横光利一のレビュー一覧
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乙女の本棚シリーズ。
タイトルやピンクの背表紙から、明るいお話を想像していましたが全く逆。結核を患い死期が近づきつつある妻と、それを支える夫の、閉塞感の漂う暮らしを描いた作品でした。
病で気が滅入り、夫に当たってしまう妻。それを受け止めるしかない夫。そんな事、言わなくていいのに⋯と思ってしまいますが、体が辛く更に治る見込みも無ければ、お互い心が荒むもの仕方ない事です。最後の明るさは、妻の体が楽になったという事なのでしょうか。
初めて読む作家さん、初めて見るイラストレーターさんの作品でした。苦しい内容ですが、表情のない男女のイラストがよく合っていました。
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Posted by ブクログ
本書を読もうと思ったきっかけは、北村薫さんの「空飛ぶ馬」で、文学部の女子大生が本書を取り上げていたことから、大学生が読む作品って、いったいどんな感じなのだろうと興味を持った、ただそれだけなので、文学としてどうこうといった崇高な内容は全く書けないことを、先に記しておきます。
それから横光利一については、ごめんなさい、全く存じ上げなかったのでネットで調べてみると、川端康成と共に新感覚派として、大正末期から昭和初期の文学に新たな局面を切り開き、活躍された作家とのことで、本書の解説はチンプンカンプンだったものの、なるほど、「雪国」を読んだような感覚で捉えればいいのだという気持ちで、改めて向き合っ -
購入済み
花園の幻想的な記述
代表作の一つ「春は馬車に乗って」と同じように、肺結核を患った妻の死を扱った作品である。当時としては唯一の療法であったサナトリウムの花園の幻想的な記述と、麓の漁村の猥雑な力強い風景との対比が面白い。しかし、夫婦の心理状況の記述は「春は馬車に乗って」よりは1段劣ると思える。
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Posted by ブクログ
はい、20オネエです
『乙女の本棚シリーズ』も、もはやベテランの域です
乙女の本棚プロと言ってもどこからも異論は出ないと思われます
そんなプロからこれから『乙女の本棚シリーズ』を読もうとしている皆さんに貴重なアドバイスをしましょう
先に解説みたいなん読んじゃダメです絶対
そっちに引っ張られちゃいますからね
自分が感じたことを堂々と誇りましょう
偉い学者先生の解釈とぜんぜん違ったっていいじゃない
そんなん蹴飛ばしちゃえばいいじゃない
笑われたって馬鹿にされたって自分が感じたことを自分が信じてあげなきゃ
で、今回わいが感じたのは「馬鹿馬鹿しさ」でした
死に向かう妻と看病に疲れる夫の言葉 -
購入済み
恐るべし横光利一さん
読み始めた時は、単なる高等遊民の戯れ言かと早や、作品の選択を間違えたか?と後悔しかかってから、あっという間に引き込まれラストは、えっ?もう終わり?とまだまだ物足りない読後感でした。女性の心理描写が巧みですね。宗教と結婚。 簡単ではないですね。私はずっと漱石さんの虞美人草の続編みたいな感覚に囚われていました。ハッピーエンドはないのかな。静かに読み返します。
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購入済み
やっぱり似ている
この人はどうも似ている。つげ義春に。最初に読んだ『機械』にしてからがそうだった。狭苦しい工場の中での、貧乏くさい抗争。それは実際に工場で働いている私にも共感できる程度に、よく描写されていた。そして価値観の不毛を感じさせる作風。つげ義春の同類と言うに十分ではないか。
そう思っていたら、今度は鳥である。そのうち石を売ったりなどするようなら、同一人物とみなしても差し支えなかろう(あるか)。