山田英夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
150430/
青山フラワーマーケット
多くの生花店は、BtoCだけでなくBtoB事業も持ち、ホテルや冠婚葬祭に定期的に花を納めている。彼らはセリで落としてきた花を、一週間ほど店内の冷蔵庫で寝かせ、開花し始めた頃に納品しているため、寿命の長いツボミの状態で仕入れることが必須であった。一方、青山フラワーマーケットは、2〜3日で売り切ってしまうため、店内に冷蔵庫を置かず、セリにおいては、ツボミだけでなく、少し開き始めた花も仕入れることもできる。すなわち、青山フラワーマーケットは相対的に安い価格で仕入れ、それを短期間で売り切ってしまうビジネスモデルといえる。しかし、既存の大手の生花店は、青山フラワーマーケットのやり方に同質化をしかけられない。多くの生花店では、BtoBビジネスが仕事のベースロードになっており、これを急に止めることはできない。また、そのために高価な冷蔵庫に投資をしており、それを除去してまでBtoCだけに転換することは難しいからである。/
イギリス最大のユーティリティ(電力・ガス)供給企業のセントリカのコアコンピタンスは、実は競合企業が教えてくれたものである。国営のブリティッシュガスが民営化されて製造と販売が分離化された際、販売会社としてセントリカは誕生した。民営化と同時に、BP、シェルなどの石油会社が原料の支配力を武器にガス事業に参入し、価格競争をしかけてきた。セントリカは一時こうした企業にシェアを奪われたが、石油系に切り換えた顧客の多くが、再びセントリカに戻ってきた。顧客が求めていたのは、価格の安さだけではなかったためだ。石油系企業の価格は安かったが、1軒ごとの家庭の検針や料金決済に関しては融通が効かず、ミスも多かった。そのため、クレームが絶えなかった。セントリカは国営時代から料金決済はしていたが、その業務が競争の武器になるとは思っていなかった。しかし、競合企業にその優位性を知らされ、今度は「必需品のお世話をします」というスローガンとともに、決済システムを軸に、クレジットカードや保険事業などにも参入した。同社のコアコンピタンスは「ガスの販売」ではなく、「正確な決済」にあったのである。 -
Posted by ブクログ
誰もが知っている企業の強さ弱さを例として使いながら、「どうすれば儲けが出るのか」という「そこ、そこなんすよ」というトコロを説明してくれる。
「最後まで読み通せる会計の本」という分野では、いままででいちばんおもしろかった。「さおだけ屋」がたとえ話で説明するところを、実際の企業で説明している、といえばわかりやすいか。
たとえば高級路線は儲かるのか? という問いを、帝国ホテルと東横インの数字を使って説明する下り。高級であれば利幅を大きくとれるのかというと必ずしもそんなことはなく、見えない部分のコストを下げなければ儲けは出ないのだと説得力ある解説が施される。航空会社の「マイレージ」と電気店の「ポイント」は似ているようで大きく違う。それは前者が「空いてる席にタダの客を入れてもコストはほとんど変わらない」のに比べ、ポイントは使われれば大きなコストがかかる……というのを、利益図表をつかって説明する。
用語を使わずとも、おもしろい説明はできるものだ。たんに薄味にすることではなく、新鮮で興味を引く素材が重要なのだ、ということがわかる例として格好の本。