江藤淳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
石原慎太郎は、昭和の時代における若者のアイコンであった
石原が何をやっても、世間はそれを支持した
江藤淳はそんな石原を評して、「無意識過剰」と呼んだ
にじみ出る石原の無意識が
日本国民のそれと自然に呼応しているというほどの意味である
敗戦後の、新しい日本を作り上げていこうとする若き大衆は
石原のような存在を求めたのだった
そう考えると、「万延元年のフットボール」を契機に
江藤淳と大江健三郎が決裂したのも無理のない話だった
三島由紀夫の死に先駆けて
英雄の死と、その神格化を書いた大江は
それによって
石原の、真に健康な肉体を、冒涜したも同然であったから
今では信じがたいことに
石原、大江と江藤 -
Posted by ブクログ
江藤淳 小林秀雄 評伝 小林秀雄の批評構造を明確にして、そこに至るプロセス(宿命)や個々の批評の目線を論じていく構成。
中原中也、その恋人、ランボオにより 批評家 小林秀雄が誕生したというのは そうかもしれないと思うが、彼らとの葛藤や相剋から 死を所有したとする論調は 共感できなかった。以後、自殺の理論や死の所有と小林秀雄の批評と結びつけているのだが、小林秀雄の文章に 生の否定や死への情熱を感じるだろうか。どちらかと言うと、著者の江藤淳氏の文章に 虚無的な印象を受けるのだが。
小林秀雄の批評は「対象となる作者の心を通して 自分を見つめる構造を持つ」というのは、なるほどと思う。批評という