宮沢章夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
11年間かけて読みといた、「時間のかかる読書」をたったの2、3日で読んでしまっては申し訳なく、罪悪感を覚える。
が、なんといっても面白かった。とまらなかった!
「機械」を読んで思った感想を頭に入れて読み始めたけれど、この話をこれほどまでに考え、疑問を掘り下げると、こんなにも違った感想を持てるのかと、感動すらした。
はたしていままで、何冊の本をここまで考えて読んだだろうかと思った。もしかして一冊もないのではないだろうか?
「機械」にしても、ただ変なわけのわからない展開だなあーと思うだけで終わっていた。
ひとつひとつの文章に頷き、一緒に考え、なんだか読書会をしているようでした。 -
Posted by ブクログ
2022-2023年末年始にわたくしが読んだのは2015年単行本版である。
2022に亡くなった宮沢さん。ほんとに惜しい人をー。
NHKラジオ「すっぴん」に出てた時にはちょっとおかしな人くらいにしか思っていなかったけれど…。すみません。
「稽古場レポート「舞台とその周辺」」で、シティボーイズの方たちとの舞台の稽古風景が書かれているが、シティボーイズの3人がもう60代でとにかく休みたがって、流しで少し稽古してもすぐにタバコを吸いにいってしまって、自分の出番になると喫煙所から直接やってくる、というエピソードがある。
宮沢さんが亡くなってすぐの高橋源一郎の飛ぶ教室で、大竹まことさんが台本通りにや -
Posted by ブクログ
1時間で読み切れるくらいの短編「機械」を11年余りかけて読み、内容について深く分析した内容がまとめられていました
近所の本屋でオススメされてて、気になり購入
巻末に、その「機械」という作品が付録されているので、先にそれを読んでから本編を読んでも良いし、後からでもいいと思います…(私は後で読みました)
「機械」と言う作品は、句点や改行が極端に少なく、主人公の「私」が一人称で語り続ける文体
その語り口調や話の流れが歪み続けていて、つながりがあるようで無いような、そんな感じなので、分析しがいのある作品だったのかもしれません
読めば読むほど疑問が湧き、著者なりの解釈で紐解かれていて面白かった -
Posted by ブクログ
サブカルチャーは和製英語だと思っていたが、れっきとした英語だった。既存体制に対する怒りをエネルギーにして発展した「本流とは違う」文化を指す。日本のサブカルチャーもそうした怒りをエネルギーにスタートしているが、その後は独自の発展を遂げている。怒りというよりは「逸脱」であり、オタク、クールジャパン、ポップカルチャーなどを巻き込んで変遷していった過程を劇作家の宮沢章夫が語る。
昔は映画、音楽、演劇、漫画が主で、現在では他の要素も多く含んでかなり身軽なもの、大衆的であり「サブ」というよりは世間の大多数が嗜むものに変化していっているようだ。
本書の半分以上は1945~2014年の「サブカルチャーの履 -
Posted by ブクログ
もし本書を読まずに『機械』だけを読んでいたら、主人がお金を落とすというのは、落としたと称して実際は誰かにあげてしまってるのかな、と解釈したかもしれない。「困っているものには自分の家の地金を買う金銭まで遣ってしまって忘れている」という記述や、夜中に細君の部屋に忍び込んでお金を盗るくだりなど、その解釈が暗示されているフシもある。
...が、そんな平凡な読み方など一切せず、主人は持ったお金を文字通りに「落とす」という前提で話は始まる。最後まで飛躍的で強引な想像ばかり重ねながら、その点だけは他に解釈の余地がない。なるほど、そこが『機械』のツボであり、無限に楽しく読み続けるコツなんだな..と思ったりした -