【感想・ネタバレ】成熟社会の経済学 ――長期不況をどう克服するかのレビュー

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Posted by ブクログ 2014年05月09日

目からウロコの本です。ある対談集で著者の名前を知り単著を読んでみたのですが、現在の経済に関する状況が次々と論破されていき、驚きの連続でした。

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Posted by ブクログ 2013年03月05日

不況だ不況だというネガティブなこの日本社会はなんなんだと
もやもやしている時に出会った本。
大企業のコスト削減による効率化の競争が結果として、自分たちの首をしめていることにつながっていることなど気にしておく必要がある。
需要が慢性的に不足し、生産力が余っている成熟社会では、
・プロセスイノベーション...続きを読むよりもプロダクトイノベーション
・生産よりも消費(生産そのものを目的とせず、消費を目的とした生産)
が重要。
人々の意識の中に慢性的に需要があった経済成長期の成功体験が残っているため、行き詰まっている。
しかし、僕の周りの人の中にはこの社会の未来を切り開こうとしている人たちがいる。僕もその未来を切り開く人間となりたい。

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Posted by ブクログ 2012年05月14日

著者は菅直人氏が総理だったときに、経済政策のブレインとして起用された人物。

本書を一言でまとめるなら「増税による景気回復」論。
従来の経済学とは矛盾する、一見トンデモ論だが、経済社会を発展途上社会と成熟社会とに分けるとすんなりと理解できる。

目からウロコの考え方で非常に面白い。

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Posted by ブクログ 2012年03月06日

直観的に感じていることをズバリしてきてくれた一冊。しかも、著者は身近な組織にいる方と知って驚き。
今までのありきたりな経済財政政策じゃ、いまの日本にはなにも響かないってことを、わかりやすく指摘されている。
ここまで成長を遂げた日本の生活レベルにおいて、これ以上何を求めるのか?需要のないところに無理や...続きを読むり今までと同じ筋道で需要を掘り起こそうとしても土台無理な話。TVにこれ以上何の機能を求めるのか?スマホのカメラ機能(画素数しかり)をこれ以上上げることに意味はあるのか?ゲーム機だって、そう。DSやらWiiだって、ハードとして進化したけど、結局それに追いつく(追い抜くだけの)ソフトが出てこないから売れなくなった。それでもフローとして売り続けなきゃならないメーカーは、ガラパゴス化か補助金の援護射撃で需要の先食いしかできなくなった。

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Posted by ブクログ 2012年02月17日

成熟社会と発展途上社会では、不況に対する経済政策が同じではない!という論。生産力に余剰のある「成熟」社会での不況対策は、生産力余剰(失業者など)を使わせることが第一と主張する。
また、生産力余剰を使うにあたっては生活を豊かにする財やサービスに対する需要(=価値のあるものへの需要)を増やせば、税金を使...続きを読むったとしても全体として豊かさは増していく、と主張する。

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Posted by ブクログ 2018年10月20日

現在の日本の経済状況の閉塞感は「発展途上社会」から「成熟社会」に移っていることを認識していないで、「発展途上社会」では有効な経済方策を「成熟社会」で実現しようとしているところにあるそうだ。

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Posted by ブクログ 2014年05月10日

現代日本のような成熟社会では、人々は既に欲しい物をほとんど手に入れているので、お金をばら撒いても銀行の金庫に積み上がるだけ、との説明はシンプルでわかりやすい。我が身を振り返ってみても、確かにどうしても欲しいものなんてほとんど無い(その割にはお金がウチの金庫にだけ積み上がらないのは何故なんだぜ?)。
...続きを読む 経済学を学んだことがないので、著者の言うことを完全には理解できないが、所々に出てくる「お金は増えも減りもしない」という原則が、熱力学の第一法則や質量保存の法則と同じで妙に納得できた。
しかしながら、その処方箋については「そんなにうまく行くかな?」と言うのが正直な感想である。現物支給=期限付きのバウチャーは良いアイデアに思えるし、いくつかの提言は国全体としては効果があるのかもしれない。ただ著者が言うほど産業間の労働移動=「玉突きのようなこと」は起こりそうも無いから、結局はある特定の層に所得が集中してお金が金庫に積み上がるだけではなかろうか?
 やっぱり良く分からない。

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Posted by ブクログ 2013年01月27日

成熟社会である現在の日本では,ケインズ等の従来の経済学が成立しないことを数々の事例で解説している好著だ.生産力は既に十分あるので、それを活用して生活の質を向上させる必要がある,という主張はうなずけるものがある.要はお金の使い方を考えることに尽きるのだろう.

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Posted by ブクログ 2012年09月23日

従来の経済学は短期不況かつお金自体への所有欲は無いものとして述べており、お金自体に執着を持っている現在のような長期不況については述べられていないするもの。
いくらか乱暴な論理展開や数字のマジックもあったが、ずっと疑問に思っていたことについて述べらていたので、衝撃的であった。ただ、創造的な仕事に主軸を...続きを読む置くべきといっているが、万人が万人そんなことに従事することはできないであろう。学者的な解である。

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Posted by ブクログ 2012年07月13日

 「成熟社会」ということが、言われている。著者は1980年代から90年代を境に発展途上社会から成熟社会に「大きな変貌」(はじめに i)を遂げたとし、成熟社会を「いますぐ欲しいような物はほとんどすべてそろっています」と整理し、「(需要不足が原因)不況を長期的な現象として捉える必要がある」する。

 各...続きを読む章で「発展途上社会から成熟社会」、「財政破綻の常識を覆す」、「金融政策の意義と限界」、「成熟社会の危機にどう対応するか」、「国際化する経済」の順で、解決を生産の効率・安価・輸出増ではなく、需要を変えることに求めている。

 国際競争力を高め、国外市場を確保し、外国資産(外貨)を保有する努力は円高を結果し、自分で自分の首を絞めるとも述べる。
 環境とエネルギー分野で新規の投資と雇用の確保が可能で(195p)、国民は金を貯めるまえに「国内の消費者に夢や楽しみを与え快適な生活をもたらす商品やサービスを開発して、内需を刺激するしかありません」(193p)とする。

 若者の就職困難、中年の離職を「自己責任」とするのではないとする点は理解する。
 日本人の貯蓄志向をかえ、内需拡大をすすめているが、高齢者の老後生活不安は小さくない、はず。
 「現役時代に働いて退職したすべての人に、一定水準の老後生活を保障すること」は、重要な指摘。

 しかし、そこに至る図式と展望を、もう少し踏み込んでほしい。
 確かに≪高齢者のこれから≫は新規雇用可能な領域ではあるが、高齢者に対するサービスも、従事するサービス提供者への処遇も、いささか≪低レベルではないか≫と、思う点が多いからである。

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Posted by ブクログ 2012年06月25日

高度成長期の日本は、消費者の欲しいものが沢山あり、何でも飛ぶように売れた。一生懸命働けばどんどん豊かになっていく経済のメカニズムがあった。今、日本は成熟社会となり、潜在的供給量は、資本の蓄積や技術の進歩で拡大し、需要を超えてしまった状態となっている。物やサービスが充実し、お金を放棄してでも購入しよう...続きを読むというものがない。増産しても売れ残り、効率化を進めても労働力が余り失業が増えるばかりで経済拡大につながっていない。過去の成功体験による発展途上社会を前提にした政策は、結果として、バブル崩壊による不況を20年も継続させている。
成熟社会で必要な戦略は社会的に役立つ分野に政府が支援し雇用を作ること。生産の拡大ではなく需要の創出である。需要がないのに企業にがんばれといってもどだい無理な話。最終需要が変わらない中で職業訓練で労働効率が二倍になっても職を失う人が二人になるだけ。正規と非正規の格差を縮小しても就業者と失業者の格差を広げるだけ。需要不足が解決されない限り、いくら個別の対策を行っても解決にならずモグラ叩きと同じなのである。
いくら中央銀行が貨幣量を増やしても、今の日本のように失業が残ったまま不況が長期に続く場合、理論的にもデータ上でも効果はない。長期不況はお金への執着を増幅させ、お金が増えても貯蓄に回るだけで消費に回らないのである。加えて資金量を増やし続ければ円の信用も損なう。国債発行は増税という政治的には難しいことを先延ばしするだけで、既国債を信用不安に陥れる危険性のある政策。そうであれば、信用維持に軸足を置き、寧ろ増税により雇用を増やしてデフレと雇用不安を取り除くことの方が消費を刺激することになる。成熟社会の日本が取るべきは、財政の倹約ではなく、国民生活に貢献する事業を考えることなのである。とりわけ、人口の25%に過ぎない高齢者が全資産の約50%、金融資産のほぼ60%を持ち、高齢者の多くは現役時代に老後資金を貯め込みさらに消費税で集めた人口構成比以上の社会保険料を受け取ろうとしている。使いきれないお金の確保ばかりを考えている。老後生活を楽しく安心して暮らせるような提案が必要なのである。ちなみに高齢者を支え切れないから子供を増やすという政策は、必ずその子供たちも高齢者になることを考えれば、いつか必ず破綻する愚策である。
円高にしても過度な経常黒字がある限り継続する。円高の苦しみから逃れるためには、内需を増やして対外資産を減らすしかない。円高であれば外国製品を購入し、海外旅行を楽しめばよいのに自分では使わず、ODAで渡すのもいやがり、お金を握りしめ円高と失業を生んでいる。内需を増やさず生産力だけを高めても失業が拡大するだけであり、外需頼みでは円高を呼んで国際競争力が落ち不況を悪化させることとなる。
現下の日本の政策の誤りを明瞭に示している。発想の転換が求められている。

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Posted by ブクログ 2012年06月16日

考え方のレンジ、時間の幅を広くすると見方が大きく変わる良い事例だ。具体的な提案に全て賛成できるわけではないが大きく参考にしたい。

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Posted by ブクログ 2012年04月16日

日本の不況は発展途上国型から成熟社会型に変化しており、それに伴って対策も変えていく必要がある。 今までのように輸出を伸ばして外貨を稼ぐという刺激策ではこの状況は打破できず、いかに内需を拡大してモノやサービスの生産を増やすかがカギとなる。

新書ということもありある意味短絡的にシンプルに論理を展開して...続きを読むいるのだろうが、おかげで混沌として出口が見えない現状を明快に理解させてくれる。

この閉塞した状況を打破するためには今までの価値観・ものの見方を変えて多少の痛みを乗り越えて前に進んでいくしかないのだと思う。

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Posted by ブクログ 2012年03月07日

現代日本の経済状況の原因を「生産力過多」と「内需不足」として、税、国債、金融緩和、貿易など、あらゆる方向から検証した本。

国内では、税金だろうが国債だろうがお金は巡るだけで増えも減りもしない。
お金を多く刷ってもお金を使わなければ消費は減らず、景気は良くならない。
輸出をして外需を取り込んでも、そ...続きを読むの結果として円高になるので限界がある。

一方で、国内で消費活動をすれば、それは売上となり、給与となり、また消費の源泉になる。そうすれば、余った生産力=労働力は活用され、雇用も回復するという。

「生産性の向上」をひたすら追求すべき時代は終わり、「いかに良く消費するか」を目指す時代かもしれない。

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Posted by ブクログ 2012年02月24日

とてもわかりやすく書かれていて、さらに目からうろこ感がたくさんあった。日本は今、成熟社会にいるのだと考えることで、今までの政策や考え方では、今後やっていけないのだということがよくわかる。
無駄・・・を考えるとき、失業という現象こそ、労働力を無駄にしてしまっているということ。
需要が少ないことで、生産...続きを読む設備を遊ばせてしまっていること。
これらが本当のムダであること。
なるほどな・・・と思わせてくれることがたくさん書かれてありました。

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Posted by ブクログ 2018年11月05日

管政権の経済政策ブレーンをつとめ、「増税で景気回復!」みたいな主張が切り出して取り上げられて話題になっていたが、もう少し奥があるようなのでとりあえず読んでみる。

流動性選好っぽいのや財政支出重視でケインズ派なのかな?と思ったが、そういう訳でもないらしい。ケインズ派の想定する不況は「短期」の現象だが...続きを読む、こちらは「長期」の不況を想定しているという。さらに乗数効果への批判のところで分かったが、財政支出も増減税もぜーんぶクラウディングアウトしてしまいますよ、という所は新古典派的。けっきょく財政によって創り出される、所得移転以外の効用そのものが問題であり、そこから経済成長・雇用確保ができると。発想の根っこは新古典派に近いと思うが、供給力は足りているとの認識で需要サイドを問題にしているところ、貨幣への偏愛を問題にしているところが違う、かな?

お金を保有したくなってしまう欲求にはキリがないというのがとにかく大事なポイントだ。この場合の「お金」は通常の意味での貨幣に限らない。本書ではあまりそこは直接に解説されていないが、ところどころの記述から推測するに、株だって土地だって価値を表象していて取引がされるのであれば「お金」的要素があると考えてよいみたいだ。そうなると、お金への欲望が土地や株に向かえばバブルが起こり、お金そのものに向かえばデフレと不況が起こる。両者はコインの裏表でしかなく、背後にあるのはモノ・サービスに対する供給力過剰と需要欠如だ。これは肌感覚的に説得力があるな。

かと言って、、、じゃあ需要不足を解消するために、政府が高齢者へ現物支給するだとか、環境だ新エネだとか言われると、「ホントにそこまでのことなのか?」と思ってしまう。いや、議論の方向性は分かる。社会保障にしろ復興にしろ環境にしろ、ある程度やった方が良さそうで、政府がやることでよさそうで、今現在十分にできていないことはたくさんある。バカバカしい公務員人件費削減の自虐プレイなんかしていないで、多少は増税しようが何しようがそういうことにしっかり資源を投入することは必要だろう。でも、この本の議論はあんまりに極端で引いてしまうところもある。そこまでしなくとも需要を見出すことはできるのでは?具体的にどうしろとは言えませんが。。。高齢化しても供給力過剰は続くとの見方だが、そこは危ういのではないか。リタイア年齢を延ばす余地がどれほどあるか、いわゆるロスジェネで未熟練な労働者(あるいは失業者)が増えているであろうことなど考えるとどうだろう。

金融緩和の効果に対しては否定的だが、ここは分量も少ないし、議論もなんだかフワッとして説得力がない。しかし、こここそ、貨幣愛が株・土地に向かってしまう可能性を持ち出すと面白いのでは。

しかし経済学ではいろんな論争があるが、意外と最大公約数がありそうと言うか、政策の実施にあたってはその論争にケリをつけなくたってできることは多い気がする。小野理論は理屈は違ってもけっきょく処方箋はケインズ理論と似ているし、輸出で稼ぐことばかり考えていないで稼いだ国富で消費しろと言うと、野口悠紀雄とまで似たことを言っていることになる。

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Posted by ブクログ 2016年03月10日

経済学の基本理論に忠実で、出るかねと入るかねは同じということで説明している。しかし、そこでの貧困で喘いでいる人の姿が書かれていないのはなぜだろう。

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Posted by ブクログ 2013年02月11日

デマンドサイドの立場には立つが、伝統的ケイジアンとの間には一線を引いた立場の主張。拝金主義を戒めており、お金は使われてこそいみがある、その意味では供給に重きをおく「発展途上経済」とは異なる現実をよく見なさいと説いている。成熟社会で大事なのはお金を使ってこそ幸せになれるはず、その意味では増税〜適切な政...続きを読む府支出〜サービスや夢の創出につながって国民の幸福の向上につながるはずと見てはいるが。まず信用できる政府になってもらわないと。

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Posted by ブクログ 2012年03月08日

 現在の日本を成熟社会と考え、不況を脱するために従来の発展途上社会とは全く異なる考え方が必要と教えてくれます。

 著書では、成熟社会と発展途上社会を区別すべきであり、成熟社会では製品をたくさん作っても、モノが溢れて余っているなかではかえって不況を招くだけだと主張しています。製品をたくさん作って売れ...続きを読むる世の中ではないと指摘しています。需要と供給のバランスの視点から、供給過多の現代社会では、新しい価値を見出さないといけないと教えてくれます。

 消費者と生産者は表裏一体であり、不況で消費者の買い控えが続けば生産量も増えずに不況に陥ります。結局不況を打破するためには、出口である消費者の購買意欲を高めるしかないということになります。

 不況を打破するために、企業の側からコストダウンなどの努力をすべきと考えがちです。しかし、成熟社会ではモノを作れば売れる時代では無いと考えれば、コストダウンだけでは立ち行きならなくなります。

 成熟社会での突破口は、新しい価値を生んで新しい需要、新しい産業を作ることになります。消費者の購買意欲を高めることが不況を脱する手段であるならば、消費者が買いたいと思うような製品を作るしかありません。

 消費者側からも不景気だから節約して買い控えを続けていると、いつまでたっても不景気から脱せません。消費者は生産者でもあり、生産者は消費者でもあることをもっと考えるべきなのかなと思いました。今後は、新しい価値を探して、より顧客志向を高めることが糸口になると思います。

 既存製品のコストダウンは今を生き延びるために確かに重要です。日本市場では成熟社会であっても、海外の新興国は発展途上国と考えれば、従来のようにモノを安く作って利益を出すという考えはまだまだ必要です。しかし、発展途上国も永久的に途上国のままではなく、いつかは成熟社会の仲間入りを果たすでしょう。世界全体が成長鈍化する時代に備えて、新しい価値を生み出すスキルを身に付けておく必要があるかと思います。

目次
第1章 発展途上社会から成熟社会へ(お金をめぐる社会の変遷
成熟社会に足りないもの
混乱する経済政策)
第2章 財政政策の常識を覆す(乗数効果という幻想
雇用創出と税負担
財政支出の使い道)
第3章 金融政策の意義と限界
第4章 成熟社会の危機にどう対応するか(高齢化社会と少子化問題
災害対応
環境・エネルギー政策と市場の創出)
第5章 国際化する経済(内需と為替レート
企業の海外移転と産業保護)

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