松村真宏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「仕掛学」を読んで、もう10年以上が経つのかな。
話の内容も面白かったのですが、
論の立て方も非常にすっきりとしていて、
「こんな風に、おもしろいことを人に伝えればいいんだ」
と影響をうけたのを覚えています。
けっこういろんな人に勧めてきました。
その後の私は、
行動経済学や認知バイアス、
応用行動分析などが好きになり、
「仕掛で人の行動にポジティブな影響を与えるには?」
をずっと考えているように思います。
本書で面白かったのは、
終盤に挙げられている様々な仕掛けの実例と解説。
大学の講義の中で
「身近な中からしかけを100個みつけてみよう」
みたいなこともされているということ。
すぐ自分でも、身近な中での仕掛けを探してみてます。
また、著者が提唱される「仕掛け」の定義に沿って
ポイントをつけられた上で、
どんな意義があるかを見開きで数十個、
丁寧に解説されていますが、これも面白い。
「立ち止まり、薔薇の香りを嗅ぎましょう」
この言葉に集約される、
時々立ち止まって
身近な生活の中の魅力を見つけようという営み。
大切にしたいと考えた本になりました。
だけど初めての方には、
やっぱり最初の『仕掛学』か『子育て仕掛学』を
お勧めするかなー。
面白いですよ。 -
Posted by ブクログ
人には変化を避けたり未知のものを避けたりする「現状維持バイアス」がある。
したがって、基本的には従来の行動が選ばれ、新たな行動は選ばれにくい。新たな行動はわざわざ選びたくなるような工夫が必要になる。
仕掛けとナッジの違い
・遊び心を利用/認知バイアスを利用
・積極的な行動の選択/消極的な行動の選択
・特定の人が対象/すべての人が対象
・リバライアン・オルタナティビズム/リバタリアン・パターナリズム
・物理的介入/概念的介入
・そそる/つつく
正論のジレンマ
世の中は正論で溢れている。正論は筋が悪いと薄々感じていても、採用される案は正論ばかりである。それはなぜか。正論はそれ自体は正しいので、否定しづらいからである。このことを著者は「正論のジレンマ」と呼んでいる。
間違っていないことを否定するのは難しい。したがって、新しい案を示した上で、正論よりも新しい案のほうが期待できることを示すしかない。当然、新しい案にはリスクがともなうので、最初は小規模に展開してその効果を検証するところから始め、 うまくいきそうであれば規模を拡大していけばよい。
前例があると簡単に案が通ることも正論が採用される大きな理由である。組織において前例のない意見を出すと、その理由を資料にまとめて会議に諮り、承認されなければならない。前例のない案であれば最悪の場合を想定した否定的な意見が出やすいので、それに対して納得してもらえる回答をする必要がある。しかし前例があれば、 そういった議論は既に検討されたことと見なされて承認されやすい。
正論は筋が悪いことに気づいていない場合もある。正論が出たことで思考停止してしまい、実際に効果があったのかどうかまで気にしないことが多い。正論の効果をきちんと示すことは、正論の限界に気づいてもらう上で重要である。
マジックハンド配りの実験のときに、もう一つ考案した仕掛けがある。
新型コロナウイルス感染症への対策として人との接触をなるべく避けたいのであれば、ビラを配る人がいなくなればよい。そこで、人の代わりに姿見を設置し、姿見にひかれて自分の外見をチェックしたい人が寄ってくることを期待した。姿見の前にポケットティッシュを入れた籠を置いた。
2020年6月23日(火)にマジックハンド配りと同じ場所で実験したところ、一時間で2名がポケットティッシュを持ち帰った。
人が路上に立って配ったほうが効果がありそうな気がするが、必ずしもそうではなかった。努力は必ず報われるというのは、公正世界仮説と呼ばれる思い込みである。
仕掛けによって楽ができて効果も期待できるなら、試してみる価値はあるだろう。