豊田正義のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
殺し合う家族は内側から北九州連続監禁殺人事件を描くフィクション作品でした。
本作はそのノンフィクションで、外側から事件を見る、価値のある本でした。
松永が法廷で皆を笑わせたというところが、本当に怖かったです。
皆が自分の行いを知っているというのに雰囲気を変えてしまえるということは、
松永を不審に思った被害者たちが懐柔されてしまったことに一致します。
背筋が凍りました。
一方で緒方は、一審の死刑から二審で無期懲役になったということで、フィクション作品から読んだ自分としては救いがあったように思えます。
彼女は確かに加害者ではありますが、同時に被害者でもあったので……
この本では上告しようと思う -
Posted by ブクログ
ネタバレあまりに凄惨で評価をつけるべきではないと思うが、こんな現実が本当にあったということを残して、知れたことに対して評価をつけた。
どう感想を書いていいかわからない。
筆者が書いてあるように松永の心のうちは全く分からず、底のない悪と虚栄心と自己愛しかないように見えた。
およそ一般の人間が理解できる感覚ではないと思えたし、反社会性パーソナリティ障害やサイコパスという言葉でしか説明できないのだと思う。
法廷で松永が話した内容に笑いが起こるという異常さが、この男の危険性をよく表していて、被害者の多くが松永のことを気に入ってしまい、平たく言うと良い人で魅力のある人だと男女ともに思い、そこからはめられていく -
Posted by ブクログ
アジア・太平洋戦争に於ける日本軍の最悪の戦法として特攻があるが、一般的には航空機を用いた航空特攻を思い浮かべる人が大半だろう。海軍、陸軍合わせて四千名以上がその航空特攻に駆り出され、若い命を散華させた事は余りに有名である。それ以外にも人間ロケット弾としてアメリカからは「バカボム」とまで呼ばれた、ジェット推進の桜花(正に人が入ったミサイルそのもの)や、小型潜水艦である回天など、映画などでも題材にされるメジャーな特攻兵器もまだまだあるわけだが、本書が扱う小型特殊艇による特攻はそれ程多くは知られていない。何故なら、戦中戦後長きに亘り、その存在すらをも絶対的な機密事項とされたこと、そして実際の戦果を上
-
Posted by ブクログ
ネタバレ元々リアルクライムが苦手な私。
普段どんなに残酷な小説やグロ映画を観ても平気な顔して食事しているような人間だが、本当に怒った理不尽な暴力や、不条理な殺人事件などには辟易してしまう。
以前、インディアナ州で実際に起きた少女監禁殺害事件「シルヴィア・ライケンス事件」を元に大好きなジャック・ケッチャムが描いた「隣の家の少女」という小説を読んで、かなり精神的に参ってしまった私だったが、
本書は読んでいる最中の恐怖や不快さがさらに増していて、読み終わるまで本当に時間がかかった。
両親や家族を目の前で拷問され、汚物を食わされ、解体を手伝わされ……。
この世のものとは思えない惨状や犯人の思考に何度も本を -
Posted by ブクログ
あの人が認めるはずはありませんが、人が死んでもいいという感覚だったのではないでしょうか。嘘ついて嘘ついて、嘘の上塗りをしていくと、あの人の中ではいつしか本当のことになるんです。『自分はやってない』と言い続けて、それが本当になってしまっている。あんな人間、二度と出てこないでしょうね。(P.78)
複数の人間を監禁し、自分は殺害を誘導するだけで、拷問を受けて苦しんでいる人を見て笑っている。言葉巧みに騙して監禁して殺す。天才殺人鬼。人格は人相に出るなんて言うけれど、松永を見るとそれも信じられなくなる。狭い風呂場で遺体の解体が行われていたなんてこの世の出来事とは思えない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【その男に命じられるまま家族は殺しあった】
日本史上最も残忍といわれるマインドコントロールによる連続監禁殺人事件のルポルタージュ。
※実際にあった事件なので、事件の内容ではなく、全体の構成の読みやすさ、著者のこの事件を通して読者に訴えたい事が伝わったかどうかで評価
当時、報道規制がかかる程の残忍な事件の内容が詳しく記されているので読むには覚悟が必要だ。
メンタル弱めの人は注意。
事件の発覚は監禁されていた1人が逃げ出したことだったのだが、もし逃げ出していなかったらどうなっていたか。
監禁は複数の集合住宅で行われていたのだが、通電による拷問、遺体損壊による匂いや騒音などでまわりの住人は気づ -
-
Posted by ブクログ
2015年の今年は戦後70年。なので、NHKスペシャルは戦後70年に
ちなんだ内容の放送が多い。先日は沖縄戦を特集していた。
番組の冒頭、沖縄戦を戦った元アメリカ兵へのインタビューが流れ
た。彼は言う。
「パニックだった。機関銃を撃ちまくった。翌朝に見た遺体は市民
ばかりだった」。そして、声を詰まらせた。
アメリカ軍の本土上陸までの時間稼ぎの為に捨て石にされた沖縄。
多くの市民が巻き添えになり命を落とした。
沖縄本島に上陸するアメリカ軍から逃れる為に、多くの市民はガマ
と呼ばれる自然に出来た洞窟に身を潜めた。戦後、そのガマから
遺骨や遺品が発見されている。
本書 -
-
購入済み
読むことを躊躇してしまう内容
あまりにも凄惨な事件であり、本当にこんなことがあったのかとにわかには信じられない。人はここまで悪魔となれるのか、どうやったらこんな心理状態になるのか、単に例外的な人間として片づけられない思いがした。
確かに緒方一家は不幸だったのかもしれない。しかし、現在のおれおれ詐欺に象徴されるように正直でまじめなひとたちが不幸な目に遭うという社会は、歪んでいる。
松永のような人間がこれからも社会に現れないように、出来るだけ社会が努力するしかない。
かつて、インターネット動画で生きている人間の首を切る残酷なものがあったが、この本は活字だけでも同じくらいのショックを受けてしまう内容である。 -
Posted by ブクログ
尼崎の角田美代子の事件とごっちゃになっていたので、「家族喰い」と併せて読みました。
こちらの方が、登場人物との相関がわかりやすかったです。家族喰いの方は相関図があったけれど何度もページを戻して確認しなければ誰が誰だかわからなくなりそうなくらい人が多かったので。
緒方の生い立ちから松永との出会いや裁判の証言から事件の概要が読者にもわかりやすく描写されていました。
人は人にここまで残酷になれるのかと恐ろしさがあるのにページを読み進める手は止まりませんでした。
ふと、松永が電気と出会わなかったらどうなってたんだろうと。
電気ショックという思考停止してしまうほどの打撃を一撃で与える事ができる強 -
Posted by ブクログ
ネタバレえぐい。何回も読むのをやめようかと思ったけど、それに反する先を読みたいと思う気持ちが勝って、3日で読んだ。
ノンフィクションなのに、残酷で鬼畜すぎて物語かと錯覚してしまう。最後まで松永の本心がわからないのが、悔しい。
絶対的な支配をしていたのに、借金取り?かなんかが家にきた時、部屋の隅で小さくなってた的なことを息子さんが言っていたと言うのをみて、驚いた。
死刑判決を受けてからも、(自分の独房?の前を通る)運動場に行く収容者に正座でにこやかに挨拶をしているのが怖い。
どうしたらああいう人間になるのか、生まれつきなのか、環境なのか。
確かに怖かったし、被害者、遺族のことを考えなるといたたま -
Posted by ブクログ
小野一光著の本と比べてしまうが、こちらの本のほうが読みやすく、分かりやすかった。理解しにくかった大人たちの精神面の変化ことが、この本では少し理解できた気がする。少〜しだけ。
やはり、自分の心の中の出来事を言葉にするのは難しいと感じた。
精神がおかしくなってなかったら、「太」なんてダサい焼印も、入れ墨も入れないよ‥。
最近、介護疲れで子どもが親を殺害、教育虐待で娘が母親を殺害、お金を返してもらえないリスナーが生放送中の配信者を殺害などの事件が起こったときに「しょうがない」「犯人が可哀想」などの意見が出ることがあり、惑わされることがあるが、殺人自体は絶対にしてはいけないことであることは念頭に置