原正人のレビュー一覧

  • 闇の国々

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    フランス語圏の漫画、BD(バンド・デシネ)の大作。「闇の国々」と呼ばれる国を舞台とする連作である。本書出版の時点では、本編が12作、番外編が12作出ており、本書ではうち本編3作が収録されている。
    日本語訳としては、本書に加えて『闇の国々II』と『闇の国々III』は刊行済であり、『闇の国々IV』は2013年秋頃に出ることになっているようだ。各作品の刊行順序は原作とは異なり、本書(I)に収録されているのも2作目(「狂騒のユルビカンド」)、3作目(「塔」)、6作目(「傾いた少女」)となっている。
    原作シリーズの自体もまだ完結というわけではないようだが、「闇の国々」に起こる出来事を描く各作品がゆるやか

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    2013年04月21日
  • 闇の国々III

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    第2集からわずか半年で第3集がでたのは驚き。文化庁メディア芸術祭で大賞とったし、ユリイカで特集したしで、着々と支持を広げている印象。
    第3集は中編ふたつと、新聞記事に模した短編ひとつ。いままでの第1集第2集に比べて、格段に読みやすくなった。これまでは行間の読み方から、テンポの取り方から、日本の漫画とは相当違った読みにくさがあったのだが、今回はそういうのがあまりない。バンド・デ・シネっぽさは少し薄いかなって気もするが、ふつうの日本の漫画と同じような気持ちで読むことができるし、画の半端ない美しさは今作でも変わらない。
    お値段は張るものの、毎回これだけ素晴らしい作品というのはそうそうありません。

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    2013年04月08日
  • 闇の国々

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    例えば、指輪物語のことへ思いは漂ってゆく。その物語は完全な空想の物語である筈なのにどこかしら言い伝えられた話であるよう雰囲気がある。伝説的な物語(あるいは神話もその一つに含めてよいと自分は思うけれど)の不思議さと現実から切り離された浮遊感の混じり合った雰囲気は、逆説的ではあるけれど、物語が地続きの世界のことを描いていると思わせられれば思わせられる程に強くなる。もちろんその為には多くの実際の伝説や史実を象徴的に取り込まれている必要はあるだろう。

    例えば指輪物語では「中つ国」という壮大な世界がまるごと一つ創出される。その歴史、文字、文化、それらがトールキンによって生み出されたこと自体、驚異的なこ

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    2012年04月29日
  • 闇の国々

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    400ページの大型本。絵もストーリーも深く緻密で中々読み進めない…orz 装丁を含む本そのものが世界を持っていて、まるで映画を本の形で読んでいるような錯覚に陥る。そういう体験自体が面白い。

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    2012年03月14日
  • ソクチョの冬

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    フランス人の父と韓国人の母の間に生まれた女性が主人公。
    海辺の街、束草での日常。ノルマンディ出身の中年男性。
    それら描写は、北朝鮮に近いこの閉塞感漂う街の冷たい空気感となんとも似つかわしい。

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    2024年09月24日
  • ラディアン (1)

    無料版購入済み

    不思議な感覚

    キャラ絵は完全に日本のマンガ風。
    ストーリーも、冒険ものの王道のような展開。

    でも、何か日本のマンガとは違う。
    「ドラゴンボール」の英語版などを読んだことがあるが、そんな雰囲気か。

    何が違うんだろうと考えたら…、コマ割りと文字数の違いだろうか?
    とにかく、セリフの文字数が多い。
    また、キャラを「引いた絵」が多く、全体的にごちゃついてしまっているイメージ。

    この見立てが正しいのかどうかわからないけれど、やはり「日本のマンガではない」という雰囲気はある。
    いや、日本でもマニアックなマンガだとこんな雰囲気もあるから、「大手出版社の大作っぽくはない」という感じかな?

    #スカッとする #エモい #ほのぼの

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    2024年04月03日
  • ソクチョの冬

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    彼が束草(속초)に来たのは冬のさなか。冬の束草に見るべきものなどないと主人公は思う。海水浴にくる場所だ。彼はヤン・ケラン、フランス人だ。フランスが気になるのは、主人公の父親があったことも無いフランス人であることだ。母親を置いたままどこかに行ってしまったという。でもフランスが気になるのか、大学では韓国文学とフランス文学を勉強した。彼は、バンド・デシネ(フランスの漫画)の作家という。物語を決めてから描くのではなく、描きながら絵が物語を語りだすという。恋愛でもなく、見ぬ父の面影を追うわけでもない主人公。彼のペンの筆先で自分を描いてほしいという。なかなか彼は女性を描きださない…。冬の束草、少し北には非

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    2023年06月07日
  • ソクチョの冬

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    ネタバレ

    最期、フグをさばいたあたりで不吉な予感がしたけれど、結局それを食べずにバンドシネ作家は出て行った理解でよいのかな。

    ソクチョの冬の景色や漁港の風景をついつい調べてしまった。

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    2023年02月25日
  • 闇の国々III

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    不条理というのだろうか。物語が難解だ。
    世界観がしっかりできているのがすばらしい。
    とくに建築物。むしろ建築物が主役のようなコミックだ。
    建築物が主役というと弐瓶勉の初期作品を想起する。
    しかし、シュイッテンの作品は、弐瓶勉のような闇の世界ではなく、陽光もある。そう、弐瓶勉のほうが闇の国々なのだ。
    しかし、本作が闇の国々というタイトルをつけているのには意味があるはずだ。言葉の響きから地下の世界のように感じてしまうが、それを示す表現はない。どういう意味があって、闇の国々というタイトルにしたのだろう。

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    2020年11月20日
  • 闇の国々

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    絵の質感がとても良い(個人的好み)。
    ただし日本の漫画の絵柄・コマ割りとは方向性が当然異なるので、読みづらさを感じるのは確かです。

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    2017年06月25日
  • 塩素の味

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    塩素の味
    コマも含めてラフなフリーハンドな感じと、透明感ある青緑っぽい色みがとてもいい。とりあえず絵を眺めているだけでいる心地よい。ひたすらプールだけで展開されるゆるい恋愛ストーリーも、いかにもおフランスのマンガぽい。
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    2016年03月28日
  • 闇の国々II

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    第2巻がついに出た。ページ数は減ったけど、今度はフルカラー。第1巻がわりとバラエティに富んだ内容が多かったが、第2巻は比較的地味な内容。地味ではあるけれど、こちらのほうがより<闇の国々>の世界観をよく描出している。それはこの闇の国々という作品群がある種の都市論であるという事。たとえば第2巻に収録された「ブラゼル」などはブリュッセルになぞらえていることが明確にされている。日本のマンガやアメコミではこういう視点は生じ得ない。ヨーロッパという都市が極めて重要な役割を果たす場所だからこその作品と言えるかも知れない。

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    2012年11月09日