上野歩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『葬る』…親しい人を見送った経験のある人は、少なからずこの問題に向き合ったことがあるはずだろう。お墓や霊園、納骨堂での埋葬に限らず、樹木葬や散骨、手元供養など、時代とともに葬法の考え方も家族のあり方も移り変わっていく。
主人公の麻依は、鎌倉にある石材店の娘であり、墓石を売るのが仕事だ。彼女が25歳からいまの令和5年に45歳になるまで、様々な葬儀の依頼の中で会社を立ち上げていくのが、いくつかのエピソードで描かれている。
麻衣の会社もそうだが、葬儀会社などの事業者側からは、『散骨』はビジネスになると取組を始めることも多くなったようだ。調べたら2021年に事業者向けガイドラインまで厚生労働省から -
Posted by ブクログ
タイトルと表紙で「読んでみよう」と手に取りました。
初めて読む作家さんだったので、面白いかとっても不安でしたが、読み始めるとどんどん次が気になって読み進めてしまいました。
「祖父のどら焼きを作りたい」という一心から精一杯修行し、祖父の経歴を辿ったりと場面や時間、時代が移り変わっています。
本当に実在した給糧艦「間宮」そして間宮羊羹を題材とした物語と知って、とても驚きました。
戦時中にこんな船が実在したなんて、兵隊さんたちはとても心待ちにしていたことが伝わってきました。
そして主人公ワコの祖父川本を指導してくれたトメさん、何と会津出身とのこと。どうりで聞き慣れた言葉だなぁっと思いながら読んでおり -
Posted by ブクログ
菓子職人は、戦争中も餡子を炊くしかない。それを取り上げられたら、死ねというようなものだ。
主人公やその祖父、その周辺の人々が、自分の生業にしっかりしがみついて追究していく姿。私自身は器用で比較的なんでも出来てきたので、真摯に仕事を選んでこなかった。面白い仕事、やりがいのある仕事、社会的影響のある仕事、勉強ができることで違いが出る仕事。負うリスクやストレスが大きいと給料が多い。その程度。
自分だからこそできる役割を果たしつづけようと思ったことがあるだろうか。上記の中ではあるが、しがみついて追究するものではなく、結局手放してしまった。
人生残りをどう生きるか、その大事なヒントを頂いた気がする。