霜島義明のレビュー一覧
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クロフツ1920年発表の処女作にして代表作。推理小説の古典であり、愛好家必読の一冊でもあるのだが、肩肘張ることなく今でも充分に楽しめる。ストーリーは、殺人事件の発生からドキュメントタッチで展開し、実直な警察官と私立探偵の地道な捜査によって、ひとつひとつの謎が解き明かされていく。天才的な探偵による名推理を排し、極めて地味な印象を与えかねないが、リアリスティックな描写は考え抜かれた構成の妙によって、返って滲み出るような緊張感を生んでいる。本作品が突出しているのは、表題でもある「樽」が冒頭から終幕まで動的なモチーフとして効果的に使われていることで、不可解な謎の核として機能し続ける。本作の真価でもある
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今から100年ほど前のミステリー小説。
「樽から女性の死体が……」というショッキングな出だしからは想像できないほど、丹念な謎解きのプロセスを描く。
この物語には、ポアロもホームズも、メグレ警視もいない。
謎を解いていくのは、普通の真面目な職業人たち。
しかも、発見者ブロートンは早々に退場し、300ページ近く丹念に捜査していたバーンリー警部とルファルジュ刑事は、最後の100ページで弁護士と探偵に取って代わられ……
さてさて、いったいこの物語の主役は誰だったのか……。
そう、最初から一貫して登場する“樽”です。
時代は、社会を動かす力が人力から化石燃料へ劇的に変わるころ。
馬車から船や汽車、自 -
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推理小説における"アリバイ崩し"という要素を確立させた、古典的名作。
今まで読んできたミステリが、天才的な頭脳を持つ変人名探偵が、天才的な推理をして、複雑怪奇な謎を解くのが殆どだったので、本作のような一般的な感性を持つ刑事や探偵が、自分の足を武器に、ひたすら捜査、聞き込みを繰り返し、地道に一歩一歩真相解明に近づくというのは、割と新鮮だった。なんかこういう系は地味〜な印象を持っていたので今まであんまり手に取ろうとは思わなかったのよね...
実際インパクトは少ないのだけれど、その分堅実に面白かった。
たまにはこういうリアリズムに溢れたのも良いなぁと思った次第。(でもやっぱりミス -
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不況の煽りを受け経営者チャールズの工場は閉鎖寸前、頼みの綱は叔父の財産だったがあえなく断られる。 先の短い一人の老獪と将来のある従業員たちを天秤にかけたチャールズは・・・。
古典中の古典の倒叙ミステリです。 一章にて叔父が殺されます。 当然犯人はチャールズなのですが二章以降のチャールズの計画・行動・心理描写が素晴らしい。 人間の一喜一憂、警察の領分や法廷の様子を丁寧に描いている。 ミステリにありがちな過剰な装飾や目立ちたがりな探偵や警部は登場せず現実に則った警察と容疑者の攻勢が描かれる。 派手さを削いだリアル故の地味、解決に至るまで精緻を究めた一作。 -
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本作は倒叙ミステリ(物語前半に犯行が描かれ、後半で探偵がそれを推理していく形式のミステリ)であるので、前半と後半について述べる。
前半は犯人の様子や心情が細かく描写されていて、とても楽しく読めた。犯行を決意するまでの心情の変化は同情を覚えるほどだったし、犯行の瞬間などは動悸が抑えられなかった。テンポも良くてスリリングだった。
一方後半は、探偵がどのように犯人を突き止めたのかを説明しているのだが、これがイマイチ盛り上がらない。捜査は(当然なのだが)地道で、あっと驚くような証拠もない。ひたすらに可能性を潰していくプロシージャになっている。
まとめると、前半は楽しく読めたものの後半は退屈に感じ -
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1912年のロンドンにパリから船便で樽が到着したが、港湾の荷卸しで樽を破損した際に隙間からおが屑と金貨がこぼれ落ち、更に女性の遺体が発見された。
スコットランドヤードのバーンリー警部は受取人フェリクスを尋問するがどうやら疑惑は送り主の方らしく、早速パリに向かう。
パリからロンドンへ発送されたのは二つの樽でロンドンからパリへも一つの樽が運ばれていた。
樽の移動と容疑者のアリバイが焦点のストーリーでスコットランドヤード、パリ警視庁、弁護士、探偵がそれぞれの役割を演じ樽の謎に挑む。本作は、古典ミステリーの名作と言われ、アガサ・クリスティやエラリー・クインと並ぶ著名ミステリー作家ですが、 -
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ネタバレ面白いか、面白くないか、と聞かれたら、面白いと答えるし、確かに、無駄のない感じなど名作なのだろうと思う。初めから犯人が分かっている倒叙ものとして、上がったり下がったりの犯人の心理描写と、いつの間にか有罪になっているさま。どこでミスったんだろかと、犯人に感情移入。最後の推理プロセスお披露目も、なるほどねと、すんなり。フレンチ警部の、ノロマと思われたでしょうが、、、とか、よくもまあべらべらと、というくだりも、くすっと。これが、もっと当時に読んでたら、こんなパターンもありなのかと、すごく驚きもあったかも。ハウファインディットかい、みたいな。いかんせん、いろいろ読んでるし、コロンボなど倒叙モノを見てる
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ネタバレ船便で港に届いた樽。
荷降ろしの途中に隙間から金貨がこぼれおちてきた。
不審に思い少し中を探ってみるとなんと女性の腕が。
警察に届け出ている間に樽は行方をくらましてしまう。
樽を奪った男は中身について知っているのか、樽を探し事件を解決せよ。
「樽」って聞くと和風ですが、原題は「The Cask」。
なんだかかっこいい!
さて内容。
まずは樽をじっくり検分するまでに時間がかかる!
しばらく行方不明になるんですから。
見つけてからやっと捜索。
まずは警察の手に委ねられます。
ロンドンのバーンリーとパリのルファルジュは仲良しデカ。
捜査の合間に飯を食い、クラブに行き、エンジョイしまくり。
警察は