西村佑子のレビュー一覧
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ドイツのグリム童話・伝説・キリスト教に関わる植物の話を
メインに、民間伝承とキリスト教の関係、薬草の効用と
時代の変遷を考察した内容。植物については専門家の監修有り。
第一章 グリム童話・・・魔女と薬草
第二章 ドイツの伝説・・・魔女と不思議な植物
第三章 聖書・・・古い時代の植物
[附録]ドイツの薬草園と魔女迫害の跡地を訪ねる
主にドイツにおける伝説や物語と薬草の関係を、検証・考察。
中世の生活や文化、薬草の役割と、情報が多彩です。
それにしてもドイツの森の奥深さよ!
古代からの信仰とキリスト教のせめぎ合い、不幸な魔女たち。
それでも薬草は残り、伝承され、現代ではその効能で見直される。
「い -
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魔女。
その響きは、ある時代には恐ろしいものであり、またある時代には憧れや親しみを覚えるもの。
そんな得体の知れない存在は今も確かに生きている。
彼女たちが持つ薬草箱には、一体何が入っているのだろう?
魔女といえば、マンドラゴラ。
毒を持つ種類が多いナス科の植物だ。
そう、マンドラゴラは伝説ではなく、れっきとした実在の植物。
といっても、顔はない。
栽培はとても難しいそうで、奇妙な形と相まって、不思議な力を持つ植物と思われたのかも知れない。
このマンドラゴラ、和名は「恋なすび」。
たしかに丸茄子のような実がなっている!
受胎効果はいかほどのものかはわからないが、ナス科だと体を冷やすのでは…? -
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借りたもの。
特にドイツの薬草と魔女の歴史について読みやすくまとめられている。
魔女が空を飛ぶために使っていたのはホウキではなく「魔女の軟膏」を全身に塗っていての事だった……
真実に衝撃を受けつつ、その成分は何なのかを紐解きながら読み進んで行く。
「魔女」が扱う幻覚作用や毒性の強い植物から、魔除けの植物、「良い魔女」と魔法の薬草について、そして「賢い女」が扱う薬草まで。
読んでいて垣間見る暗黒の中世ヨーロッパ史――
魔女狩りやペストもさることながら、閉塞した空気感を思う。
そしてそれ故に魔女の「空飛ぶ軟膏」など幻覚作用のある薬が時に求められたのだと思う。
現代医学、化学療法と共に自然療 -
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魔女と言えば薬とほうきの2点セットが浮かんでくる。ぐつぐつと何か怪しいものを作っている姿やほうきにまたがって空を飛んでいる姿。
キリスト教にとって本来、魔女でもないのに魔女と呼んで迫害した人たちがいる。そうしたのには理由がある。それは、薬草に詳しい「賢い女」は、呪文を唱えながら薬草を積む。唯一の神の教えとして存在しているキリスト教としては異教行為と見えて、しかも民間の中で根強く残っていることに危機感を覚えたのだろう。産婆も迫害の対象となっていった。それは、子供を無事取り上げられない場合、洗礼を受けないで死んだので天国に行けなくなり、産婆が悪魔にいけにえとして捧げたと思われた。そして、事情 -
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読書録「魔女の薬草箱」4
著者 西村佑子
出版 山と渓谷社
p29より引用
“麻は捨てるところがないほど役に立つ植物
である。古代ローマの博物学者プリニウスは、
『博物誌』(77年)の中で、ロープを作るのに
最も適していると言っている。”
目次から抜粋引用
“魔女と薬草
魔女と魔除け
魔法の薬草
「賢い女」の薬草”
ドイツ語講師である著者による、魔女と呼
ばれた人達とその人達が扱った薬草について
著した一冊。
魔女が使ったとされる軟膏のレシピから薬
草料理についてまで、当時の様子を描いた絵
や植物図を使い解説されています。
上記の引用は、魔女の軟膏のレシピを紹介
するこう -
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物語や聖書に登場している植物や薬草に焦点を当て、作品のなかでどのような役割を担っているか、またどのような植物かを紹介した考察書。
薬膳、漢方、ドラッグ…現代でも薬にも毒にもなる“薬草”は、童話や物語を通しても重要なアイテムとして登場する。いわゆる“悪役”と呼ばれる魔女や継母が主に取り扱っている“薬草”を中心に、横断的に物語を読むという切り口は新鮮で面白い。セイヨウリンゴ、ハマナス、マンドラゴラ、ユリなど、現代も生きるものから伝説となっているものまでその世界は幅広く深いものの、創作の世界に留まらず歴史面からも解説されているので興味深い内容になっている。
作中の挿絵やイラストも豊富に掲載され、視 -
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魔女や魔女裁判に興味があり、この本を手に取りました。
魔女裁判自体が実際の歴史のものなので、私自身の知識が浅い部分については「うーん…」となる部分があり簡単に註釈や説明が欲しい部分もありました。旅の話でもあるので、少し写真とか入れて欲しかったかな。
筆者が目指して行った場所を住民に聞いてまわったら住民ほとんど知らなくて探し回った…その結果跡地にはこんな建物が建っていた…のような記述があったので、じゃあその写真も観たいな〜っていうのが割とありました。
魔女の迫害が、どんな疑惑でどのように行われたかなどは、詳しく調査されていて面白かったです。 -
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副題にあるように、魔女、グリム童話、伝説、聖書に登場する植物たちがどのように物語中で使われるか、効能を持つかなどをまとめたものである。
第2章のドイツの伝説では、ヴァルプルギスの夜が何度も登場する。
面白いのは、魔女が箒に乗ってやってくる、というのは固定観念で、「桶の船」、バター樽、火搔き棒、ニワトリ、フクロウ、荷車など様々なものに乗って彼女たちは集ったらしい。
いつの間にやら箒一択になってしまっているが、実にユニークな登場方法をしていたかわかる。
物語は人の口を経て、面白く端的な方に向かうものだ。
さて、現代の私達も空を飛びたいならJALやANAの他に「魔女の薬草酒」がある。
割と強めのア