小倉多加志のレビュー一覧

  • 11の物語

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    面白いね
    解説で稀有な作家と評されるがまさにその通りだと思う。
    いわゆる人間の心理を描く繊細さが群を抜いて優れている。
    11個の短編の登場人物全てが印象的だった。
    それはなぜか。
    その答えは彼らが唯一無二であるからだ。
    現実の個人が全て異なるのならば、小説の世界の個人もまた全て特異であるべきだ。
    この理想にパトリシア・ハイスミスは究極的に漸近した作家といえる。

    つまり、登場人物のそれぞれが何かの経験をした時に生じる心理的運びが異様で、奇妙である。
    「そうはならないだろ」と突っ込みたくなるが、ふと思い直す。

    他者の心理など理解できないのが普通だ。他者とは本来的に奇妙で理解できない存在のはずだ

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    2024年08月21日
  • 死の猟犬

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    いつも読んでるポアロシリーズとは全く違ったお話ばかり。解説では怪奇幻想小説の括りになってました。アガサさんはこういうのも書いてると初めて知ったので驚き。ゾッとする結末や後悔に苛まれる結末や、なんとも言えない歯痒さを残す作品など、どれも面白かったです。

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    2024年07月08日
  • 死人の鏡

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    ネタバレ

    初めて翻訳された推理小説を読んだ。最初は登場人物の名前や関係性を覚えられない、会話文の言い回しが独特で正直事件どころではなかった。人物の名前を覚えていないのに、あだ名で呼び出したりするのでさらにこんがらがった。登場人物の名前を把握する頃にはポアロが事件を解決するので読みながら「待ってくれ!」とずっと思っていた。しかし、読み慣れてくるとなかなか面白いかった。
    特に「砂にかかれた三角形」は収録されている4篇の中で最も短いのに、どんでん返しがすごかった。言われてみれば確かに、と思うところがある。事件発生前から犯人に気づき警告していたポアロとは違い、私はパメラと一緒で凡人の思考の持ち主だったようだ。

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    2024年05月30日
  • 11の物語

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     短編なのに読み応えがあり、世界観が出ているのが凄い。作者自身がカタツムリ好きなのが分かる。カタツムリが出てくる作品って珍しいのに、11の物語の中で2回も出てくるなんて。「クレイヴァリング教授の新発見」は衝撃でした。あっさり見つかるところから始まるのが意外。
    個人的には「すっぽん」と「ヒロイン」が好きでした。

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    2024年05月07日
  • 死人の鏡

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    ポワロシリーズ4話収録。「謎の盗難事件」はなんとなく読んだ覚えがあったのだけれど、「教会で死んだ男」収録の短編「潜水艦の設計図」とほぼ同じプロットだった。でも細かいところは覚えてなかったし、中編でボリュームも増えていたので楽しく読んだ。クリスティーはこのプロットを気に入っていたんだろうか。
    あとは「砂にかかれた三角形」がちょっと異色で良かった。

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    2024年04月18日
  • 11の物語

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    映画『太陽がいっぱい』の原作であるトム・リプリーものなどで知られるパトリシア・ハイスミスの短編集。タイトル通り11作品を収録している。原題は“Eleven”(アメリカでは“The Snail-Watcher and Other Stories”として刊行)。原著は1970年刊、短編集としては最初のもののようだ(短編自体はずっと以前から書いており、例えば収録作の1つである「ヒロイン(The Heroine)」は1945年に発表されている)。日本での刊行は1990年、その後、2005年に改版されている。
    サスペンスやミステリとして評価されがちなハイスミス作品だが、本人はそう見られることを必ずしも快

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    2024年04月15日
  • 死人の鏡

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    『厩舎街の殺人』『謎の盗難事件』『死人の鏡』『砂にかかれた三角形』が収録された短編集。
    ちょっと長めの短編だったので、どの話も読み応えがあって、でも割と気軽に読めました。

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    2024年02月16日
  • 死人の鏡

    A

    購入済み

    短編集です

    翻訳の妙といいますか
    この本のポアロはいつもよりくだけた印象です。
    収録作はいずれも、
    良く締まった内容で楽しめました。

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    2022年06月19日
  • 11の物語

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    ハイスミスが1970年に出した短篇集。処女長篇『見知らぬ乗客』以前に書かれたものも含む。グレアム・グリーンの序文付き。


    ハイスミスって短篇もこんなに上手いのかと驚く(長篇もまだ『キャロル』しか読んでないけど)。ものすごく型がきっちりしているので展開は読めるのだが、スリリングな語り口に引き込まれ、不安を掻き立てられてしまう。津原泰水が自作『11』の解題で『ナボコフの1ダース』と一緒にこの『11の物語』を引き合いに出していたけれど、たしかにナボコフを連想させる技巧派だなぁ。
    しかし何が面白いって11作収録のうち2つもヒトがかたつむりに殺される話が入ってるとこ(笑)。普通サイズのかたつむりが大量

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    2020年07月08日
  • 11の物語

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    別のアンソロジーで「すっぽん」を読んでから、ハイスミスの短編が読みたくて探していた一冊。
    後味が悪いというのとはちょっと違う、自分が今立っている地面がゆらゆらするような不安感というか、異常と正常を隔てる薄い膜が双方向にたわんで、破れそうでギリギリ保ってるようなヒリヒリ感というか。読んでて疲れる一冊。

    前書きと解説を読んで、何故か藤村操を思い出した。
    "万有の真相は唯一言にしてつくす、曰く、不可解"

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    2020年03月08日
  • 死人の鏡

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    収録作品は、「厩舎街の殺人」「謎の盗難事件」「死人の鏡」「砂にかかれた三角形」の四篇。
    この中で一番のお気に入りは、やはりアガサ・クリスティーらしさの表れた三角形だろうか。
    「なにごとも見た目通りではない」アガサの真骨頂である。
    購入したポアロものの短編(8本入り!)オーディオブックにも収録されているので、海外でも人気なのだろう。
    どのお話も、クリスティー「らしさ」が楽しめる秀作。

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    2019年12月13日
  • 11の物語

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    「太陽がいっぱい(リプリー)」の作者でもあるハイスミスの短編集。
    デビュー作「ヒロイン」を含む11編が収録。
    「かたつむり観察者」では、淡水に棲むというカタツムリ(料理用)の生態に興味を持った主人公が書斎をカタツムリに占領され。。。
    どんどん繁殖していく様子が丹念に描かれて恐怖感をあおる。
    「クレイヴァリング教授の新発見」では、南海の孤島に棲むという巨大カタツムリを探しに行った教授が味わう恐怖を描いている。実際何メートルもあるカタツムリが襲ってきたらいくら動きがのろくても怖いだろうな。

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    2015年10月22日
  • 叔母との旅

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    自分の本当の母親は、ということは最後まで明かされないが、叔母との旅が契機になって、南米に移住してしまうという、よくできている小説である。

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    2015年09月22日
  • 死人の鏡

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    表題作ふくめ、クリスティーらしい話が集められている。
    「永遠の三角形」と「謎の盗難事件」がとくに。

    翻訳が読みなれている方と違ったので、なんとなく違和感でした。

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    2010年02月16日
  • 死の猟犬

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    神秘主義っぽい作品を多く集めた短編集。中学生の頃けっこう好きでよく読んでいたのだが、いかにも中学生が好きそうだ。当時はとくにジャンルを意識していなかったが、やっぱりミステリ色が強いものがおもしろい。

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    2009年10月04日
  • 死の猟犬

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    ベルギーの小さな村に侵入したドイツ兵士を、謎の爆発現象で吹き飛ばしたのは聖女と評判の修道女であった。まもなく、彼女は「死の猟犬」について謎めいた話を始めるが…。超自然現象とそれに絡む犯罪を描いた表題作をはじめ、幻想怪奇をテーマにした異色短篇11篇と映画化された名作短篇「検察側の証人」を収録。

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    2009年10月07日
  • 死人の鏡

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    謀略の犠牲になりかねないからと調査を頼まれたポアロは、依頼人の准男爵の邸へ向かった。が、待っていたのは密室の中での依頼人の死。自殺に見えるが動機は不明。また謀略とは何なのか?事件解決の手がかりは意外にも書斎の割れた鏡にあった!密室の謎に挑む表題作をはじめ、ポアロ活躍の四篇を収録する傑作集。

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    2009年10月07日
  • 11の物語

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    気持ち悪いです。
    かたつむり恐怖症になることうけあいです。
    ありえない展開にどきどきします。
    短編集なので、読みやすくておすすめです。

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    2009年10月04日
  • 11の物語

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    「もうひとつの橋」がよかったかな……。個人的には好きなのはあの2人のお婆ちゃんたち。次のチャンスを虎視眈々と狙う。

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    2025年09月01日
  • 11の物語

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    11の物語からなる短編集。
    映画「PERFECT DAYS」に出てきたことをきっかけに本書に興味を持ち、読んだ。
    11ものストーリがあるので、好みのものとそうでないものがあるから、星を付けるのはなかなか難しい。
    一番良かったのは、最初の「かたつむり観察者」。何とも言えないおどろおどろしさに、読んでいる最中にゾクゾクし、読み終わってからもジワジワと脳裏に残った。
    全体を通して不穏な空気がそこはかとなく感じられるのは彼女の技量であり、らしさなのであろう。

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    2025年06月20日