メアリー・シェリーのレビュー一覧
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フランケンシュタインといえば、自分の世代では『怪物くん』かなぁと思います。ふんがー。名前はフランケン。
という刷り込みで育っているので、本来の物語ではフランケンシュタインは怪物を創造した科学者の名前で、怪物には名前がないと知った時は驚いたものです。この怪物が登場する作品のほとんどが、ふんがーの造形に近いのは、ホラーとしての需要が高いからなんでしょうね。初の映像化の時点で、この造形だったという話だった気がします。
原典であるこちらを読んで何より驚いたのは、怪物の知性の高さと、フランケンシュタインの無責任さ。
これも後世の様々な作品の影響かもしれませんが、狂気の科学者フランケンシュタインという -
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読もうと思ったきっかけは
「女の子のための西洋哲学入門」
第9章「技術一経験と媒介された現実」にて
引用されていたから。
まず、さきに挙げた本に照らして読むのであれば、人工知能がもたらす害(善として行われる中にある害というべきかも)についての警鐘のように読むことができる。
無邪気にそれを手足のように用いることについてや、ヴィクター側、つまり産み出した側の「倫理観」の欠如など。
現代であればクローン技術や、豚の内臓をヒトに移植すること、今では当たり前に行われる人工授精、AIのアルゴリズム。
また、ルッキズムと差別の極致でもある、といえるかもしれない。美しい内面には美しい容姿が備わって然るべき -
Posted by ブクログ
1818年出版ってことにまず驚いた、そんなに昔の作品なんだ。翻訳がいいのかそこまで古さは感じないで読めた。
古典モンスターホラーのイメージだったけど、それは映画版のイメージのようで、原作は怪物に同情しかできない悲劇だった。
怪物を作ったフランケンシュタインがメンタル弱弱のくせに無駄に行動力はあって、でも自分の事しか考えていないから周りに不幸を振り撒くのが最悪。
むしろ怪物の方が冷静でフランケンシュタインに正論を吐いて説教し、更には建設的な提案もする。それでも見た目の醜さから全てを否定され結果として誰もが損をする展開に至る。
生命を創造することの責任、差別と偏見の愚かさなど現代でも通じる -
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率直に言うと、ストーリーとしては然程「面白い」というわけではない。寧ろ似たような話をどこかで見たことがあるかな、という感覚があった。
しかし、これが19世紀に書かれた小説である、ということに思い至って、改めて驚いた。
「似たような話を見たことがある」ではなくて、「似たような話がいくつも作られている」というのが正解だった。
「SFの元祖」と言われるこの作品が、幾つもの小説や映画といった物語の雛形になっていることは言うまでもない。
実際、私も『屍者の帝国』からの流れでここに行き着いたわけだし。
「ヴィクターが創り出した『怪物』とはいったい何なのか?」ということがこの小説の最大のカギなのだろうけれ -
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「アルジャーノンに花束を」を読んだら、こちらを読みたくなったので数年ぶりに再読。
人が手を加えてはいけない一線を越えてしまった部分が共通していたからだと思います。
特にこの作品は人工物である怪物と対比するように描かれる自然の美しさや厳しさに凄みを感じるので
余計に人間が踏み入れてはいけない領域だったと思わされます。
初めて読んだ時も、2度目の今回も怪物に同情しながら読みましたが、
怪物が目の前に現れた時にとった人々の行動は、自分に置き換えて考えると否定できません。
それでも怪物が弁舌に長けていたのではなく、本当は愛情深い性格なんだと思ってしまうし…矛盾。
「人は見かけによらず」と言い切っ -
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2011.12.01
授業で扱っています。
「フランケンシュタイン」という言葉は知っていても、はたしてどれだけの人がちゃんと「フランケンシュタイン」を知っているのか・・・
フランケンシュタインって怪物の名前じゃないんだよ、作った化学者の名前なんだよ。
そして、怪物も私のイメージでは継ぎはぎだらけでネジとかも刺さってて、大きな屋敷に他の怪物と住んでるってイメージだったけど(ハロウィンとかにイラストにある感じ)、全然違った。
作者のメアリー・シェリーは、19歳の時にこれを書いたんだよな。考えられない・・・
読んでてハッピーになる感じではないよね。 -
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終始「ヴィクトルてっめえ……!」と思いながら読みました。創った人造人間がグロかったから思わず逃亡→戻ったらいなくなってて「やったー!」→と思ったら人造人間に弟殺されて「おのれ……!」ってお前。悲劇の原因って怪物じゃなくて育児放棄じゃねえか!
生理的嫌悪はどうしようもないもんだけど、フランケンシュタイン・コンプレックス(被造物が創造者に逆らう危険性を盲信すること)って言い得て妙だったんだなあ。元ネタだから当たり前だけど、怪物に対するヴィクトルの態度がまんまだ。被造物が邪悪だったから創造者に逆らったネタが多い中で、元ネタであるこれが被造物を邪悪と描いていないのは何だか皮肉だなあ。
解説による -
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ネタバレ誰もが知っているフランケンシュタインという名の怪物の原作です。実はフランケンシュタインというのは怪物の名前ではなく怪物を創り出したある学生の名前なのです。読んでみるとこの怪物はもともとは心の優しかったのですが醜い姿のため創造主であるフランケンシュタインにも怖がられ憎まれ誰ひとりとして彼を愛してくれる人はいないのです。フランケンシュタインがものすごく横暴な人だと思うかもしれませんが彼はとても人間らしくあるときは情熱に燃え、あるときは自分の罪に苦しみ。あるときはすべてから逃げようともします。いやそれどころか、常に優しく、愛し合う人のいる一般人以上の人だったでしょう。怪物は自分が受けた苦しみをフラン