あらすじ
七人もの人間が次々に殺されながら、一人の少女が警察に保護されるまで、その事件は闇の中に沈んでいた──。明るい人柄と巧みな弁舌で他人の家庭に入り込み、一家全員を監禁虐待によって奴隷同然にし、さらには恐怖感から家族同士を殺し合わせる。まさに鬼畜の所業を為した天才殺人鬼・松永太。人を喰らい続けた男の半生と戦慄すべき凶行の全貌を徹底取材。渾身の犯罪ノンフィクション。
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読むことを躊躇してしまう内容
あまりにも凄惨な事件であり、本当にこんなことがあったのかとにわかには信じられない。人はここまで悪魔となれるのか、どうやったらこんな心理状態になるのか、単に例外的な人間として片づけられない思いがした。
確かに緒方一家は不幸だったのかもしれない。しかし、現在のおれおれ詐欺に象徴されるように正直でまじめなひとたちが不幸な目に遭うという社会は、歪んでいる。
松永のような人間がこれからも社会に現れないように、出来るだけ社会が努力するしかない。
かつて、インターネット動画で生きている人間の首を切る残酷なものがあったが、この本は活字だけでも同じくらいのショックを受けてしまう内容である。
Posted by ブクログ
あくまでもこの本に対する評価。
口にするのも恐ろしいような事件の詳細を、本にまとめた筆者に敬意を示します。
最後まで読んだけど、読むのが途中でしんどくてたまらなかった。
メンタルが弱い人は読む時期を考えたほうがいいかも。
Posted by ブクログ
殺し合う家族は内側から北九州連続監禁殺人事件を描くフィクション作品でした。
本作はそのノンフィクションで、外側から事件を見る、価値のある本でした。
松永が法廷で皆を笑わせたというところが、本当に怖かったです。
皆が自分の行いを知っているというのに雰囲気を変えてしまえるということは、
松永を不審に思った被害者たちが懐柔されてしまったことに一致します。
背筋が凍りました。
一方で緒方は、一審の死刑から二審で無期懲役になったということで、フィクション作品から読んだ自分としては救いがあったように思えます。
彼女は確かに加害者ではありますが、同時に被害者でもあったので……
この本では上告しようと思うというところで終わっていますが、
その後、上告審については棄却されたとのことです。
Posted by ブクログ
あまりに凄惨で評価をつけるべきではないと思うが、こんな現実が本当にあったということを残して、知れたことに対して評価をつけた。
どう感想を書いていいかわからない。
筆者が書いてあるように松永の心のうちは全く分からず、底のない悪と虚栄心と自己愛しかないように見えた。
およそ一般の人間が理解できる感覚ではないと思えたし、反社会性パーソナリティ障害やサイコパスという言葉でしか説明できないのだと思う。
法廷で松永が話した内容に笑いが起こるという異常さが、この男の危険性をよく表していて、被害者の多くが松永のことを気に入ってしまい、平たく言うと良い人で魅力のある人だと男女ともに思い、そこからはめられていく。
松永に暴力を振るわれておかしいと思うべき時には既に逃げられないよう拷問、睡眠不足や酒、理詰めをされ尽くし、自分が悪いと思い込まされる。
なぜそんなことを?という部分への答えは本には出てこず、支配や拷問を楽しんでいるとしか思えない。
どうしても理解できない人間が現実に存在していることが本当に恐ろしい。
Posted by ブクログ
傍聴人すら爆笑させてしまう天才的な話術と洗脳力を持つ太。自分には緒方の気持ちが痛いほど分かる書籍だった。逃げることなんて考えられない。これが自分の生きる道としか思えない状況下に飼われるなんてことがこの世には普通に存在する。極めて残忍だが、こんな鬼畜はいくらでもいる。他人事では片付けられない事件だと思った。
Posted by ブクログ
元々リアルクライムが苦手な私。
普段どんなに残酷な小説やグロ映画を観ても平気な顔して食事しているような人間だが、本当に怒った理不尽な暴力や、不条理な殺人事件などには辟易してしまう。
以前、インディアナ州で実際に起きた少女監禁殺害事件「シルヴィア・ライケンス事件」を元に大好きなジャック・ケッチャムが描いた「隣の家の少女」という小説を読んで、かなり精神的に参ってしまった私だったが、
本書は読んでいる最中の恐怖や不快さがさらに増していて、読み終わるまで本当に時間がかかった。
両親や家族を目の前で拷問され、汚物を食わされ、解体を手伝わされ……。
この世のものとは思えない惨状や犯人の思考に何度も本を閉じ、目を閉じ、心を休めないととてもじゃないけど集中して読み進められなかった。
女子高生コンクリ事件や山岳ベース事件の本なども同じ棚に入る。
本書は1つの事件を3つの目線から記録している。
事件発覚の手がかりとなった脱出に成功した生存者の証言、
事件の発生から最後まで主犯を支え続けた内縁の妻の女性の証言、
そして悪魔のような主犯の証言。
同じ期間、同じ場所、同一人物の死について語っているのに、どうしてこんなにも内容が異なるのだろうか。不思議でたまらない。
後半の主犯の男の饒舌っぷりも胸糞が悪くなる要因だ。第一印象は端正な顔立ちで、見栄えのする人物に映るのだろうが、その中身は猜疑心と嫉妬心が強く嘘つきで調子こきで嗜虐的な恐ろしい人物である。
個人的には二度と手に取りたくないし、自分の中では封印しておきたい本だとも思うが、この本を編集して出版してくれた著者の豊田正義さんは尊敬すべき偉業をやってのけたと称賛したい。
この事件を熱心に新聞に取りあげていた記者が「気分の悪くなるようなもの朝から読ませるな」というクレームで事件の記事を書くのをやめたとか、あまりに凄惨すぎて記事やニュースにはできなかったと当時の世相を本書内で語っているが、今はさらに風当たりが強いだろうことは容易に予想がつく。
地上波では放送できないだろう。
しかし、事件は本当に起こったし、悪魔のような犯人は小説ではなく実在しているし、さらに生存者や子孫もいる。
だから、事件を風化させてはいけないと思う。無知はそれだけで自分の存在を危うくするのだから。
実際に、この事件と類似している尼崎事件はこの北九州事件の後に発生している。
主犯格が女というだけで、大人数で共同生活をしながら互いに傷害を負わせるという洗脳に近いやりくちは本事件の主犯のやり方に似ている。
被害者や周りの人物が洗脳についてもう少し知っていたら、この事件はここまで大きくなったのだろうか。
とにかく、世の中には自分の常識を遥かに超える、斜め上を見ている人間がいる。それは悪魔と呼ぶに相応しい人物であると再認識して肝が冷えた1冊だった。
Posted by ブクログ
あの人が認めるはずはありませんが、人が死んでもいいという感覚だったのではないでしょうか。嘘ついて嘘ついて、嘘の上塗りをしていくと、あの人の中ではいつしか本当のことになるんです。『自分はやってない』と言い続けて、それが本当になってしまっている。あんな人間、二度と出てこないでしょうね。(P.78)
複数の人間を監禁し、自分は殺害を誘導するだけで、拷問を受けて苦しんでいる人を見て笑っている。言葉巧みに騙して監禁して殺す。天才殺人鬼。人格は人相に出るなんて言うけれど、松永を見るとそれも信じられなくなる。狭い風呂場で遺体の解体が行われていたなんてこの世の出来事とは思えない。
Posted by ブクログ
読んだ衝撃が強かったかな。
純子さんの量刑をどう思うかは難しい。
行われたことがあまりにも凄惨かつ人数も凄いので簡単に判断できる気はしない。
遺族だったらきっと許せないだろうし。
でも、その反省からくる全容解明への協力と贖罪の気持ちそのものは社会の一員としてなら人の再生として受け止めたいかなと思わせるものだったかな。
主犯に関しては最後まで人の道を歩くことを拒否した態度で残念。
極刑ですら生温いと思わせる人物だった。
Posted by ブクログ
【その男に命じられるまま家族は殺しあった】
日本史上最も残忍といわれるマインドコントロールによる連続監禁殺人事件のルポルタージュ。
※実際にあった事件なので、事件の内容ではなく、全体の構成の読みやすさ、著者のこの事件を通して読者に訴えたい事が伝わったかどうかで評価
当時、報道規制がかかる程の残忍な事件の内容が詳しく記されているので読むには覚悟が必要だ。
メンタル弱めの人は注意。
事件の発覚は監禁されていた1人が逃げ出したことだったのだが、もし逃げ出していなかったらどうなっていたか。
監禁は複数の集合住宅で行われていたのだが、通電による拷問、遺体損壊による匂いや騒音などでまわりの住人は気づかなかったのだろうか。
もし自分の身近でこんな事件が起きていたとしたら夜も眠れないだろう。
著者は裁判を幾度となく傍聴し、主犯と共に逮捕された女と面会をするなどしており、女の心境は読み取れるものの、主犯の男の一族が取材拒否しており、幼少期の家庭訪問も何かと理由をつけて断られていたため、どのようにしてサイコパスが生まれたかは謎のままだ。
男に会うまで女は普通の一般市民であり、殺し合いをした一家は中には元警察官や名士もいたというのだからマインドコントロールの恐ろしさは計り知れない。
実際、主犯の男の裁判中、男の発言で傍聴席から笑いが起こる程の口の上手さだったらしい。
現代もカルト宗教によるマインドコントロールやDVの問題は解決に至っていない。
この事件をより深く知ることで、マインドコントロールに負けない強いメンタルを持つ重要性、何かトラブルに巻き込まれた時助けを求められる環境作り、知識を身につける事の大切さに改めて気づかされた。
こんなひとにおすすめ .ᐟ.ᐟ
・ルポルタージュが好きなひと
・社会派が好きなひと
・社会問題に関心があるひと
Posted by ブクログ
これは実際あった事件なのか?こんな残酷な事が現実の日本で行われたのか?と疑いたくなるほどに残虐的で悲惨なドキュメンタリーだった。そして洗脳の恐ろしさを知る。
Posted by ブクログ
尼崎の角田美代子の事件とごっちゃになっていたので、「家族喰い」と併せて読みました。
こちらの方が、登場人物との相関がわかりやすかったです。家族喰いの方は相関図があったけれど何度もページを戻して確認しなければ誰が誰だかわからなくなりそうなくらい人が多かったので。
緒方の生い立ちから松永との出会いや裁判の証言から事件の概要が読者にもわかりやすく描写されていました。
人は人にここまで残酷になれるのかと恐ろしさがあるのにページを読み進める手は止まりませんでした。
ふと、松永が電気と出会わなかったらどうなってたんだろうと。
電気ショックという思考停止してしまうほどの打撃を一撃で与える事ができる強い武器を手にしてしまったが故にここまでの事件になってしまったのか。
電気が無かったとしても結末は変わらなかったのか?
読んでいるこちらは逃げられたでしょ〜と思うが、お互いに監視しあいカースト下位の物は電気ショックを与えられ、思考停止するような環境に置かれたら、私もまた松永に反抗することも諦めたゾンビのような状態になるのかもしれない。
百歩譲って両親はともかく、妹家族が全員巻き込まれるとはどうしたらよかったのか。。。
Posted by ブクログ
えぐい。何回も読むのをやめようかと思ったけど、それに反する先を読みたいと思う気持ちが勝って、3日で読んだ。
ノンフィクションなのに、残酷で鬼畜すぎて物語かと錯覚してしまう。最後まで松永の本心がわからないのが、悔しい。
絶対的な支配をしていたのに、借金取り?かなんかが家にきた時、部屋の隅で小さくなってた的なことを息子さんが言っていたと言うのをみて、驚いた。
死刑判決を受けてからも、(自分の独房?の前を通る)運動場に行く収容者に正座でにこやかに挨拶をしているのが怖い。
どうしたらああいう人間になるのか、生まれつきなのか、環境なのか。
確かに怖かったし、被害者、遺族のことを考えなるといたたまれない気持ちになるが、私は無差別の方が怖いので、まだ寝れなくなったり、夜歩く時の怖さはなくて、生活に支障が出なくてよかった。関連本も読みたいと思った。
Posted by ブクログ
連続殺人事件のルポ。
洗脳されて殺人を犯していく様が理解しがたいが、自分も同じ立場に置かれたら犯行に及んでしまうのかな、、と終始考えずにはいられなかった。
あとがきに緒方純子さんからの手紙が載っていたり、犯人のその後が知れる一冊。憑依系。
Posted by ブクログ
小野一光著の本と比べてしまうが、こちらの本のほうが読みやすく、分かりやすかった。理解しにくかった大人たちの精神面の変化ことが、この本では少し理解できた気がする。少〜しだけ。
やはり、自分の心の中の出来事を言葉にするのは難しいと感じた。
精神がおかしくなってなかったら、「太」なんてダサい焼印も、入れ墨も入れないよ‥。
最近、介護疲れで子どもが親を殺害、教育虐待で娘が母親を殺害、お金を返してもらえないリスナーが生放送中の配信者を殺害などの事件が起こったときに「しょうがない」「犯人が可哀想」などの意見が出ることがあり、惑わされることがあるが、殺人自体は絶対にしてはいけないことであることは念頭に置いて読むようにした。
ただ、最後の緒方さんの手紙のところは、罪を償いつつも自分の人生を取り戻して欲しいと思わざるを得なかった。
今現在、緒方さんは何を考えて過ごしているのだろう。身を削る思いで生きつつも、この事件のことを考え続けているだろうか。
松永死刑囚のほうは、何も変わってないだろうから期待していない。寿命がくる前に死刑執行を望む。
Posted by ブクログ
想像してた何倍も強烈で、放心状態になりました。
松永太の異常性、そして通電による洗脳の異常性。
あまりにも残忍で言葉が出なかった。
松永の饒舌で法廷で笑いをも生んでしまうサイコパスさには驚きと共に、作者と同じく心の真相を知りたいと思いました。
純子の立ち位置からどう考えるか難しい。
被害者と加害者、両方の立場であるが、背景を理解しないといけない。
自分は作者の意見に同意です。
Posted by ブクログ
読んでいてとても辛かった。
今私たちが住んでいる日本で、そして私が生まれる前後でこんな悲惨で凄惨な事件があったなんて信じられない。
ページをめくるのも苦しくて、読むペースも遅かった。
これは現実に起こった事件のノンフィクションの作品で、取材を通しながら知りうる内容でとても読みやすかった。
人はいつどうなるのか分からなくなる作品。
ずっと怖いの人間だということを改めて思い知らされた。
Posted by ブクログ
一人の人間の悪意でこれだけ沢山の人間が洗脳、作害され、実在の人物がやったとは考えられない話。
文章にするとこんな幼稚な嘘になぜ騙されるのか、と思うが、想像を絶する表面上の人となり、口の旨さがあったのでしょうね。
自分は大丈夫騙されない、とは決して言えず、もしかすると、自分のすぐ近くにも同じような人が潜んでいるかもしれないと思うと、背筋が寒くなる。
Posted by ブクログ
凄まじかった。フィクションであって欲しかった。読み進めてる途中や読み終わった後は何とも言えない気分になる。
松永は(この表現があっているかどうか分からないが)犯罪の天才だったのだと思う。人を騙す事や嘘をつく事に慣れている。
気になったのはたくさんの人から巻き上げたお金は何に使っていたのか、どこに消えたのか。
最後著者の豊田さんは緒方被告に死刑を回避して欲しい、生き続けて償って欲しいとの意見であったが、それには反対ではないが賛成もできなかった。
Posted by ブクログ
淡々と事細かに卑劣な事件、裁判の内容が書かれている。フィクションなのに受け入れきれない自分はまだ正常なのか。こんな所業、松永は本当に人間なのか。
Posted by ブクログ
ノンフィクション小説のはずだが、内容が非現実的すぎて途中からフィクション小説のつもりで読んでしまった。洗脳されていたから罪はないという主張もわからなくはないが、最後緒方さんを擁護した部分は少し残念に感じてしまった。
Posted by ブクログ
小説ではないので、どのように評価し、レビューを書いたら良いのか、非常に難しいです。
恐ろしい、という言葉では全く足りない、現状に起きた事件だということを受け入れるのが困難なほど、常軌を逸した事件。
この事件を丹念に調べ、専門的な知識を挟みながら
(心情的な意味ではなく)読みやすく書き上げた著者はすごいな、と思います。
2014年37冊目。
Posted by ブクログ
興味本位だけで読むのは難しいかも。
映像よりも文の方が想像力が掻き立てられるために、とても胸糞悪く気持ち悪い
でもこれはノンフィクションであるから、途中で止めるのは何だか不甲斐ないと思い使命感に駆られて最後まで読んだ
こんなにも酷く残虐的なことが長く続き、それでもやはり逃げれなかったのは精神を操る知能がある犯人だったからなんだろうな
無知は怖いけど、博識なことも向きが変われば武器になりかねないから物凄く恐ろしい
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ詳しく書いてあるので内容はキツい。だけど一気に読んでしまった、、、。有名な事件だから知ってる人も多いと思うけど、ノンフィクションが好きなら確実に読むべき1冊。他のコンテンツで観るよりはるかにリアルでゾッとします。
恐ろしい事件
恐ろしい事件。本書を読めばその事件の経緯は概ね辿ることができる。
しかし、あとがきで作者自身が「虚しさ」と述べているように、主犯の人物がなぜこのような
生き方になったのか、どうしてここまでの残虐性を有するに至ったのか、といった疑問には
正直何一つ迫れていない。やたらと弁の立つ「怪物」を常識とか社会規範とかいったもので
秤に掛けようということ自体誤りなのかも知れないが。
良かったのはあとがきで、作者と、共犯である女性とのやり取りや手紙の内容などが
記されていること。ここにわずかな救いを感じた。
楽しかった
こんな、残虐な事件は女子高生コンクリート詰め殺人、以来です。
身の毛もよだつような、怖い事件です。
特に、ミキサーで遺体を解体してドロドロにして捨てたと。
怖すぎです。おぞましいです。
主犯の永井は、本当に、ことば巧みに人を騙すのが得意ですね。
あんなのに、いつ、こっちが引っかかってもおかしくないような気がして、自分もこの事件の被害者になりうることだな、とおもいました。
永井は、顔もまあまあ、イケメンだったし、結婚をちらつかせると、貢いで挙げ句の果てには監禁されてしまう女性がたくさんいたのも、驚きですね。
作者は、何を伝えたかったのか??
特に永井の、生い立ちとかもっと、たくさん、調べて欲しかった。
同級生の話とか、親戚の話とか。
永井は、本当のサイコパスですね。
Posted by ブクログ
目を背けたくなるほどの内容。何度も、本を閉じました。被害者や洗脳されている純子の側から物を考えることはまだ、かろうじてできるけれど、松永の側で考えることがどうしてもできない。だけれど、松永も人間であり、ナチスで見られたように、人間はどこまでも残酷になれる生き物でもある。誠実に生きようという信念を持っていても、この人間に囚われたら信念など、木端微塵に打ち砕かれるだろうと思う。拘置所で、少しずつ松永からの呪縛から解き放たれた純子に、わずかながら救われた。被害者ご家族にとっては、決して許されないことだろうけれども。しかし本当に、事件が露見して良かったと思う。でなければ、今も何人も犠牲になっていたことだろう。
Posted by ブクログ
サイコパス、現代で言われる反社会性人格障害に興味があり、この本は何度か読み返している。
どうやらサイコパスという存在は人間史の中でもかなり古くから存在していたらしい。
サイコパスはどう考えても人類に有害な存在であるのに、どうして今日までしぶとく生き残ってきたのか。
サイコパスの中にも無害なサイコパスと有害なサイコパスがいる。無害なサイコパスは人を虐げたり殺すことに喜びを見出さないタイプだ。プレッシャーや緊張を感じることがなく、公の場でも難なく大業を成し遂げることができる。そのため、人類の発展や存続に大きく貢献出来る能力を有する遺伝子として、現在まで淘汰されずに残ってきたものと考えられている。有害なサイコパスは捕まりやすいが、その強い支配力で子どもを残すことができるのだろう。
この作品に登場する主犯の人間は明らかに後者であり、読んでいると気分が悪くなって嘔吐でもしそうな心持ちになるが、それでもサイコパスがどのように人間を支配しどのように虐げるのが好きなのか、知っておかなければいけないだろう。
支配力の強い人間のマインドコントロールは、相手が真面目で疑い深い人間であるほど効力を発揮するようだ。自分は騙されない、自分は正しい判断力を持っていると確信している人間ほど、何かを信じる力も強いと言える。また、自分のやってしまったことに対しての罪悪感も感じやすいのでつけ込まれやすい。
もう二度とこのような同じ過ちを繰り返させてはならない。特に子どもが犠牲になっている点が許し難い。サイコパスは外面が良く人当たりがとても良いということを忘れてはならない。100人に1人の割合でサイコパス傾向の人間は存在しているようなので、すぐに見抜いて離れられるよう、用心しておくに越したことはないだろう。。
Posted by ブクログ
この本を読んで寝ると、毎回悪夢を見るので、読み終わるのに時間がかかった。
でも、読みやすかった。とても現実とは思えない。
普段が平和すぎるからかな、、
Posted by ブクログ
自分は比較的真っ当な人生を歩んできていると思っているので、非日常な犯罪心理の世界を覗いてみたくなる時期がある。
ネットでも随分と凶悪犯罪の記事を読んできたものだが、こちらの著作の凄惨極まる状況に顔をしかめながらも読み切った。正常な反応かと。
この事件をモデルにしたドラマ「愛なき森で叫べ」や櫛木理宇、我孫子武丸なんか読んでいて耐性が多少なりあるつもりでいてもこれが現実に起きたことなんだと思うと寒気がする。
事実は小説より某とは真理だな、と。
体験出来ない、したくない分、こうして知識を得ておく事は大事かと思う。隠された悪を注意深く拒む手掛かりとして。
Posted by ブクログ
これを読んでよかったのか、現実にこういう人がいる、そして、こうならざるを得なかったひともいる、ということを認識しておくことが必要だということか。
頭の中の整理がつかない
ただ、著者は最後に記載しているが、加害者でもあり、被害者でもあった純子の行動をどう考えるべきか、何を問うべきか、についてが書きたかった一つなのだろう