小倉多加志のレビュー一覧

  • 死の猟犬

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    ポアロもマープルも出てきません。
    怪奇幻想のストーリーをまとめた一冊になってます。
    怪奇幻想に見せかけた殺人も登場します。
    映画化された名作「検察側の証人亅は最後にあっと驚く結末となってます。

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    2025年09月27日
  • 11の物語

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    ハイスミスの短編は、タイプの異なる独特な世界観がコンパクトに詰まっていて、とても面白かった。

    ハイスミスの魅力は何と言っても心理描写。
    主人公の頭の中を覗くように「なぜそんなことをしてしまうのか」が見えてきて、人間の本質が浮き彫りになる。

    最初は「この人ヤバい」と思っても、だんだん「でもそうなる気持ちも…」と共感してしまうこともあって、善と悪の境目がグラグラしてきてクセになってくる。

    私は頭の中で、不安や心配なことを自問自答して脳内反省会をしてしまう癖があるので、登場人物たちの不安や、それを必死に落ち着かせようとする姿に共感してしまった。

    これで自分が読むハイスミス作品は4冊目。『太陽がいっぱい』のリプリーのことをなぜ嫌いになれないのか…その理由が少しずつわかってきた気がする。

    『かたつむり観察者』★3
    カタツムリを愛して飼育した結果、ものすごい数に増殖してしまい…

    『恋盗人』★3
    隣人のポストから手紙を盗み読みし、隣人になりすまして勝手に…リプリーっぽい。

    『すっぽん』★5
    毒親が料理用に生きたすっぽんを買ってくると、11歳の息子はすっぽんを可哀想に思い、殺さないで欲しいと母に頼むが…。
    読後に善悪を考えてしまう作品で、いちばん印象に残った。

    『モビール艦隊が入港したとき』 ★3
    暴力的な夫を殺害した主婦が、逃亡先で不幸な人生を振り返る。彼女の行く末は…

    『クレイヴァリング教授の新発見』★4
    無人島で肉食の〇〇かたつむりに襲われる。
    カタツムリ版ジュラシックワールド。
    カタツムリが2作品も入ってるなんて。ハイスミスのカタツムリ愛が興味深い。

    『愛の叫び』 ★5
    孤独な老婦人二人。お互いを必要としながら暮らしているのに、相手が嫌がることをして悲しむ姿を見て喜ぶという、奇妙なハイスミスっぽい世界観。

    『アフトン夫人の優雅な生活』 ★5
    過激な運動に取り憑かれた夫を心配し、精神分析医に相談するアフトン夫人。医師が夫に会いに行くと、思いがけない展開に…

    『ヒロイン』★5
    念願の保母の仕事に就けたルシール。
    2人の子どもたちをあらゆる危険から命がけで守りたい。どうすればこの想いを雇い主の奥様に理解してもらえるか、ルシールは考えた…

    『もうひとつの橋』 ★3
    妻と息子を亡くした男が、不幸な家族や、貧しい少年に親切を尽くすが…

    『野蛮人たち』 ★3
    ご近所騒音トラブルは、国境も時代も超えて存在する。

    『からっぽの巣箱』 ★4
    謎の生命体「ユーマ」を目撃したことをきっかけに、主人公は過去の罪悪感と向き合うことになる。

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    2025年09月10日
  • 死の猟犬

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    改めて自分はクリスティが好きなんだと思う一冊。
    最近ドイルの短編も読んだが、やはりクリスティの方が自分には合っている。話がいい具合に湿っている。
    オチが見える作品もあったが、興醒めするどころかニヤニヤしながらクリスティはどうやって締めくくるの?と期待して読み進める。それも含めて大好き。
    「検察側の証人」一つしか映像化してないようだが、自分が監督なら「「ラジオ」「青い壺の謎」「赤信号」「ジプシー」もぜひ手掛けたい!!
    「ランプ」は怖すぎてムリー

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    2025年04月04日
  • 死人の鏡

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    ネタバレ

    アガサ・クリスティの短編集は初めてだったけれど、予想以上に楽しめた。
    ポアロシリーズもので『厩舎街の殺人』『謎の盗難事件』『死人の鏡』『砂にかかれた三角形』の4作品。
    どれも短編とあって物語の展開がスピーディーでサクサク読めたし、読み応えにも満足。
    唯一の難は短編集なので登場人物表がないため人の名前が覚えられず、この人誰だっけ?と頁を後戻りして探す手間が増えたことくらい。

    短編だからといってもポアロの謎解きはいつも通り冴えているし、事件の真相もシンプルで理解しやすかった。
    今回の4編全て、真犯人や事件の真相が大外れで、最後のポアロの解説で驚き唸ってしまった。
    「自惚れというやつですよ!犯罪者は自分の犯す犯罪は、絶対に失敗しないと思いこんでるものですからね」作中のポアロのセリフにも納得。

    また他の短編集も読んでみたい。

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    2024年06月09日
  • 死の猟犬

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    「検察側の証人」は名作。「死の猟犬」大戦中にベルギーで怪奇現象を起こした修道女の話。「カーマイケル卿の事件」灰色猫の謎で読んだ。魂の入替。面白い。

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    2022年01月23日
  • 死の猟犬

    購入済み

    クリスティの幻想怪奇をテーマにした短編集。怪異から心霊現象、憑依現象に予知能力。ミステリーの女王と言われるクリスティの深い教養、鮮やかなアイデアと物語の展開に魅了されました。
    唯一のミステリー作品である検察側の証人も驚きの結末でおもしろかったです。
    個人的なお気に入りは、第四の男、ランプ、アーサー・カーマイクル卿の奇妙な事件、最後の降霊会。

    #ドキドキハラハラ #怖い

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    2023年09月23日
  • 11の物語

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    以前「見知らぬ乗客」だったかな?デビュー作、めずらしく投げ出してしまったが、数年ぶりに手に取ってみて正解でした。きっと自分が成長したのだろう(と思いたい)。
    かたつむりに魅せられた男の奇妙な話とか(なぜかカタツムリの話が二編も入っている。ハイスミスはカタツムリに何か思い入れがあるのだろうか)、日常の延長線上に待ち構えていそうな、夫婦の最悪な結末が描かれている「モビールに艦隊が入港したとき」とか、私が好きな主題のひとつである”いかれた人”たちが描かれている「ヒロイン」「アフトン夫人の優雅な生活」とか。不気味、とは違うんだけど、どこか一本ずれているような世界に酔い続けていられる短編集でした。

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    2014年06月09日
  • 11の物語

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    全部読み終わってみると星ごこ付けずにはおれんかった…。やはりかたつむりです。かたつ無理。
    単純に端的に最大の こわい・きもちわるい かたつ無理が表現されているとおもいます。たまらん。
    全体的には救いようがない感じ。もやもやぞわぞわしながら、悪いことがおきそう、だめなオチがきそう、と思いながら読んで、あ、だめなパターンやな、となります。「すっぽん」「からっぽの巣箱」とデビュー作やという「ヒロイン」がよかった。ぞわぞわしながら読みました。あっ、いちばん好きなのはかたつ無理の2作ですっ!

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    2012年10月13日
  • 死人の鏡

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    ネタバレ

    『厩舎街の殺人』
    エルキュール・ポアロ・シリーズ

    ガイ・フォークス・デイの夜、花火の音にまぎれて発射された銃弾。密室の中で自殺と見える状態で発見されたアレン夫人。不自然な遺体。銃弾の跡と逆の手に握られた銃。再婚をまじかにしていたアレン夫人の過去。アレン夫人の親友であるプレンダリースの行動。死の直前にアレン夫人に会っていた強請り屋のユースタス少佐。

    『謎の盗難事件』
    エルキュール・ポアロ・シリーズ

    兵器省長官メイフィールド卿の屋敷で行われたパーティ。新型の爆撃機の設計図についての相談をしていたメイフィールド卿とキャリントン卿。部屋の中から盗まれた設計図。ドイツのスパイとの噂のあるヴァンダリン夫人の存在。かつてドイツとの関係を指摘されスキャンダルとなったメイフィールド卿の過去。

    『死人の鏡』
    エルキュール・ポアロ・シリーズ

    突然シヴァニックス・ゴアと名乗る人物から呼び出されるポアロ。ポアロの到着前に殺害されたシヴァニックス。食事の前に銅鑼を鳴らすしきたりのあるゴアの一家。ポアロが見つけた銃弾。自伝を書く為に雇った秘書ミス・リンガード。シヴァニックの養女リースの結婚と遺言状。娘の結婚を支配しようとするシヴァニック。

    『砂に書かれた三角形』
    エルキュール・ポアロ・シリーズ

    ロードス島に休暇でやってきたポアロ。チャリントン夫妻、ゴールド夫妻の関係。奔放なチャリントン夫人と浮気をしていると疑われているゴールド。殺害されたチャリントン夫人。

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    2012年08月14日
  • 死の猟犬

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    アガサクリスティには珍しく、超常現象などを主に納めた、短編集です。

    他の小説では、現実味に溢れる、理に適った推理を展開するので、幽霊や超能力などとは無縁の人かと思っていたのですが、これを読むと、その考え方が変わってきます。

    アガサクリスティという人物が不思議に見えてくる一冊です。

    中には、ぞくっと来る短編も有りますので、ただの推理物に飽きた方は、是非お試しください♪

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    2012年02月20日
  • 11の物語

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    何といってもかたつむり・・・。食欲をなくすにはぴったりの作品をはじめとした短編集。文学的なものを読みたいけど、長編は、というときにいいかも。 心の中の不安をゆっくりとかき混ぜられるられるような。 狂気のふちを爪先立ちで歩くような。その境目は決して高くない。いつ向こう側に渡っていても、気づかないくらいの危うさ。

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    2011年09月19日
  • 死の猟犬

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    ネタバレ

    猟犬が関連したミステリはいくつかある。
    本短編集にも、猟犬にまつわる話が一つある。

    短編集の名前は、どの短編の名前にするかは迷わないのだろうか。
    しばしば、一番いいと思うものでない名前になっていることもある。

    本編は、2週間楽しむことができました。

    短編集には、他の作品と関連した話題、用語をみつけるのが楽しみです。
    似た構造、似た登場人物、似た風景、似た駅名があると、
    アガサクリスティものを読み進むときのヒントになります。

    自分では、ミステリと怪奇物の区別がつきません。ごめんなさい。
    ネタばれになるといけないのでこのあたりで。

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    2011年08月14日
  • 死人の鏡

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    ネタバレ

    厩舎街の殺人
    謎の盗難事件
    死人の鏡
    砂にかかれた三角形
    の4作品を所蔵。

    最初は短編だと気がつかずに、読んでいて、あれ本の途中で結論がでて、終わるのかと思ったら、短編集でした。

    厩舎街の殺人は、ガイフォークスデイという記念日の意味を知ることができました。
    推理小説には、自殺か他殺かが問題になる筋書きは、いろいろありますが、他殺である場合が多いようです。

    謎の盗難事件では、書類の盗難事件が課題となる。他の作品でも書類の盗難が話題になったことがある。似ているところもあれば、似ていないところもある。

    似た作品があると、作品の違いを楽しむことができるか、辟易としてくるかは、人によるのかもしれない。

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    2011年08月14日
  • 死人の鏡

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    【ポアロ中編】
    1937年クリスティ47歳の作品。
    1936年『ABC殺人事件』、37年『ナイルに死す』、38年『死との約束』、39年『そして誰もいなくなった』と、信じられないほどの名作が続くこの年代に書かれた中編集。
    どの年代もそれぞれの魅力があるけど、この年代は特に神がかっていると思う。
    中編なので長編に近い面白さがあり、読み応えのある1冊だった。(とは言ってもクリスティの本領はやっぱり長編だと思う。)

    『死人の鏡』
    密室で起きた殺人。「何が1番救いになるか」を考えるポアロの人間味、それを描くクリスティの優しさが染みる。
    どんなに鋭い推理力があっても、人の心まで考えられなければ、本当の意味で事件を解決したことにならないのかもしれない。
    ポアロの人間の弱さや痛みに深く寄り添う温かさに惹かれる。
    最後のセリフに切ない余韻が残る。

    『砂にかかれた三角形』
    短編なのにいつまで経っても殺人が起きない。人間観察にページをたっぷり使っているので、短編とは思えない人間ドラマの濃さに引き込まれていると、驚きの真相が。

    どの作品も人間心理の裏側を突いてくる。
    クリスティには毎回まんまと騙されてしまう。だからクリスティはやめられない。

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    2026年09月10日
  • 11の物語

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    ネタバレ

    映画「PERFECT DAYS」を観て、興味を持って読んでみた。

    「パトリシア・ハイスミスは不安を描く天才だと思うわ」
    「恐怖と不安は別の物だって彼女から教わったわ」
    これは、この本を買った客に対して古書店の店主が発したセリフ。
    読んでみて改めて、このような短くてピリッとしたセリフを書く脚本家はすごいと思った。

    確かに、「不安」はほとんどの作品で一つのテーマになっていたように思う。といっても似た作品は一つもない。

    特に良かったのは、
    ・かたつむり観察者
    ・モビールに艦隊が入港したとき
    ・ヒロイン
    ・空っぽの巣箱

    いただけなかったのは
    ・クレイヴァリング教授の新発見
    ・野蛮人たち

    全体的によいんだけど、古いだけにやや粗さが感じられた気がする。



    かたつむり観察者
    The Snail-Watcher
    意外で恐ろしい結末。かたつむりが増殖していく描写がまさしく秀逸。

    恋盗人
    The Birds Poised to Fly
    恋人からの手紙を待つ男女は、今にも飛び立とうとしている小鳥たち。
    返事さえ来ればすぐに飛んでいこうと待ち構えている。
    ラブレターを盗んだことにより遭遇した女の、
    何があっても相手を信じる気持ちに男は触発される。
    邦題を恋盗人にしたのは、ややずれている気がする。

    すっぽん
    The Terrapin
    子供の言うことに耳を貸さない母親が怖い。
    そして最後はスプラッター。
    アメリカでもすっぽんを食べるとは知らなかった。

    モビールに艦隊が入港したとき
    When the Fleet Was In at Mobile
    最初は主人公の女性の行動が理解できないが、
    回想が進むにつれて次第に同情してきてしまう。
    艦隊が入港したときは、彼女の運命を分けたとき。
    結末は殺人犯として逮捕されるよりもずっと怖い。

    クレイヴァリング教授の新発見
    The Quest for Blank Claveringi
    またカタツムリ。
    パニックアクション映画のような感じだった。

    愛の叫び
    The Cries of Love
    友達同士がホテルの同じ部屋で暮らしているという状況が分からないが、好きな友達にいたずらをしては仕返しされるという、子供じみた老婦人のめんどくさい関係。

    アフトン夫人の優雅な生活
    Mrs Afton, among Thy Green Braes
    精神科医に夫について相談に来た有閑マダムの正体が最後に明らかになる。
    ちょっと気の毒な話。
    原題は、18世紀のスコットランドの詩人 Robert Burns の代表作の一つ "Afton Water”の冒頭を引用したものっぽい。詩では「アフトン川よ、緑の丘をぬって(やさしく流れよ)」のような感じ。
    夫人がこの詩から名前を取ったのかは定かではない。
    緑の丘の間を流れる優雅なアフトン川と、実はそうではないアフトン夫人の間にアイロニーを感じる。

    ヒロイン
    Heroine
    人の役に立つ行動をするために、自ら災いを引き起こしてしまう少女。
    過去の家庭環境や、シッターになってからの行動の端々から危なっかしさが感じられ、不安を煽られる。

    もう一つの橋
    Another Bridge to Cross
    イタリアの海沿いの明るく牧歌的なロードムービー的な短編だが、死のイメージが全体を貫いているのが対照的。主人公からも、死の世界に取り込まれそうな危うさが何となく感じられる。その中で、泥棒の少年だけはいきいきとたくましい。

    野蛮人たち
    The Barbadians
    近所で騒がしくキャッチボールをする大人げない男たちに石を落として追いやったかに思えたが、彼らはまた集まってキャッチボールを始める。男たちにいらつくばかりであった。

    空っぽの巣箱
    The Empty Birdhouse
    過去の行動に対する後悔や不安が幻覚を見せるのか。妻だけではなく夫も見ることで、現実だったのかと思えば安心するが、やはり現実ではなさそうな描写もあるので、そうだとするとなおさら怖い。途中から不気味な猫も出てきて、何が不気味なのかもはっきり書かれないのだがやっぱり不気味で、強さを助長する。結末に至っても話が終わらないところも怖い。

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    2026年07月29日
  • 死の猟犬

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    ネタバレ

    幻想小説と言いつつクリスティらしくミステリー混じりの作品もありつつ、という感じ。少し不気味な物語も多い。降霊術は、クリスティのミステリーでも度々出てるのでお馴染みって感じかな。
    理解し難い内容の作品もあったが、全体的にはなかなか楽しめた。
    個人的に好きだったのは「赤信号」、「ラジオ」、アーサー・カーマイクル卿の奇妙な事件」だった。

    「赤信号」はちゃんと最後に真犯人が確定して良かった。しかしまさか自Sするとは思わなかったかな。
    「第四の男」は男が主役かと思いきや、孤児院で互いに奇妙な関係を持った(恨みと嫉妬と従順?)女の子二人の話。普通に多重人格ぽさがある。
    「ラジオ」は結局、余計なことをしたから財産を失った男の話だったね。策を弄さなければ、数年後に莫大た遺産を手に入れられただろうに。
    「検察側の証人」は、頭を使った夫を愛する妻の話だった。でもこの弁護士、騙されやすすぎでは? 結局犯人はこいつだったじゃないか! って感じ。
    「青い壺の謎」は「上手くやった盗人」だった。正直、最後にしてやられたって思ったのはこれが1番だったかもしれない。
    「アーサー・カーマイクル卿の奇妙な事件」は最後ちゃんとあるべきところに戻って良かった。最初から「猫になってるな」感はあったけど、この書籍通して必ずしも幸せになるとは限らない話もあったから。
    その点、「最後の降霊会」は救われなかった。金儲けに目が眩んだ夫のせいだと思うんだよね、これ。やるべきではないところに手を出して、もう戻れなくなったっていう話。

    【収録作品】
    死の猟犬
    赤信号
    第四の男
    ジプシー
    ランプ
    ラジオ
    検察側の証人
    青い壺の謎
    アーサー・カーマイクル卿の奇妙な事件
    翼の呼ぶ声
    最後の降霊会
    S・O・S

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    2026年07月04日
  • 11の物語

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    かたつむりにまつわる2編は少し異色なような気もするが、多くは自分でも自覚しない人生の空虚さのようなものを何かに仮託して描く短編となっている。その結果として重大な事件が起きたりまた起きなかったりするのだが、結末の見事さや筋の運びといった要素には重きを置いていないので、一つ一つ異なる後味が残る。『もう一つの橋』など、短編を成り立たせるのに十分な事件がいくつも起きるのだが、短いページの中でそれらの事件が背景となり、最後に印象に残るのは主人公の満たされない人生の空虚さであったりする。恐ろしくテクニカルであり、こんな小説があるのか、と驚いてしまう。

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    2026年06月25日
  • 11の物語

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    変な言い方かもしれないが、上品でしっかりしたクラシックなホラーで心地いい。ちょっと長いが星新一みもある。短いスティーブン・キングみもある。

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    2025年10月02日
  • 11の物語

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    ネタバレ

    ヴィム・ヴェンダース監督「PERFECT DAYS」(パーフェクトデイズ)にて、平山(役所広司)の妹の娘ニコ(中野有紗)が、平山の部屋の文庫本を読んで、
    「おじさん、わたし、この『すっぽん』って話好きかも。ヴィクターって男の子の気持ちがわかるっていう意味」
    母が迎えに来たとき、
    「おじさん、ねえ、おじさん。わたし、ヴィクターみたいになっちゃうかもよ」
    という場面が強烈だったので、積読を崩してみた。
    勝手に初読のつもりでいたが、実は「厭な物語」(文春文庫)で「すっぽん」のみ既読だった。
    再読してみて、確かにこの作品への言及は大きい要素だなと思った。
    また、他の短編も読んでよかった。
    作者が同性愛者で、雌雄同体のかたつむりへの興味が云々ということは知っていたが、「かたつむり観察者」、「「クレイヴァリング教授の新発見」が強烈に恐ろしい話で、むしろ笑ってしまった。
    また、「恋盗人」、「ヒロイン」、「からっぽの巣箱」のような主観の歪みというか偏りがポイントになる話も多く、好みだった。
    奇妙な話という点で藤野可織とか、謎動物が象徴になるという点で小山田浩子とか(特に「からっぽの巣箱」)を連想した。

    ◇序――グレアム・グリーン
    ■「かたつむり観察者」‘The Snail-Watcher’
    ■「恋盗人」‘The Birds Poised to Fly’
    ■「すっぽん」‘The Terrapin’
    ■「モビールに艦隊が入港したとき」‘When the Fleet Was in at Mobile’
    ■「クレイヴァリング教授の新発見」‘The Quest for Blank Claveringi’
    ■「愛の叫び」‘The Cries of Love’
    ■「アフトン夫人の優雅な生活」‘Mrs. Afton, Among thy Green Braes’
    ■「ヒロイン」‘The Heroine’
    ■「もうひとつの橋」‘Another Bridge to Cross’
    ■「野蛮人たち」‘The Barbarians’
    ■「からっぽの巣箱」‘The Empty Birdhouse’
    ◇解説 関口苑生

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    2025年07月22日
  • 11の物語

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    ミステリー仕立ての純文学という感じで普段あまり読まないタイプ、というか似てる人があんまいない感じがする。たまにはこういうのも良い。
    『ヒロイン』という短篇が一番印象に残ったなーと思いながら解説を読むと、デビュー作だったらしい。初めて触れる作家だとばかり思ってたけど、映画『太陽がいっぱい』やヒッチコック『見知らぬ乗客』の原作者であったとのこと。改めて観直してみたくなった。

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    2025年04月13日