小野善康のレビュー一覧

  • 資本主義の方程式 経済停滞と格差拡大の謎を解く

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    方程式をもとになぜ日本が長期のデフレ状況になっているかを説明している。
    キーワードは資産選好。生産能力が十分にあり、最低限の生活をするのであれば他の国に比べても相対的に低コストで賄えるようになった日本。まさに成熟経済であるが、今日のマクロ経済学(ケインズ経済学)は供給に対して需要が見込まれる前提で理論が組み立てられてきた。つまり、とりあえず公共投資をしたり、貨幣供給にて国民所得を上げることでデフレを改善・失業をなくせるとしてきた。
    対して、今の成熟経済である日本でおなじ経済政策をしたとしても効果は薄い。意味のない公共投資やお金のバラマキではデフレを改善できない。このことを方程式を使い、説明して

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    2024年03月17日
  • 資本主義の方程式 経済停滞と格差拡大の謎を解く

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    この本の中で紹介されている経済学は、従来の経済学とは違い、資産選好という概念を中心にしています。
    これは、預金や債券や株式や投資信託などの金融資産を保有すること自体に快感を感じることです。
    この資産選好が強過ぎると、今の日本のように経済がうまく回らなくなるということだそうです。

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    2023年03月23日
  • 資本主義の方程式 経済停滞と格差拡大の謎を解く

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    旧来の「成長経済」を説明する経済理論ではなく、現在の先進国における「成熟経済」を説明する経済理論が必要である、という話。

    人々が所得を「現在の消費」と「将来の消費=貯蓄」に振り分けるというのが伝統的な経済理論であるが、成熟経済における貯蓄には
    「資産が増えるからカネをたくさん持っているという満足感(資産選好)も得られる」
    という性格があるので、旧来の財政・金融政策によって好景気をつくり出そうとしても金が貯蓄に回されてしまい、金持ちはより金持ちになって格差は拡大するし、政策効果も得られない。

    そのように成熟経済を理論的に説明しながら、政策提言をしている一冊である。とても説得力がある。
    難点が

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    2022年11月12日
  • 資本主義の方程式 経済停滞と格差拡大の謎を解く

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    成長経済と成熟経済の違いがよく分かった。成長経済を前提とした昔の経済理論は現代の日本には適用できないという点は納得できる。
    4章までは分かりやすかったが、5章の国際競争の話は納得がいかない。今の円安は説明できないのではないか。
    6章の政策提言はやや中途半端に感じる。正解がないのだろうが、
    ・再分配政策をもっと突き詰める(ベイシックインカムも有効かもしれない)
    ・軍備や防災などに国家予算を投入する点も深く検討する
    ・大きな政府と小さな政府のどっちが良いのかもっと突き詰める
    ・政治家は言えないので、金持ちからもっと税金を取る方策を深く検討する
    など、もっとページを割いて書けるのではないかと感じた。

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    2022年06月27日
  • 金融緩和の罠

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    ネタバレ

    河野龍太郎さんのインタビューを新聞で読んで、この方の本を読んでみたいと思い、この本に辿り着く。

    この本は、萱野稔人(津田塾大教授)が、安倍政権で推し進める金融緩和に反対意見を主張する3名、藻谷浩介氏(日本総研主席研究員)・河野龍太郎(BNPパリバ経済調査本部長)・小野喜康(阪大教授)とそれぞれ対談した内容がまとめられている。

    感想。とっても面白い。読んで良かった。

    備忘録。
    ①藻谷氏の見解
    ・リフレ論は「供給されたお金は必ず消費される」という前提に立っている。それは現実と乖離している。
    ・バブル崩壊以降の日本の景気低迷は、貨幣供給量不足が引き起こしたのではなく、モノの需要不足によるものだ

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    2015年01月16日
  • 成熟社会の経済学 ――長期不況をどう克服するか

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    目からウロコの本です。ある対談集で著者の名前を知り単著を読んでみたのですが、現在の経済に関する状況が次々と論破されていき、驚きの連続でした。

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    2014年05月09日
  • 金融緩和の罠

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    あとがきにあるように,(結果的に)あまりにもタイムリーな本。デフレの主たる理由が生産年齢人口の減少であることを二人のインタビューイーが指摘している。おそらくこれが「デフレ」の真実なのだろう。小野氏は,「お金そのもの」が持つある種の魔力を考慮せずには,経済政策は成り立たないと指摘する。その指摘は自分の実感ともよく重なり,説得力のあるものだ。
    現政権の経済政策の「突然死」が危惧される。

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    2013年05月16日
  • 成熟社会の経済学 ――長期不況をどう克服するか

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    不況だ不況だというネガティブなこの日本社会はなんなんだと
    もやもやしている時に出会った本。
    大企業のコスト削減による効率化の競争が結果として、自分たちの首をしめていることにつながっていることなど気にしておく必要がある。
    需要が慢性的に不足し、生産力が余っている成熟社会では、
    ・プロセスイノベーションよりもプロダクトイノベーション
    ・生産よりも消費(生産そのものを目的とせず、消費を目的とした生産)
    が重要。
    人々の意識の中に慢性的に需要があった経済成長期の成功体験が残っているため、行き詰まっている。
    しかし、僕の周りの人の中にはこの社会の未来を切り開こうとしている人たちがいる。僕もその未来を切り

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    2013年03月05日
  • 不況のメカニズム ケインズ『一般理論』から新たな「不況動学」へ

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    わりと難易度は高かったが、面白かった!
    社会保障論の最後の課題図書。ケインズの理論を修正しながら、新たな不況動学を作る試み。

    キーワードは流動性選好、時間選好率。
    消費関数と乗数効果を否定。

    非常に深い議論だった。
    しっかり武器化するには、あと数回は読まねばなるまい…

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    2012年12月04日
  • 成熟社会の経済学 ――長期不況をどう克服するか

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    著者は菅直人氏が総理だったときに、経済政策のブレインとして起用された人物。

    本書を一言でまとめるなら「増税による景気回復」論。
    従来の経済学とは矛盾する、一見トンデモ論だが、経済社会を発展途上社会と成熟社会とに分けるとすんなりと理解できる。

    目からウロコの考え方で非常に面白い。

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    2012年05月14日
  • 成熟社会の経済学 ――長期不況をどう克服するか

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    直観的に感じていることをズバリしてきてくれた一冊。しかも、著者は身近な組織にいる方と知って驚き。
    今までのありきたりな経済財政政策じゃ、いまの日本にはなにも響かないってことを、わかりやすく指摘されている。
    ここまで成長を遂げた日本の生活レベルにおいて、これ以上何を求めるのか?需要のないところに無理やり今までと同じ筋道で需要を掘り起こそうとしても土台無理な話。TVにこれ以上何の機能を求めるのか?スマホのカメラ機能(画素数しかり)をこれ以上上げることに意味はあるのか?ゲーム機だって、そう。DSやらWiiだって、ハードとして進化したけど、結局それに追いつく(追い抜くだけの)ソフトが出てこないから売れ

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    2012年03月06日
  • 成熟社会の経済学 ――長期不況をどう克服するか

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    成熟社会と発展途上社会では、不況に対する経済政策が同じではない!という論。生産力に余剰のある「成熟」社会での不況対策は、生産力余剰(失業者など)を使わせることが第一と主張する。
    また、生産力余剰を使うにあたっては生活を豊かにする財やサービスに対する需要(=価値のあるものへの需要)を増やせば、税金を使ったとしても全体として豊かさは増していく、と主張する。

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    2012年02月17日
  • 不況のメカニズム ケインズ『一般理論』から新たな「不況動学」へ

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    歴史に残る世界恐慌の時代にケインズが発表した『雇用・利子および貨幣の一般理論』当時の経済学では説明出来なかった不況のメカニズムを世に示した
    ただ不況のメカニズム「不況動学」は不況を経過し好況のサイクルに進むと人間は都合よく忘れ批判の的にすらなる

    先進国には投資機会がなく「豊富のなかの貧困」が起こる

    総需要を増やす目的の投資はその場しのぎ

    生産性向上の効率化ではなく需要創出のための効率化が重要

    貨幣保有の願望(貯蓄)がデフレを引き起こし貨幣の存在が需要不足の理由とも言える

    不況のなか政策の方向性として「構造改革」か「財政出動」は必ずテーマとして上がるが日本最大の資源とは労働力である

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    2011年12月23日
  • 不況のメカニズム ケインズ『一般理論』から新たな「不況動学」へ

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    菅総理に影響を与えていた小野善康 阪大教授の2007年の著作。貨幣への執着が起こす景気後退(守銭奴的流動性選好?)。需要不足による不況の解説。寺田寅彦の『津浪と人間』が引用され世代交代がもたらす問題を指摘しているのが印象的。
    ケインズ概論としても読める(^-^)

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    2012年03月17日
  • 資本主義の方程式 経済停滞と格差拡大の謎を解く

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    方程式が出てくるところは飛ばしながら読んだ。また改めて読む際にはゆっくり理解しながら読んでいきたい。

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    2025年10月27日
  • 資本主義の方程式 経済停滞と格差拡大の謎を解く

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    先進国の成熟経済における、デフレの理由と解決策を提言した本。経済学の知識が無くても分かるように書かれている点は良かったが、難しい話だったため理解するのが大変だった。

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    2024年04月15日
  • 資本主義の方程式 経済停滞と格差拡大の謎を解く

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    なぜ日銀が金融緩和を続けるのか、なぜ給付金などのバラマキが消費を押し上げる上で効果が無いのかなどが論理的に理解できる。しかも、シンプルな方程式を用いて説明されているところが興味深い。

    セオリー上はそうなのだが、現実にはそうなっていない。そこは、不合理な側面も考慮した行動経済学の出番なのだろう。

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    2022年12月10日
  • 資本主義の方程式 経済停滞と格差拡大の謎を解く

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    資産選好社会が生産活動を抑制し、そのために格差が拡大している。
    生産能力が小さければ、消費選好のために経済は活性化する。
    海外旅行でも、パック旅行でないものは手間がかかる。だんだん苦痛になりいかなくなる。カネは増えても苦痛にならない。具体的に使う当てがなくても、カネを持っていたいという気持ちが資産選好。
    いま消費するか将来するか、は時間選好によるが、将来は消費する。将来の消費のための貯蓄は投資に結び付き将来の経済成長になる。
    資産選好はカネを貯蔵するだけ。将来の消費にもつながらないから総需要不足が収まらず、投資にも結び付かない。
    デフレとは貨幣のバブル。デフレ社会になったのは、貨幣がバブルにな

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    2022年11月01日
  • 成熟社会の経済学 ――長期不況をどう克服するか

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    現在の日本の経済状況の閉塞感は「発展途上社会」から「成熟社会」に移っていることを認識していないで、「発展途上社会」では有効な経済方策を「成熟社会」で実現しようとしているところにあるそうだ。

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    2018年10月20日
  • 不況のメカニズム ケインズ『一般理論』から新たな「不況動学」へ

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    新古典派とケインズの主張の比較をし、ケインズの矛盾点があればそれを指摘し、解決案をしている。なぜ不況になるかを論証している。完全雇用環境でなければ、消費不足が不況に引き起こすという。なぜ消費不足になるかといえば、経済の先行きへの不信である。その克服には世代交代が必要だという。公共投資、税金による失業者救済などの効果も論証している。

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    2018年10月20日