武藤崇恵のレビュー一覧
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とても評価が難しい作品です。レビューを参照しても賛否両論で、「江戸川乱歩が称えた通りの名作」から「時間の無駄」まで様々です。共通するのは犯人の分かりやすさで、特に後半は作者自身あまり隠そうとしていません。逆に言えば犯人が分かってからも楽しめる内容にしてあります。また風景描写は良かったという意見も多く、イタリアやイギリスを旅しているような楽しさがあります。という評価を得ることから、文章自体は一定以上の読みやすさはあると言えます。
低評価としては、犯行の理由に説得力がない、刑事が気づかないのがおかしい、探偵役の能力なら防げた犯行もある、などミステリ的な点や人物描写によるよものが多いです。
私は古典 -
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ネタバレ解説を読むまで古典のミステリーとは思わなかった。
医師のノートンはダイアナに一目惚れをする。それまでは伯父の元、順風満帆とも思える人生を歩んでいたノートンであったが、その恋に身を投じることにより、数奇な運命に導かれることとなる。
最初はノートンとダイアナの恋愛パート。結婚する際にノートンがダイアナについた嘘「伯父の財産を相続できるだろう」というところから歯車が狂っていく。
中盤はその嘘をめぐってノートンとダイアナの夫婦生活がうまく回らなくなることが描かれる。
そして、ダイアナの謎の死。と、それの謎を解く名探偵が登場する本格的なミステリーに。最後の名探偵の推理までトリックが見破れなかったのが悔し -
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ネタバレ江戸川乱歩が猛プッシュしてた本なのでいつか読みたいと思ってた。
確かに面白くて読み応えがあったけど、どうしても古臭く感じてしまった。
推理小説という意識はすっぱり捨てて、普通の小説として読んだほうが楽しめる。
登場人物が魅力的で、特にドリアが際立っている。一般にイメージするイタリア人そのままで、当時の欧州の人も同じような認識だったらしいのが微笑ましい。
ブレンドンの間抜けさが読んでいてちょっとつらいものがあった。心情的にも状況的にも。
あとはレドメイン兄弟の一人、読書家の人物像も興味深かった。今でいうオタク。
トリック関連は現代人からすると厳しいものがあるので、当時どれだけ斬新で衝撃的なものだ -
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原著1922年刊。
本格推理小説黄金期(の前期?)の名作の一つとされ、特に日本では江戸川乱歩の絶賛以来評価が高いらしい。
冒頭の1,2章はちょっと読みにくさを感じ、あまり面白くないかなと思ったのだが、次第に物語に没頭させられた。
ちょうど私は1泊2日の検査入院で、その空いた時間を本書がとても楽しませてくれたと思う。
巻末の解説によると作者フィルポッツは普通小説の作家でもあったそうで、なるほど、本作は恋愛心理も追っていてそんな感じかもしれない。
エラリー・クイーンのような謎解きパズル小説とは違って、かならずしも結末前に全ての情報が読者に開示されるわけではない。が、そんなに不満が残る訳 -
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Who killed Cock Robin?マザーグースの歌に合わせて人が殺されていく話と思って読み始めたら恋が生まれ消えていくまでの儚いラヴストーリーだった!「一瞬に燃え上がる恋もあれば生涯続く恋もある。その後何があろうとその記憶は消えるものではない」若き医師ノートンは海岸で出会った美貌の娘ダイアナに一目惚れした。彼女のあだ名はコックロビン。ノートンは手に入れかけていた成功を投げうち燃え上がる恋の炎に身を投じる。しかし2人の運命は目まぐるしく変わっていく。ミステリの形を取るが事件と謎解きは最後の100ページに集約されている。これは2人の宿命的な恋と破滅の物語であり文学者、劇作家であるフィルポ
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購入済み
いやー、面白かったです
どなたかも書いておられましたが、私も真相に気付いたのは探偵が閃いた時で、ああ!と思わず立ち上がってしまいました。
前半の登場人物に関しての描写や、考え直すよう皆んなが説得する所、その後それぞれが自分を納得させる考え方など、現実的でとても興味深かったです。
特に主人公の事なかれ主義というか肝心な時にちゃんとしない所が、馬鹿だわ馬鹿よこの男ーと思いながら読んでいたので、全然同情できなかったですね。
とても面白かったので、この作者の他の作品も読んでみたいと思います。 -
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コージー系でややロマンスもあり☆
ヒロインが上流階級というのが珍しい。
シリーズ1作目?
エイモリーという変わった名前のヒロインは、上流階級の若奥様。
夫のマイロはすごいハンサムで魅力的だがいささか放蕩者、旅行先の社交界で浮名を流しているため、夫婦仲は危機にひんしています。
元婚約者のギルが訪ねてきて、妹の結婚を止めるために力を貸して欲しいと頼む。
5年ぶりに会った彼は、彼女を恨むこともなく変わらずに穏やかで優しい。
夫が勝手に旅行するなら私だってと、エイモリーは皆が集まっている海辺の町へ同行することにする。
それを知った夫は嫉妬心むき出しで追いかけてくるのだが、その本心がエイモリーにはぜ -
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この古っぽい地文が新鮮。不吉な未来を暗示して読者の興味を引き立てる一方、アンフェアな面も併せ持つ神視点の地文は、最近では珍しい。
突っ込みどころ満載の御都合主義は否めないけど面白かった。
ミステリーを読み慣れている割に、真相に気付いたのは探偵が閃いた時。もっと単純な顛末だと思って読んでいたので、気付いた瞬間ゾッとした。
ダイアナの行動力と執念には感服するけれど、共感度は0。結局のところ、ダイアナはお金と贅沢な生活が欲しかっただけなのか。
ノートンのことだけではなく、ベンジャミンのことも一過性の情熱と衝動だけで愛した気になっていたのでは。ただ、そのうち彼に飽きてもお金があるから一緒に生きていけ -
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医者のノートンは、道で偶然出逢った美しい姉妹の一人、ダイアナに一目惚れし、恋の炎が燃え上がったまま結婚をするが…。もともと大執事のお嬢さんとして育てられたダイアナはノートンとの堅実な生活に耐えられず、さらに叔父さんの遺産が入ると嘘をつかれたと知り、ノートンを酷く憎むようになる。
そのうちダイアナの体調がすぐれなくなり、ノートンら医者の治療も虚しく死んでしまうのだが、そこにはダイアナの恐ろしいまでの執念と復讐が残されていた。
妻殺しの容疑をかけられたノートンだが、親友の私立探偵ニコルと再婚相手ネリーの兄、ノエルの活躍により、真相が明らかに。
ダイアナが死んだところで、続きが気になりすぎて最後の -
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Posted by ブクログ
祝・復刊!
小学校の図書室で借りたエラリー・クイーン(だと思う)の推理小説の章タイトルに「だれがロビンを殺したか」「ぼくだ、とスズメが言いました」とあったのが印象的で、ずっと心の底に覚えていた。幼い私はマザーグースが何たるかも知らなかったが、歌の通りに事件が起こる所謂童謡殺人に魅せられた原点だ。今回は完全にタイトル買い。間抜けな私はニコル・ハートが捜査を始めるまでトリックに気付かなかった。原語ならロビン、レンと渾名で呼び合うのは自然なんだろうけど、日本語訳のコマドリはともかくミソサザイは変てこに感じた。恋は盲目だとつくづく。
小学校時代に読んだ「だれがロビンを殺したか」が章タイトルの小説は、