江藤淳のレビュー一覧

  • 石原慎太郎・大江健三郎

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    石原慎太郎は、昭和の時代における若者のアイコンであった
    石原が何をやっても、世間はそれを支持した
    江藤淳はそんな石原を評して、「無意識過剰」と呼んだ
    にじみ出る石原の無意識が
    日本国民のそれと自然に呼応しているというほどの意味である
    敗戦後の、新しい日本を作り上げていこうとする若き大衆は
    石原のような存在を求めたのだった

    そう考えると、「万延元年のフットボール」を契機に
    江藤淳と大江健三郎が決裂したのも無理のない話だった
    三島由紀夫の死に先駆けて
    英雄の死と、その神格化を書いた大江は
    それによって
    石原の、真に健康な肉体を、冒涜したも同然であったから
    今では信じがたいことに
    石原、大江と江藤

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    2021年07月23日
  • 小林秀雄

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    江藤淳 小林秀雄 評伝 小林秀雄の批評構造を明確にして、そこに至るプロセス(宿命)や個々の批評の目線を論じていく構成。


    中原中也、その恋人、ランボオにより 批評家 小林秀雄が誕生したというのは そうかもしれないと思うが、彼らとの葛藤や相剋から 死を所有したとする論調は 共感できなかった。以後、自殺の理論や死の所有と小林秀雄の批評と結びつけているのだが、小林秀雄の文章に 生の否定や死への情熱を感じるだろうか。どちらかと言うと、著者の江藤淳氏の文章に 虚無的な印象を受けるのだが。


    小林秀雄の批評は「対象となる作者の心を通して 自分を見つめる構造を持つ」というのは、なるほどと思う。批評という

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    2021年04月06日
  • 南洲残影

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    南洲=西郷隆盛を通した作家:江藤淳が自身への内省を進めていく本と理解しました。

    明治当時の人も数多くの作家も西郷隆盛という
    人物の人間性・心の深淵を捉えることができないほど西郷隆盛は巨大な人物であったらしいので
    この本もその西郷を通した江藤さん自身の心の旅に近いので大変難しかった。。

    完全に理解できたかはいまだ理解できない。
    はっきり言えば哲学書であり結論はなくても
    いいのかもしれない。

    何が大事かをこの世で考えることが大事だと
    触発される本でした。

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    2011年08月26日
  • 成熟と喪失 ―“母”の崩壊―

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    言いたいことは理解る。母の崩壊、というより意識的な自壊、それは近代化が原因の不可避のこと。解決策として父の復権の持ち出すのは安直、それは滑稽に帰結。みたいな。実際面白いんだけど、いれこめなかった。それこそ「泣いた」と方々で発言するほどいれこんでいた上野千鶴子の解説だけで充分。

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    2009年10月04日