あらすじ
七人もの人間が次々に殺されながら、一人の少女が警察に保護されるまで、その事件は闇の中に沈んでいた──。明るい人柄と巧みな弁舌で他人の家庭に入り込み、一家全員を監禁虐待によって奴隷同然にし、さらには恐怖感から家族同士を殺し合わせる。まさに鬼畜の所業を為した天才殺人鬼・松永太。人を喰らい続けた男の半生と戦慄すべき凶行の全貌を徹底取材。渾身の犯罪ノンフィクション。
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Posted by ブクログ
あまりに凄惨で評価をつけるべきではないと思うが、こんな現実が本当にあったということを残して、知れたことに対して評価をつけた。
どう感想を書いていいかわからない。
筆者が書いてあるように松永の心のうちは全く分からず、底のない悪と虚栄心と自己愛しかないように見えた。
およそ一般の人間が理解できる感覚ではないと思えたし、反社会性パーソナリティ障害やサイコパスという言葉でしか説明できないのだと思う。
法廷で松永が話した内容に笑いが起こるという異常さが、この男の危険性をよく表していて、被害者の多くが松永のことを気に入ってしまい、平たく言うと良い人で魅力のある人だと男女ともに思い、そこからはめられていく。
松永に暴力を振るわれておかしいと思うべき時には既に逃げられないよう拷問、睡眠不足や酒、理詰めをされ尽くし、自分が悪いと思い込まされる。
なぜそんなことを?という部分への答えは本には出てこず、支配や拷問を楽しんでいるとしか思えない。
どうしても理解できない人間が現実に存在していることが本当に恐ろしい。
Posted by ブクログ
元々リアルクライムが苦手な私。
普段どんなに残酷な小説やグロ映画を観ても平気な顔して食事しているような人間だが、本当に怒った理不尽な暴力や、不条理な殺人事件などには辟易してしまう。
以前、インディアナ州で実際に起きた少女監禁殺害事件「シルヴィア・ライケンス事件」を元に大好きなジャック・ケッチャムが描いた「隣の家の少女」という小説を読んで、かなり精神的に参ってしまった私だったが、
本書は読んでいる最中の恐怖や不快さがさらに増していて、読み終わるまで本当に時間がかかった。
両親や家族を目の前で拷問され、汚物を食わされ、解体を手伝わされ……。
この世のものとは思えない惨状や犯人の思考に何度も本を閉じ、目を閉じ、心を休めないととてもじゃないけど集中して読み進められなかった。
女子高生コンクリ事件や山岳ベース事件の本なども同じ棚に入る。
本書は1つの事件を3つの目線から記録している。
事件発覚の手がかりとなった脱出に成功した生存者の証言、
事件の発生から最後まで主犯を支え続けた内縁の妻の女性の証言、
そして悪魔のような主犯の証言。
同じ期間、同じ場所、同一人物の死について語っているのに、どうしてこんなにも内容が異なるのだろうか。不思議でたまらない。
後半の主犯の男の饒舌っぷりも胸糞が悪くなる要因だ。第一印象は端正な顔立ちで、見栄えのする人物に映るのだろうが、その中身は猜疑心と嫉妬心が強く嘘つきで調子こきで嗜虐的な恐ろしい人物である。
個人的には二度と手に取りたくないし、自分の中では封印しておきたい本だとも思うが、この本を編集して出版してくれた著者の豊田正義さんは尊敬すべき偉業をやってのけたと称賛したい。
この事件を熱心に新聞に取りあげていた記者が「気分の悪くなるようなもの朝から読ませるな」というクレームで事件の記事を書くのをやめたとか、あまりに凄惨すぎて記事やニュースにはできなかったと当時の世相を本書内で語っているが、今はさらに風当たりが強いだろうことは容易に予想がつく。
地上波では放送できないだろう。
しかし、事件は本当に起こったし、悪魔のような犯人は小説ではなく実在しているし、さらに生存者や子孫もいる。
だから、事件を風化させてはいけないと思う。無知はそれだけで自分の存在を危うくするのだから。
実際に、この事件と類似している尼崎事件はこの北九州事件の後に発生している。
主犯格が女というだけで、大人数で共同生活をしながら互いに傷害を負わせるという洗脳に近いやりくちは本事件の主犯のやり方に似ている。
被害者や周りの人物が洗脳についてもう少し知っていたら、この事件はここまで大きくなったのだろうか。
とにかく、世の中には自分の常識を遥かに超える、斜め上を見ている人間がいる。それは悪魔と呼ぶに相応しい人物であると再認識して肝が冷えた1冊だった。
Posted by ブクログ
【その男に命じられるまま家族は殺しあった】
日本史上最も残忍といわれるマインドコントロールによる連続監禁殺人事件のルポルタージュ。
※実際にあった事件なので、事件の内容ではなく、全体の構成の読みやすさ、著者のこの事件を通して読者に訴えたい事が伝わったかどうかで評価
当時、報道規制がかかる程の残忍な事件の内容が詳しく記されているので読むには覚悟が必要だ。
メンタル弱めの人は注意。
事件の発覚は監禁されていた1人が逃げ出したことだったのだが、もし逃げ出していなかったらどうなっていたか。
監禁は複数の集合住宅で行われていたのだが、通電による拷問、遺体損壊による匂いや騒音などでまわりの住人は気づかなかったのだろうか。
もし自分の身近でこんな事件が起きていたとしたら夜も眠れないだろう。
著者は裁判を幾度となく傍聴し、主犯と共に逮捕された女と面会をするなどしており、女の心境は読み取れるものの、主犯の男の一族が取材拒否しており、幼少期の家庭訪問も何かと理由をつけて断られていたため、どのようにしてサイコパスが生まれたかは謎のままだ。
男に会うまで女は普通の一般市民であり、殺し合いをした一家は中には元警察官や名士もいたというのだからマインドコントロールの恐ろしさは計り知れない。
実際、主犯の男の裁判中、男の発言で傍聴席から笑いが起こる程の口の上手さだったらしい。
現代もカルト宗教によるマインドコントロールやDVの問題は解決に至っていない。
この事件をより深く知ることで、マインドコントロールに負けない強いメンタルを持つ重要性、何かトラブルに巻き込まれた時助けを求められる環境作り、知識を身につける事の大切さに改めて気づかされた。
こんなひとにおすすめ .ᐟ.ᐟ
・ルポルタージュが好きなひと
・社会派が好きなひと
・社会問題に関心があるひと
Posted by ブクログ
えぐい。何回も読むのをやめようかと思ったけど、それに反する先を読みたいと思う気持ちが勝って、3日で読んだ。
ノンフィクションなのに、残酷で鬼畜すぎて物語かと錯覚してしまう。最後まで松永の本心がわからないのが、悔しい。
絶対的な支配をしていたのに、借金取り?かなんかが家にきた時、部屋の隅で小さくなってた的なことを息子さんが言っていたと言うのをみて、驚いた。
死刑判決を受けてからも、(自分の独房?の前を通る)運動場に行く収容者に正座でにこやかに挨拶をしているのが怖い。
どうしたらああいう人間になるのか、生まれつきなのか、環境なのか。
確かに怖かったし、被害者、遺族のことを考えなるといたたまれない気持ちになるが、私は無差別の方が怖いので、まだ寝れなくなったり、夜歩く時の怖さはなくて、生活に支障が出なくてよかった。関連本も読みたいと思った。
Posted by ブクログ
ノンフィクション小説のはずだが、内容が非現実的すぎて途中からフィクション小説のつもりで読んでしまった。洗脳されていたから罪はないという主張もわからなくはないが、最後緒方さんを擁護した部分は少し残念に感じてしまった。
楽しかった
こんな、残虐な事件は女子高生コンクリート詰め殺人、以来です。
身の毛もよだつような、怖い事件です。
特に、ミキサーで遺体を解体してドロドロにして捨てたと。
怖すぎです。おぞましいです。
主犯の永井は、本当に、ことば巧みに人を騙すのが得意ですね。
あんなのに、いつ、こっちが引っかかってもおかしくないような気がして、自分もこの事件の被害者になりうることだな、とおもいました。
永井は、顔もまあまあ、イケメンだったし、結婚をちらつかせると、貢いで挙げ句の果てには監禁されてしまう女性がたくさんいたのも、驚きですね。
作者は、何を伝えたかったのか??
特に永井の、生い立ちとかもっと、たくさん、調べて欲しかった。
同級生の話とか、親戚の話とか。
永井は、本当のサイコパスですね。