円満字二郎のレビュー一覧
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「漢字の擬態語」って何だ? と思いますが、まさに漢字で書かれている擬態語のこと。擬態語というと、ひらがな、かたかなで書くイメージですが、確かに中国では漢字で書くしかない訳です。
「粛々」は一例として、中国で擬態語として使われていたであろう言葉が日本に伝わり、漢字のまま擬態語になったり、あるいはそれが変化して行ったりということを解き明かしていきます。
本書のテーマからは外れますが、「粛々」の使用例を新聞DBで検索すると、近年非常に多いそうですが、それは政治家が好むだけではなくて、メディアがそのまま書くからじゃないかなあ、なんて気もするのですが…
ともあれ、なかなか好きなカテゴリーの本です。 -
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編集者として高校教科書や辞書の編纂に携わった著者がお気に入りの古典『列子』を語ったもの。
列子はいわゆる老荘思想の一派ですが、内容が雑多で荘子の焼き直しエピソードが目立つことなどから決してメインストリームの思想ではありません。エピソード性が高く、高校漢文の「杞憂」「朝三暮四」などの出典となっています。(これに限らず高校漢文では、たとえ話のエピソード部分のみが取り上げられて本論は語られません)
しかし、それゆえに自由な面もあり、完璧なお師匠ではない列子の姿があれこれ語られます。これもまた老荘的態度といえましょう。
○私たちはときに、"逆説"というひねくれたものごとの見方 -
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円満字二郎(えんまじ じろう)『ひねくれ古典『列子』を読む』(新潮選書、2014年)
著者の名前がひねくれていると思った。
本選書は諸子百家の一人である「列子」の紹介本だ。20話の白文、読み下しに著者の解説からなる。
我々は「杞憂」とか知っているようで知らない。教科書に載らない続きの話が面白い。そうだったのかというわけである。
そうして列子をもっと読もうとすると、ご親切にも参考文献を載せているのだが、高価だったり重版未定で入手しにくいのである。
このあたりは、本のタイトルのようだ。面白いぞ、と煽っておいて、でも手に入りにくいぞといっている。出版界へのアピールと受け止めたい。