携わった著者がお気に入りの古典『列子』を語ったもの。

    列子はいわゆる老荘思想の一派ですが、内容が雑多で荘子の焼き直しエピソードが目立つことなどから決してメインストリームの思想ではありません。エピソード性が高く、高校漢文の「杞憂」「朝三暮四」などの出典となっていま...続きを読む
  • ひねくれ古典『列子』を読む
    円満字二郎(えんまじ じろう)『ひねくれ古典『列子』を読む』(新潮選書、2014年)

    著者の名前がひねくれていると思った。

    本選書は諸子百家の一人である「列子」の紹介本だ。20話の白文、読み下しに著者の解説からなる。

    我々は「杞憂」とか知っているようで知らない。教科書に載らない続きの話が面白い...続きを読む