江藤淳のレビュー一覧
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江藤淳のエッセイ・批評のエッセンスを一冊にまとめた選集。
文芸批評を久し振りに読んだのだが、「神話の克服」、本稿で指摘されている日本ロマン派が文学において果たした役割がどういうものなのか、正直良く分からず、ついていけなかった。
「文学と私」「戦後と私」「場所と私」。
母のあまりにも早い死、明治国家を「つくった」海軍将校だった祖父のこと、空襲で焼けてしまった大久保の実家、義母の大病と江藤自身の肺病、父との懸隔、家族の困窮など、江藤が何とか文筆で生計を立てることができるようになるまでの様々な困難が述べられ、また戦後の「正義」への違和感が表明される。これらの文章を読んで、江藤の仕事の芯に -
Posted by ブクログ
石原慎太郎は、昭和の時代における若者のアイコンであった
石原が何をやっても、世間はそれを支持した
江藤淳はそんな石原を評して、「無意識過剰」と呼んだ
にじみ出る石原の無意識が
日本国民のそれと自然に呼応しているというほどの意味である
敗戦後の、新しい日本を作り上げていこうとする若き大衆は
石原のような存在を求めたのだった
そう考えると、「万延元年のフットボール」を契機に
江藤淳と大江健三郎が決裂したのも無理のない話だった
三島由紀夫の死に先駆けて
英雄の死と、その神格化を書いた大江は
それによって
石原の、真に健康な肉体を、冒涜したも同然であったから
今では信じがたいことに
石原、大江と江藤 -
Posted by ブクログ
江藤淳 小林秀雄 評伝 小林秀雄の批評構造を明確にして、そこに至るプロセス(宿命)や個々の批評の目線を論じていく構成。
中原中也、その恋人、ランボオにより 批評家 小林秀雄が誕生したというのは そうかもしれないと思うが、彼らとの葛藤や相剋から 死を所有したとする論調は 共感できなかった。以後、自殺の理論や死の所有と小林秀雄の批評と結びつけているのだが、小林秀雄の文章に 生の否定や死への情熱を感じるだろうか。どちらかと言うと、著者の江藤淳氏の文章に 虚無的な印象を受けるのだが。
小林秀雄の批評は「対象となる作者の心を通して 自分を見つめる構造を持つ」というのは、なるほどと思う。批評という