白石朗・他のレビュー一覧
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購入済み
キングの短編はけっこう読んでいますが、この作品集では、なんとも言葉では言い表せない緊迫感でぐいぐい迫ってくる「N」が圧巻でした。
ストーリーとしてだけでなく、本当にこの世のどこかにこうした現象が起こっているような気もします。「N」の場合にはギリギリ正気を保った良心的な登場人物でしたが。
不可視のものを見つつ、危機迫る中、それをただの狂気や怪異でなく、高貴なまでの作品に仕上げてゆく、キングならではの作品。胸にズシンと響きました。
「ニューヨークタイムズを特別割り引き価格で」もよかった。泣けました。
こうした事も、想像だけではないのでしょうね。
何度も読み返せる作品集です。 -
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短編集2
ていうか、英語として同じタイトルなのに「夕暮れをすぎて」と「夜がはじまるとき」っていうタイトルにしちゃうところとか、作者後書きが「サンセット・ノート」てタイトルなところとか、全部好き。どれも面白かったです。
「N」…という患者が強迫神経症で精神が壊れて行く過程を記述した医療記録、医師の手記、妹の手紙、新聞記事。小説と言う体裁をとらずに、何か不可思議なものによる世界の浸食とそれによって精神が壊れて行く人々の様子。怖い。でも面白い。
「魔性の猫」…とにかく怖くてヤバイ猫の話。殺し屋に猫は殺せるか。
「ニューヨーク・タイムズを特別割引価格で」…飛行機事故で死んだはずの夫からの電話。悲し -
Posted by ブクログ
アーサー・マッケンの『パンの大神』に影響を受けたという「N」から、これぞキングのお下劣な最高傑作ともいうべき「どんづまりの窮地」まで珠玉の全6篇です。
30年前にキャバリエ誌に発表された作品「魔性の猫」のシンプルなお話が好きかな。想像力で色々背筋が凍る「聾唖者」もうなった。
でもまあやっぱ、トップを飾る「N」の怪奇譚っぷりが一番イカスね。キングが「脅迫観念の重みで自壊していく人間精神の物語でもある」とサンセットノートで語っているが、これいには激しく同意したい。
僕がこの日記であの場所へ行くと書き記して去ったなら。
どうかあなたは絶対に近づいてはいけない。あの場所に!!!!!!!! -
Posted by ブクログ
2009年から2019年頃の作品を収録。
作者はスティーヴン・キングの息子。あの父の子、と言われるのがイヤで、ペンネームで当初隠していたらしい。が、それなりに現在人気作家であるようだ。
序文からしてスティーヴン・キングの文体そっくりで、笑ってしまった。父と比較されるのがイヤだったら、ジャンルや文体をまるっきり変えてしまったらよかったのに、と思う。
文体までそっくりなのでこちらもスティーヴンと比較せざるを得ないのだが、文章やストーリー・テリングは、似ているようでもやはり大家スティーヴンに比して少し何かが抜けている感じがする。が、比較せずに読めば、これはなかなか面白い、出色のホラー短篇集で -
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神保町の書店で買った選書本。ラッピングされた文庫本の中から、本文から抜き出しされた一文を読んで気になる一冊を選ぶというもの。
「幽霊ならまだいい」という文章に惹かれてこちらを選んだ。
It、スタンド・バイ・ミーなどでキング作品はことごとく挫折してきてるので、正直読み切れるか不安だったけれど、面白い!
「魔性の猫」、「聾唖者」、「アヤーナ」が面白かった。特に魔性の猫は友達にも薦めたほど。
「どんづまりの窮地」はコーヒーを飲みながら読むものじゃなかった……何度顔を顰めたことか…ある種一番こわい。こわすぎる。
キングのあとがきに「私の感じた恐怖をみなさんにおすそわけしたいと思って書いた」とあり笑 -
Posted by ブクログ
4本がホラー系、3本がサイコ系の短編(〜中編)集。作品ごとに翻訳者も異なり、その雰囲気の違いも味わえる。
ウィラ
遅延した列車を待つ中、駅舎から一人荒野にさまよい出た婚約者ウィルを捜しに出たディヴィッド。そこで彼はある事実に気がつく。
ジンジャーブレッド・ガール
突然の病気で子供を亡くしたエミリーは、常軌を逸したジョギングにはまり夫との関係も怪しくなる。間を置くために父親の別荘に出かけた彼女は、一軒の別荘で一台の車を見る。
ハーヴィーの夢
ジャネットとは長年連れ添うハーヴィーから悪夢を見た話を聞く。最初はあまり気にとめなかったジャネットだが、やがて夢の現実に気がつく。
パーキング -
Posted by ブクログ
スティーヴン・キングは「悪夢のような話」が本当にうまい。
日常生活に、カチッと悪夢スイッチが入る瞬間。
あるいは、気づいたら悪夢に浸食されていることに気づく瞬間。
現実(リアル)の生活や登場人物自身のリアリティがあってこそ生きる、その怖さ。
でも、ただ怖いだけじゃないところがこの人の小説の面白さです。
列車の脱線事故で田舍の駅に取り残された乗客たち。デイヴィットは婚約者のウィラを探しに町へ向かう――「ウィラ」
子どもを亡くしたエミリーはランニングに没頭するようになる。夫と離れて訪れたオフシーズンのリゾート地でも走り続ける。そこでふと目撃したのは――「ジンジャーブレッド・ガール」
老年にさ