あらすじ
日本企業は、国内では激しい同質競争で疲弊し、グローバルでは新興国企業にコスト競争をしかけられ、利益率の低下に悩んでいる。どうすれば薄利の奪い合いから脱却できるのか。やみくもに売上やシェアを増やさなくても、競争しない状態を作ることによって、利益率は高められる。本書はその戦略を、50社以上の企業事例をもとに、実践的に解説する。
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Posted by ブクログ
手持ちの本を交換する社内イベントで頂いた一冊、この手のライトなビジネス書としては非常に面白く、またかなり実用的に役立てられるトピックに満ちた一冊だった。イベントにわざわざ持ってくるだけあって非常に良い一冊。
競争戦略といえばポーターだが、本書ではポーター理論に更なる「ニッチ」な解釈を加え、リーダー企業やフォロワー企業でない中堅以下の企業に向けた戦略を非常に分かりやすく紐解いている。
これはリーン・スタートアップに代表されるスタートアップの戦略にも通ずる解釈であり、正面切って競争するのではなく、如何に競争を避けながらポジションを築くのかについて考える必要のある人にとっては等しく役に立つ知識だと思われる。
Posted by ブクログ
「ニッチ戦略」「不協和戦略」「強調戦略」という、ニッチャーのとるべき戦略について事例を元に細かく解説してある。良書。フェーズが変わった段階でまた読む。
Posted by ブクログ
ニッチ戦略、不協和戦略、協調戦略の三本柱で構成される”競争しない競争戦略”。其々の戦略について実在企業を例に挙げて詳しく解説されております。参考文献も凄い量で、それらの書籍のエッセンスを上手に纏められた傑作だと思います。とにかく素晴らしい本!
Posted by ブクログ
非常にわかりやすいうえに、戦略的思考のいい刺激になりました。
この本が素晴らしいのは、示唆に富む戦略論に加え、その構成にある。
まず著者による戦略理論が述べられ、その後に具体的な事例が豊富に紹介されることにより、各戦略論がスムーズに頭に入ってくる。
そして、理論と事例だけでなく、その戦略を採用するうえでとるべき基本的な方針や注意事項が述べられていることで、実行を視野に入れた議論が可能となっている点も好感がもてる。
さて、本書ではタイトルのとおり、「競争しない」戦略論が、豊富かつわかりやすい事例とともに述べられている。
「競争しない」というのは、マーケットリーダーとの真っ向勝負をしないという意味。いわゆるフォロワーや価格攻勢などといった、しのぎを削る戦略ではなく、リーダーと住み分けたり、バリューチェーンに食い込むことによってリーダーと共存していくという考え方が中心となる。
著者によれば、「競争しない」戦略は、1. ニッチ戦略、2. 不協和戦略、3. 協調戦略の3つに分類できるという。
1. ニッチ戦略
リーダーが導入するには固定費がかかりすぎるような特殊な技術(マニー、ローズなど)や、規模の大きくない特殊な市場を狙いにいく(スリーエム、小林製薬など)ことがニッチ戦略の基本的な考え方。一方で、アナログレコードやインスタントカメラなど、時代に取り残された小さな市場ではあるが、根強いニーズに支えられているところを狙いにいくというものも面白い(東洋化成、富士フイルム「チェキ」など)。
ニッチ戦略を実行するには、リーダーに目を付けられないように市場の量や質をコントロールすること、容易に侵食されないために常に技術と資源を磨いていくことが重要となる。
2. 不協和戦略
リーダーの強みとなる莫大な資産を負債化してしまう戦略。営業職員を豊富に持ち、複雑な契約内容をきめ細かく説明できる資産をもつ大手生命保険会社に対し、ネット専業で成功したライフネット生命保険。また、「いつでもどこでも」がコンセプトのジョージアコーヒーに対し、朝専用を打ち出したアサヒ飲料ワンダモーニングショット。
不協和戦略を取り入れるには、リーダーの強みを負債化してしまうアイデアを生むために、企業がもつ情報・ノウハウが多い「情報の非対称性」を下げることで、バリューチェーンを解体していくことが重要となる。
3. 協調戦略
バリューチェーンの機能の一部を代替したり、新機能を追加したりすることでリーダーとの共存を可能にする戦略。
自社商品・サービスの提供だけでなく、他社も含めたメンテナンスやコンサルタント、仲介業務を行うことによって、市場での補完関係を実現することが中心となる。
他社製エンジンの整備も行うGEや、他社に向けてコンサルタントを行う星野リゾートなどが典型例。
また、協調戦略をとる付加的な価値のひとつとして、「情報が集まる」ということが挙げられる。たとえば医薬品業界のIMSジャパンは医療分野のあらゆるデータを集約することにより、製薬企業や卸し企業が戦略を立てるうえで欠かせない状況を作り上げている。
協調戦略においては、共存が重要であることから、バリューチェーンの一部を担うことはあってもその前後を侵食してはならないということが重要である。
いずれの戦略においても、同様の戦略をとってくる競合他社との競争は避けられず、自社の役割を狙い定めたら、その市場においては寡占を目指すべきとされる。
つまり、「競争しない」ためには、(ニッチ戦略にもあるように)自社が優位となる技術や資産を磨きつづけることが必要であり、止まることのない変革を続けられる体質を構築・維持することが重要なのでしょう。
Posted by ブクログ
今となっては、ケース自体古くなっているが、競争のある面を的確に捉えていることには変わりない。結局、自社のポジション、資源、能力をよく考えて無理しすぎずタイミングをおさえて戦略展開を図るということか。
Posted by ブクログ
分かっている気でいるニッチや差別化戦略をきちんと学ぶことが出来る本。
この本を読んでから色んな企業の方針を見ると理論を間違えて使っている企業が多いことに気付く。
戦略の不一致は組織と企業に悲惨な結果を及ぼすだろう。
Posted by ブクログ
他社と競争しないための戦略3つについてまとめた本。ニッチ戦略、不協和戦略、協調戦略があり、概論は抽象的でなかなか理解しずらいが、その後に具体的な企業をいくつか挙げて補足説明しており、分かりやすくなっている。今後のビジネスの方向性を決める上で参考にしたい内容であった。
Posted by ブクログ
様々なビジネスモデルが紹介されてあり非常に参考になった。棲み分けと共生。
☆ニッチ戦略:成功の復讐と評価尺度に留意する必要がある。
☆不協和戦略:環境変化があると資産と負債は次々と変化し、いったん負債となった資源が再び資産に返り咲くこともある。
☆協調戦略:何をもって他社との協調とするかのコアコンピタスの見極めが難しい。
Posted by ブクログ
ニッチ戦略が、事例とともに、分類されている。事例は、豊富で、わかりやすく、大変面白い。たとえば、イオンの葬儀ビジネスは、地域の葬儀屋と提携し、利用者を斡旋、思わぬ追加費用がかかる…と、これまで不透明だった葬儀費用を、明朗にし、利用者の便宜をはかった。葬儀屋にとっては、稼働率UPと、互いにウィンウィンの関係だという。グリコやアスクルは、自社製品とともに、他社製品を取り扱うことにより、スイッチコストを高める効果があった。ホギメディカルの手術キットは、これまで、看護師が時間をかけてきた手術の準備を短縮し、かつ、ヒューマンエラーを防止した。また、手術キットから、手術の人員配置、資材の量等、データを蓄積。手術室の原価計算をし、不透明だった手術室コストを明確にすることにより、病院経営コンサルに進出した。あらゆるニッチ戦略に成功した、企業の事例が、とにかく面白い。おすすめです。
Posted by ブクログ
リーダーとなる業界の大手企業に対抗する競争しない戦略について書かれた一冊。
競争することのデメリットを孫子の兵法と生物学の観点から書いたうえで競争しない戦略をニッチ戦略、不協和戦略、協調戦略の3つに区分して、実例をもとにそれぞれの戦略について解説されていました。
読んでいて、自分も知らない色々な企業があることや
前に読んだゲームチェンジャーの競争戦略とも繋がる部分があると感じました。
また、現代の日本で様々なサービスが飽和状態にあるなかでとある部分に特化した事業や様々なニッチな商品やサービスを提供する企業があることを本書で知りました。
一定水準の満足を得られる生活ができる今日の私たちがますます便利で快適な生活をしていくために、今までの競争により切磋琢磨して商品やサービスの向上を図るのではなく、痒いところに手が届くニッチな市場やリーダー企業と協調して利便性の向上を図る市場などを形成していくことが企業側として今後求められてくることではないかと本書を読んで感じました。
Posted by ブクログ
はじめの理論説明がやや重い。中盤の事例紹介は1件がコンパクトにまとめられており、読み進めやすかった。
競争を避けるニッチ戦略にも多様な類型がある。
1.5週間で読み切らずに一旦返却。
Posted by ブクログ
◎要約
⚪︎競争するメリット・デメリット
《メリット》
・企業の能力向上
・市場の成長
・組織の活性化
・ニーズの多様化への対応
・価格の低下
《デメリット》
・顧客志向から競争志向に
・必要以上の価格の下落
・組織の疲弊
⚪︎競争しない3つの戦略
①ニッチ戦略
リーダー企業に同質化されないように、技術を常に磨きつつ、かつ参入しないように市場規模をコントロールしながら成長する。
②不協和戦略
リーダーの強みを弱みに転化させる要因を探し出し、先手を打って仕掛けていく。
③協調戦略
相手企業のバリューチェーンの中に入り込んだり、自社のバリューチェーンの機能や製品を取り組むなど、他社に積極的に働きかけていく。
Posted by ブクログ
わたしが勤める会社はリーダー企業ではなく、これから新しい事業にも手を出そうとしている。
そんな境遇にあって、もっと戦略を考えなければならないな、と強く考えさせられた一冊。
特に覚えておきたいと思ったのは以下。
・リーダー企業がチャレンジャーに対して簡単に出来る対抗策は、同質化。差別化を無効化する。→同質化しづらいものをつくるべき。
・ニッチ市場も、規模が大きくなれば大手が参入してきてしまう。
・利益率は低めに見せる。大手は固定費が高いので利益率が低いものは手を出せない。
・大手の強みを弱みにしてしまうものをつくる(不協和戦戦略)
・大手のバリューチェーンに入り込むやり方もある(協調戦略)
Posted by ブクログ
他社、特にリーダー企業とどう競争せずに、自社の成長を果たすか?
「ニッチ戦略」「不協和戦略」「協調戦略」、それぞれに関して、
非常に多くの企業の実例を挙げながら、実証する1冊。
良くも悪くもビジネススクール教授の書いた本に感じる。
もう少し例を少なくし、個々の事例を厚めにした方が個人的には良かった。
但し、考え方は極めて体系立てて書かれており、理解しやすい内容。
Posted by ブクログ
本日の本のタイトルは
「競争しない競争戦略 」です。
「競争しない状態を作る戦略をとることで利益率は高められる」
という趣旨です。
本日ご紹介する本は、
「競争しない」 ための
具体的な戦略を紹介した1冊。
ポイントは
「リーダー企業との関係」
競争しないためには、業界のリーダー企業と
棲み分けるか共生することが必要。
棲み分けるためには、リーダー企業が同じことができないことが条件。
共生では、より強い企業と協力して他の企業から攻撃されない状況を作ることが必要。
「ニッチ戦略 」
ニッチ戦略は一定数の顧客が存在するが
大手が手を出すメリットがない市場を狙うこと。
市場規模を大きくしすぎると、
リーダー企業の参入を招き、ニッチ戦略が成り立たなくなります。
ニッチ戦略は、売上高よりも利益率を重視する戦略と言えます。
「協調戦略」
協調戦略 は、他社のバリユーチエーンの一部の機能に特化して、
競争しない状態をつくる戦略 。
例えば、航空機エンジンでは世界の半分以上が
GEのエンジンを搭載しています。
GEは航空機のコアな部品であるエンジンに特化することで
競争を避けています。
また、オフィスグリコは
一般企業の仕事場にお菓子を置くサービスですが
グリコのお菓子だけではなく、他社のお菓子も
加えることで相乗効果を上げています。
いろいろな競争しない戦略があります。
競争で疲弊しないためにも
ぜひ、読んでみてください。
◆本から得た気づき◆
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自然界には多種多様な生物が暮らしている。そこには、「棲み分け」および「共生」がある。
「競争しないこと」が企業の利益率に良い影響を与える
「ニッチ=小さい売上」ではない。一定数の顧客が存在するが大手に支配されていない市場のこと
差別化はリーダーと戦う戦略であり、ニッチはリーダーとは戦わない戦略である。
ニッチ戦略は、「止まつてしまうといつかは浸食される」宿命にあり、常に技術や資源を磨いていく必要がある
競合企業のバリューチエーンの機能の一部を代替する
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◆目次◆
第1章競争しない競争戦略
第2章ニッチ戦略
第3章不協和戦略
第4章協調戦略
終章薄利の奪い合いからの脱却
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Posted by ブクログ
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青山フラワーマーケット
多くの生花店は、BtoCだけでなくBtoB事業も持ち、ホテルや冠婚葬祭に定期的に花を納めている。彼らはセリで落としてきた花を、一週間ほど店内の冷蔵庫で寝かせ、開花し始めた頃に納品しているため、寿命の長いツボミの状態で仕入れることが必須であった。一方、青山フラワーマーケットは、2〜3日で売り切ってしまうため、店内に冷蔵庫を置かず、セリにおいては、ツボミだけでなく、少し開き始めた花も仕入れることもできる。すなわち、青山フラワーマーケットは相対的に安い価格で仕入れ、それを短期間で売り切ってしまうビジネスモデルといえる。しかし、既存の大手の生花店は、青山フラワーマーケットのやり方に同質化をしかけられない。多くの生花店では、BtoBビジネスが仕事のベースロードになっており、これを急に止めることはできない。また、そのために高価な冷蔵庫に投資をしており、それを除去してまでBtoCだけに転換することは難しいからである。/
イギリス最大のユーティリティ(電力・ガス)供給企業のセントリカのコアコンピタンスは、実は競合企業が教えてくれたものである。国営のブリティッシュガスが民営化されて製造と販売が分離化された際、販売会社としてセントリカは誕生した。民営化と同時に、BP、シェルなどの石油会社が原料の支配力を武器にガス事業に参入し、価格競争をしかけてきた。セントリカは一時こうした企業にシェアを奪われたが、石油系に切り換えた顧客の多くが、再びセントリカに戻ってきた。顧客が求めていたのは、価格の安さだけではなかったためだ。石油系企業の価格は安かったが、1軒ごとの家庭の検針や料金決済に関しては融通が効かず、ミスも多かった。そのため、クレームが絶えなかった。セントリカは国営時代から料金決済はしていたが、その業務が競争の武器になるとは思っていなかった。しかし、競合企業にその優位性を知らされ、今度は「必需品のお世話をします」というスローガンとともに、決済システムを軸に、クレジットカードや保険事業などにも参入した。同社のコアコンピタンスは「ガスの販売」ではなく、「正確な決済」にあったのである。