あらすじ
どうして読まない字や二度読む字があるのか? なぜひっくり返すのか? 独自の読み方に四苦八苦した人も多いはず。四字熟語を手がかりに、返り点や句形といった漢文を読むための基本的な知識を丁寧に解説、漢文の“なぜ”が分かるようになります。また、漢文はどれも大昔に書かれたものですが、現代に生きる私たちに引き付けて味わうことができるものがたくさんあります。本書では、なるべく多くの書物から題材を選んで紹介しています。その時代を知り、漢文の世界の面白さが伝わる一冊になっています。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
四字熟語や故事に興味があったので読んでみたところ、「意気揚々」や「百発百中」といったメジャーなものから、「城孤社鼠」や「南郭濫吹」といった初めて見るような四字熟語まで分かりやすく解説され、楽しく読み進めることができた。
Posted by ブクログ
漢詩の世界や四字熟語が好きで、漢文を四字熟語から勉強できるなんて、面白そうだし分かりやすそうでいいなと思った。「意気揚揚」や「百発百中」など中国古来の由来も知れて、勉強になった。漢文は難しいけれど、一歩ずつその世界に近づいていけたらと思う。
Posted by ブクログ
何気なく使っている四字熟語が漢文から発生していることはある程度認識していたが、原文を参照して詳しく説明していることは素晴らしいと感じた.暴虎馮河、金玉満堂、盤根錯節、城狐社鼠などあまり見られないものもあったが、白文を読みこなすことで意味がつかめてくると思う.そのためのテクニックが数多く出てくるので覚えておきたい.
Posted by ブクログ
四字熟語を元に、返り点や句形など漢文の基本に触れた漢文入門書。分かりやすいし、取り上げられている四字熟語は有名なものから「城狐社鼠」「南郭濫吹」など知らないものまであって、面白かった。句形の基本形にサ変の「せ」を加えると混乱しがちなんだよなぁとか思うところはあるけど、かといって「しむは未然形接続だからここは未然形で…」とかいうとそれはそれで古典文法の知識が必要になるから、一般向けの新書としてはこれくらいが分かりやすいかなぁ、と偉そうに思うなど。麻姑掻痒の、仙女の爪が鳥の爪みたいだったのを見て背中を掻くのによさそう、とか思ってしまう仙人が人間味があって面白い。孫の手、はもともと、麻姑の手、だったらしい。なるほど。
Posted by ブクログ
この本めちゃくちゃ面白くない???????日本の古典文学が好きで、古典を真に理解するには中国の古典からやらねば…漢文勉強しないと…と思いつつ、漢文てハードル高そうだよなあ…と尻込みしていたわたしにとって、救世主のような本だった。
四字熟語の元となった話をベースに、漢文の基礎となる文法を学べる。当たり前だけどめちゃくちゃ忘れてたよね!レ点くらいしか覚えてなかった。でもあくまでも文法はおまけみたいな感じで、ストーリーを紹介してくれるのがめちゃくちゃ面白い!漢文の文法書?って結構取っ付きにくい本が多いイメージだから、本書はわかりやすいしイメージつきやすくてとっても良かったな…
おそらく文法の基礎の基礎の部分はある程度拾ってるんだと思う。何だか読めるようになった気にさえなる。そしてもっと漢文を読みたくなる!!
『おわりに』で、「この小さな本をきっかけにして、漢文の世界にこれまで以上の親しみを感じてくださる方がいらっしゃるならば、著者として望外の喜びです。」と書かれているのですが、まさに親しみを感じました。もっともっとこの人の本も読んでみたいと思いました。
漢文苦手な学生にも、漢文勉強したい大人にも超おすすめ!
強いて言うなら、ブックリストがあると最高でした!
Posted by ブクログ
著者も「おわりに」で言っているように、漢文を学ぶための「“教材“ではなく、内容的にも読む価値がある”本物の文章“を通じて学習を進めていく(p211)」ことをコンセプトにした漢文入門。訓点のついた原文が、本当に初心者にちょうどいいくらいの難易度と量でとってもよい。
有名無名の四字熟語を例に、元となった故事を説明する合間合間で、決め台詞となる部分が原文で出される。ちょっと漢文に触れた感もあって、特別、漢文の専門家になりたいわけではないけれど、漢文に触れたい人にとっては、内容もわかって満足感もある。個人的には、「画竜点睛」の龍が飛び立つシーンが、漢文で引かれているところが好き。
須臾雷電破壁、両竜乗雲、騰去上天。
須臾にして雷電壁を破り、両竜雲に乗り、騰去して天に上る。(p183)
簡潔な描写でかっこいい。
原文や書き下し文の前後で、お話の内容の大体を説明してくれている。だからこそ、解説との対比で、元の漢文の表現が、いかに簡潔端的であるかが目立つ。解説を読んでから、解説に当たる本文を読んでみると、たったこれだけの文字数なんだ、と驚くことが多かった。そういった意味でも、簡潔明解な漢文の魅力がよく伝わってくる。
超有名な言葉だけでなく、ほどよく新しい四字熟語を取り入れているとこも、ちょっと詳しくなった感を出してくれて学習意欲につながっているように思う。
初めて知った四字熟語で面白かったのは、『韓非子』の「南郭濫吹」。下手くそな笛吹きが、大人数で演奏しているうちは、演奏に加わっていたが、皇帝が代わり、ソロで演奏させれるようになってからは、逃げたというお話。一般的には、「組織をうまく運営するためには、構成人員一人ひとりの能力をきちんと見極める必要がある」という意味で使われる四字熟語だけれども、それ以上に、ソロで演奏させられるようになった笛吹きたちの描写が好き。
処士、逃。
処士、逃ぐ。(p147)
漢字三文字。そんな簡潔な表現あるか、というくらい簡潔でいて、処士の様子がきちんと伝わってくる。
返り点に送り仮名、句形といった、漢文ではお馴染みの基本的知識も必要以上に多くなく、名場面を楽しむには十分な説明をしてくれている。一般の人と漢文との、よい感じの距離感を教えてくれる本だった。