武藤崇恵のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
フィルポッツの新訳、しかも短編集というのに驚き。
乱歩の選ぶベスト10にフィルポッツの『赤毛のレドメイン家』が選ばれていて、自分もそうだったが当時のミステリ好きならば大体読んでいたのが一昔前、いやもう二昔前のこと。『だれがコマドリを殺したのか?』が新訳で刊行されたときにも「今、フィルポッツ?」と思ったのだが、今度はまさかの短編集。時代で言えばホームズの頃なのだから、今読んだら古めかしいのではないかと若干危惧しながら読み始めた。
新訳ということで訳文、訳語自体に古さを感じさせないこともあり、全体としてとても面白く読むことができた。小説家としてミステリー以外にも多数の作品を書いているので、 -
Posted by ブクログ
携帯やパソコン、もちろんスマホもDNA鑑定も存在していなかった1924年の作品だが古臭さを感じることはなく、終盤のカーレースまでぐいぐいと惹き付けられた。意表をつくトリックには驚かされたが、大執事という聖職にありながら娘たちの心がわからない厳格な父親、優秀で容姿端麗だが気の弱い研究者肌の開業医ノートン、美人で派手好み、いつも現状に満足できない気ままなお嬢さまダイアナなど一人ひとりの性格描写が実に練り上げられているせいか、あまり大きな違和感を感じることはなかった。ノートンのようなタイプの開業医には、経営を任せられる資産家の妻、有能で愛想の良い看護師が絶対に必要!と納得できる結末。どんなに科学技術
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Posted by ブクログ
ネタバレミステリの古典的名作ということで読んでみた。前半はミステリというより熱烈な恋に落ちた男女とその顛末を描く愛憎劇。しかし女性の方が不可解な死を遂げ、それが1年以上経ってから事件は動き出す。
登場人物達の心理描写がしっかりしていたので謎解き部分が物足りないきらいはあったけど、最後まで読み通すことができました。
ここからネタバレ↓
憎しみと愛は表裏一体であるならば、ダイアナにとってやはりベンジャミン卿は本当に愛する人とはならなかったということ。それで巻き込まれて人生を台無しにされてしまったのだからある意味彼もかわいそうと言えなくもないか?
ダイアナの意志と決断力、そして実行力はその美貌と相まって悪