あらすじ
モダンホラーの名手が案内する、悪夢のドライブ旅行。
Netflix映画原作のスティーヴン・キング共作を含む傑作13篇!
著者自身による作品ノート付き。
顔の見えないトラック運転手に執拗につけ狙われる父と子――『激突!』の親子版「スロットル」、草むらに足を踏み入れた双子を恐怖が襲う「イン・ザ・トール・グラス」。
S・キングとの共作2篇をはじめ、死者が訪れる不思議な移動図書館「遅れた返却者」、お伽噺のような扉の先が血塗れの狩場に変わる「フォーン」、イタリアの港町を舞台に描く実験的作品「階段の悪魔」他、怪奇と奇想に満ちたアクセル全開の短篇集!
■収録作品一覧
「スロットル」(スティーヴン・キング共作)白石 朗 訳
「闇のメリーゴーラウンド」白石 朗 訳
「ウルヴァートン駅」玉木 亨 訳
「シャンプレーン湖の銀色の水辺で」高山真由美 訳
「フォーン」安野 玲 訳
「遅れた返却者」高山真由美 訳
「きみだけに尽くす」安野 玲 訳
「親指の指紋」玉木 亨 訳
「階段の悪魔」安野 玲 訳
「死者のサーカスよりツイッターにて実況中継」高山真由美 訳
「菊(マム)」玉木 亨 訳
「イン・ザ・トール・グラス」(スティーヴン・キング共作)白石 朗 訳
「解放」白石 朗 訳
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Posted by ブクログ
2009年から2019年頃の作品を収録。
作者はスティーヴン・キングの息子。あの父の子、と言われるのがイヤで、ペンネームで当初隠していたらしい。が、それなりに現在人気作家であるようだ。
序文からしてスティーヴン・キングの文体そっくりで、笑ってしまった。父と比較されるのがイヤだったら、ジャンルや文体をまるっきり変えてしまったらよかったのに、と思う。
文体までそっくりなのでこちらもスティーヴンと比較せざるを得ないのだが、文章やストーリー・テリングは、似ているようでもやはり大家スティーヴンに比して少し何かが抜けている感じがする。が、比較せずに読めば、これはなかなか面白い、出色のホラー短篇集である。
読者を喜ばすプレゼントとして、スティーヴンとの親子共作が二つ入っている。どちらもやはり面白い。とりわけ「イン・ザ・トール・グラス」は確か映画にもなっていると思うが、後味の悪さといったらない。
スティーヴンとの近似性を抜かせば結構面白い作品集で、私は特に最後の「解放」が気に入った。登場人物達が飛行機に乗っている最中、どうやらアメリカと北朝鮮との間で核戦争が始まったらしく、しかもそれだけではやはり収まらずに中国とロシアが動き始める。そんな暗澹とした破滅への一直線を描き出した作品だ。降雨名詞は出てこないが、米大統領は明らかに「無鉄砲な」トランプ。親子共々、トランプには批判的であるようだ。