三輪太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1990年代、ヨーロッパのバルカン半島で起こったボスニア内戦。クロアチア人、ムスリム人、セルビア人の3民族が争う。やがて、セルビア人は共和国を作り、独立するが、初代大統領カラジッチは虐殺罪で戦争犯罪人として裁かれる。そして、彼は三島由紀夫の愛読者だったらしい。
かぜカラジッチは三島を選んだのか、三島文学はカラジッチに何を与えたのか。その接点を探そうとする女子大生と、その行動を見守る担当教授と元カレの3人それぞれの三島論が展開される。
一応、小説だが、本書は作者の三島由紀夫の研究論文だ。デモにより自己主張する最近の若者のはじまりが三島の割腹自殺だという説は、なるほどなと思う。しかし、肝心のカ -
Posted by ブクログ
政事小説だ。イチバン苦手な分野なのだけどこれがとっても分かりやすく書かれていてgood。連戦連勝の選挙コンサルタントのぼくのところへ舞い込んだ依頼は、絶対に勝目のない選挙…保守王国において、何のバックもないバツイチの女が与党大ボスの子飼いに勝てるのか?ふ〜ん、そうか、選挙ってこんな風にやるんだ。こんなこともやっちゃうんだ。この小説のいいところはこういうのにありがちの、あっというありえない奇跡が起こりました 的なラストにならないところだな。無理なことは無理として描かれているし、それでいてすがすがしい明るい終わり方をしているし。非常に読後感のいい小説。色々勉強になりました、はい。
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Posted by ブクログ
紹介されないと読めない本では。このタイトル、装丁ではまず手に取らない。この本も譲り受けて読み始めたがこれがおおあたり、感謝です。
大黒島にあるお寺の住職の住職になるまでの身の上話から、祈りの成就屁の考察、また日本の宗教の発展の中での修験者たちと仏教の関係などを書いた第一話から、日本の初期国家形成時代の政争とその政敵を宗教を司るポジションに付けたという歴史考察らら現在の宗教への流れを研究する大学教授が大黒島で婚礼を上げ、関係を深め宗教の考察を深める第二話、サイパンに昭和天皇が訪れ万歳クリフで黙祷を捧げた様子をルポした雑誌記者が考察する、現人神だった天皇と玉砕を強いられたとはいえ自ら命を絶っていっ