横光利一のレビュー一覧

  • 春は馬車に乗って(乙女の本棚)
    横光利一さん、縁がないけど気になってたので手に取った乙女の本棚シリーズ。
    死の淵にある妻とそれを看病する夫を描写した物語。
    美しく柔らかなイラストのおかげで、文章だけだとどんどん暗く重たくなるストーリーが、一定の愛情と美しさを保って捉えられます。

    本人ではどうしようもなく、病による不安や理不尽さか...続きを読む
  • 上海
    暗く淀んだ路地裏、花売りの声、豚の油の浮いた下水の匂い。刻一刻と変化していくアジアの情勢。上海の息づかいと歴史の息づかいが見事に調和している。
  • 春は馬車に乗って(乙女の本棚)
    本が読めなくなって冬から数ヶ月かけて読んだら、
    春になってた。
    花束を渡す最後がとても良い。 
    その一方で、現実の話ではないのだと感じた。
    なんでかなぁ。
    でも本当なら良いなぁ。
  • 春は馬車に乗って(乙女の本棚)
    1898/3/17〜1947/12/30 利一忌
    1926年作

    病気で自由にならないその身の悔しさと最期が近づく苦悩。その病気が言わせるワガママを夫に放つ事ができる素敵なカップルだなあと思うのです。
    それでも 看病と経済に疲れを感じつつある夫。
    医者から、いよいよ現実的な最期を知らされた夫は死に...続きを読む
  • 春は馬車に乗って(乙女の本棚)
    病の苦しみ、やがて訪れる死を前に揺れ動き、苦悩し、そして鎮まっていく二人。
    2人のやり取りが、のたうちまわり、苦しみながらも、澄みきっていく過程が丁寧。
    イラストも、秋から、苦悩に満ちた冬、春への移り変わりが描かれていてどこを開いても美しい。
    文字色も工夫してあるのかな?
    終わりと春にむかううつろい...続きを読む
  • 春は馬車に乗って(乙女の本棚)
    横光利一 × いとうあつきさんコラボ作品
    「春は馬車に乗って」読みました。

    肺結核で衰弱していく妻を献身的に看病する夫。
    庭に池があって寝室からは海が見える家で
    若い夫婦ふたりで暮らしている…。
    そんな夫婦の儚くも美しい愛の物語。

    人は死ということに向き合う時に
    「否認、怒り、取り引き、抑うつ、...続きを読む
  • 春は馬車に乗って(乙女の本棚)
     乙女の本棚シリーズから、横光利一さんといとうあつきさんのコラボ作品「春は馬車に乗って」です。なんともきれいな色使いのいとうあつきさんのイラストは、とってもステキです!

     内容は、肺の病に侵され余命わずかな妻を看取る夫のお話です。病に苦しみ、夫にあたるしかない妻…夫も妻に振り回されながらも妻に寄り...続きを読む
  • 夜の靴 微笑
     初版は鎌倉文庫(1947年11月)。
     著者の山形での所懐生活に取材した日記体の長篇。作中では日付は匿名化されている(「―日」と表記される)が、文芸文庫版の巻末資料に掲げられた河上徹太郎の文章によれば、1945年8月15日から12月15日までの4ヶ月間の時間が描かれている。

     5月末の東京空襲後...続きを読む
  • 旅愁(上)
    夏目漱石も西欧の近代合理主義と自分のこころとの矛盾に悩む青年を描いたが、横光利一もそのような西欧合理主義の教育を受けながらも実際欧州に行ってみて、反発や適応せざるをえない苦しみをこの長編に描いた。ヨーロッパを賛美出来ず、なお日本に寄り添ってしまうこころを解剖してみせる。

    昭和11年(1936年)と...続きを読む
  • 上海

    上海

    元本には素晴らしい挿し絵スケッチがありましたが、この電子書籍にもありますか?
  • 上海
    1920年代の上海。欧州列強に加えてアメリカが中国でのビジネス拡大を狙い、日本もまたそれに対抗する。そしてまた、革命を逃れたロシア貴族が滞留。現地の中国人の多くは、国内外の資本の下で厳しい労働条件に苦しみ、共産党が勢力を伸ばす。その共産党が外国資本に打撃を与えるべく罷業を計画すれば、それを中国の資本...続きを読む
  • 夜の靴 微笑
    微笑だけ読む。扇風機の中心から目を外した一瞬だけ見ることができる半歩先の世界。世の中は戦争が終わっても相変わらず排中律で、誰もが狂っているような中で、その世界を信じるだけで心が少し軽くなるような、願いに満ちた小品。素晴らしかった
  • 旅愁(上)
    まだ簡単に海外にいける時代じゃなかったときの留学生の話。自由に海外にいける今、昔の大学生くらいの熱意を持っていたいよね!スイスのシーンがすてき!
  • 春は馬車に乗って(乙女の本棚)
    はい、20オネエです

    『乙女の本棚シリーズ』も、もはやベテランの域です
    乙女の本棚プロと言ってもどこからも異論は出ないと思われます

    そんなプロからこれから『乙女の本棚シリーズ』を読もうとしている皆さんに貴重なアドバイスをしましょう

    先に解説みたいなん読んじゃダメです絶対
    そっちに引っ張られちゃ...続きを読む
  • 春は馬車に乗って(乙女の本棚)
    病の妻をもつ彼は妻に縛られていた。
    彼には仕事があったが妻には彼しかなかった。
    妻の病が進行するにつれ家庭は暗くなっていった。
    冬の終わりに知人からスウィートピーの花束が馬車で届けられた。
    夫婦は春の訪れを喜ぶ。
    陰鬱な展開が続いたが最後に一条の温かな光が差したような物語だった。
  • 旅愁(下)

    恐るべし横光利一さん

    読み始めた時は、単なる高等遊民の戯れ言かと早や、作品の選択を間違えたか?と後悔しかかってから、あっという間に引き込まれラストは、えっ?もう終わり?とまだまだ物足りない読後感でした。女性の心理描写が巧みですね。宗教と結婚。 簡単ではないですね。私はずっと漱石さんの虞美人草の続編みたいな感覚に囚われてい...続きを読む
  • 春は馬車に乗って(乙女の本棚)
    イラストが綺麗。
    文章がキレイだからなのか。
    美しい死の話。
    肺の病気で寝ている妻を看病する夫とのやりとり。
    妻は辛そうで、わがままを言うが、それを必死で受け止めようとする夫の献身。
    病状が悪化してゆき、夫も辛い。
    ダメになりそう。
    冬を越せて良かった。
    素敵な花咲く春まで生きていられて
    良かった。...続きを読む
  • 犯罪

    やっぱり似ている

    この人はどうも似ている。つげ義春に。最初に読んだ『機械』にしてからがそうだった。狭苦しい工場の中での、貧乏くさい抗争。それは実際に工場で働いている私にも共感できる程度に、よく描写されていた。そして価値観の不毛を感じさせる作風。つげ義春の同類と言うに十分ではないか。
    そう思っていたら、今度は鳥である。...続きを読む