小野善康のレビュー一覧
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方程式をもとになぜ日本が長期のデフレ状況になっているかを説明している。
キーワードは資産選好。生産能力が十分にあり、最低限の生活をするのであれば他の国に比べても相対的に低コストで賄えるようになった日本。まさに成熟経済であるが、今日のマクロ経済学(ケインズ経済学)は供給に対して需要が見込まれる前提で理論が組み立てられてきた。つまり、とりあえず公共投資をしたり、貨幣供給にて国民所得を上げることでデフレを改善・失業をなくせるとしてきた。
対して、今の成熟経済である日本でおなじ経済政策をしたとしても効果は薄い。意味のない公共投資やお金のバラマキではデフレを改善できない。このことを方程式を使い、説明して -
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旧来の「成長経済」を説明する経済理論ではなく、現在の先進国における「成熟経済」を説明する経済理論が必要である、という話。
人々が所得を「現在の消費」と「将来の消費=貯蓄」に振り分けるというのが伝統的な経済理論であるが、成熟経済における貯蓄には
「資産が増えるからカネをたくさん持っているという満足感(資産選好)も得られる」
という性格があるので、旧来の財政・金融政策によって好景気をつくり出そうとしても金が貯蓄に回されてしまい、金持ちはより金持ちになって格差は拡大するし、政策効果も得られない。
そのように成熟経済を理論的に説明しながら、政策提言をしている一冊である。とても説得力がある。
難点が -
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成長経済と成熟経済の違いがよく分かった。成長経済を前提とした昔の経済理論は現代の日本には適用できないという点は納得できる。
4章までは分かりやすかったが、5章の国際競争の話は納得がいかない。今の円安は説明できないのではないか。
6章の政策提言はやや中途半端に感じる。正解がないのだろうが、
・再分配政策をもっと突き詰める(ベイシックインカムも有効かもしれない)
・軍備や防災などに国家予算を投入する点も深く検討する
・大きな政府と小さな政府のどっちが良いのかもっと突き詰める
・政治家は言えないので、金持ちからもっと税金を取る方策を深く検討する
など、もっとページを割いて書けるのではないかと感じた。 -
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ネタバレ河野龍太郎さんのインタビューを新聞で読んで、この方の本を読んでみたいと思い、この本に辿り着く。
この本は、萱野稔人(津田塾大教授)が、安倍政権で推し進める金融緩和に反対意見を主張する3名、藻谷浩介氏(日本総研主席研究員)・河野龍太郎(BNPパリバ経済調査本部長)・小野喜康(阪大教授)とそれぞれ対談した内容がまとめられている。
感想。とっても面白い。読んで良かった。
備忘録。
①藻谷氏の見解
・リフレ論は「供給されたお金は必ず消費される」という前提に立っている。それは現実と乖離している。
・バブル崩壊以降の日本の景気低迷は、貨幣供給量不足が引き起こしたのではなく、モノの需要不足によるものだ -
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不況だ不況だというネガティブなこの日本社会はなんなんだと
もやもやしている時に出会った本。
大企業のコスト削減による効率化の競争が結果として、自分たちの首をしめていることにつながっていることなど気にしておく必要がある。
需要が慢性的に不足し、生産力が余っている成熟社会では、
・プロセスイノベーションよりもプロダクトイノベーション
・生産よりも消費(生産そのものを目的とせず、消費を目的とした生産)
が重要。
人々の意識の中に慢性的に需要があった経済成長期の成功体験が残っているため、行き詰まっている。
しかし、僕の周りの人の中にはこの社会の未来を切り開こうとしている人たちがいる。僕もその未来を切り -
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ネタバレ直観的に感じていることをズバリしてきてくれた一冊。しかも、著者は身近な組織にいる方と知って驚き。
今までのありきたりな経済財政政策じゃ、いまの日本にはなにも響かないってことを、わかりやすく指摘されている。
ここまで成長を遂げた日本の生活レベルにおいて、これ以上何を求めるのか?需要のないところに無理やり今までと同じ筋道で需要を掘り起こそうとしても土台無理な話。TVにこれ以上何の機能を求めるのか?スマホのカメラ機能(画素数しかり)をこれ以上上げることに意味はあるのか?ゲーム機だって、そう。DSやらWiiだって、ハードとして進化したけど、結局それに追いつく(追い抜くだけの)ソフトが出てこないから売れ -
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歴史に残る世界恐慌の時代にケインズが発表した『雇用・利子および貨幣の一般理論』当時の経済学では説明出来なかった不況のメカニズムを世に示した
ただ不況のメカニズム「不況動学」は不況を経過し好況のサイクルに進むと人間は都合よく忘れ批判の的にすらなる
先進国には投資機会がなく「豊富のなかの貧困」が起こる
総需要を増やす目的の投資はその場しのぎ
生産性向上の効率化ではなく需要創出のための効率化が重要
貨幣保有の願望(貯蓄)がデフレを引き起こし貨幣の存在が需要不足の理由とも言える
不況のなか政策の方向性として「構造改革」か「財政出動」は必ずテーマとして上がるが日本最大の資源とは労働力である
そ -
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ネタバレ資産選好社会が生産活動を抑制し、そのために格差が拡大している。
生産能力が小さければ、消費選好のために経済は活性化する。
海外旅行でも、パック旅行でないものは手間がかかる。だんだん苦痛になりいかなくなる。カネは増えても苦痛にならない。具体的に使う当てがなくても、カネを持っていたいという気持ちが資産選好。
いま消費するか将来するか、は時間選好によるが、将来は消費する。将来の消費のための貯蓄は投資に結び付き将来の経済成長になる。
資産選好はカネを貯蔵するだけ。将来の消費にもつながらないから総需要不足が収まらず、投資にも結び付かない。
デフレとは貨幣のバブル。デフレ社会になったのは、貨幣がバブルにな