【感想・ネタバレ】時間のかかる読書のレビュー

あらすじ

脱線、飛躍、妄想、のろのろ、ぐずぐず――横光利一の名作短編「機械」を11年かけて読んでみた。読書の楽しみはこんな端っこのところにある。本を愛する全ての人に捧げる伊藤整賞受賞作の名作。

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Posted by ブクログ

11年間かけて読みといた、「時間のかかる読書」をたったの2、3日で読んでしまっては申し訳なく、罪悪感を覚える。
が、なんといっても面白かった。とまらなかった!
「機械」を読んで思った感想を頭に入れて読み始めたけれど、この話をこれほどまでに考え、疑問を掘り下げると、こんなにも違った感想を持てるのかと、感動すらした。
はたしていままで、何冊の本をここまで考えて読んだだろうかと思った。もしかして一冊もないのではないだろうか?
「機械」にしても、ただ変なわけのわからない展開だなあーと思うだけで終わっていた。
ひとつひとつの文章に頷き、一緒に考え、なんだか読書会をしているようでした。

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2024年09月03日

Posted by ブクログ

1時間で読み切れるくらいの短編「機械」を11年余りかけて読み、内容について深く分析した内容がまとめられていました

近所の本屋でオススメされてて、気になり購入

巻末に、その「機械」という作品が付録されているので、先にそれを読んでから本編を読んでも良いし、後からでもいいと思います…(私は後で読みました)

「機械」と言う作品は、句点や改行が極端に少なく、主人公の「私」が一人称で語り続ける文体

その語り口調や話の流れが歪み続けていて、つながりがあるようで無いような、そんな感じなので、分析しがいのある作品だったのかもしれません

読めば読むほど疑問が湧き、著者なりの解釈で紐解かれていて面白かったです

著者の分析も何度も読み返さないとなかなか理解できなくて、そういう意味でも、タイトル通り時間のかかる読書になりました

「私」が「軽部」にカルシューム粉を浴びせられるシーン、「私」「軽部」「屋敷」の喧嘩、酒盛り、「主人」のお金を必ず落とすキャラぶり、話の展開の時系列がわからない、登場人物の外見がわからない、わからないだらけだけど、知りたくて何度も読み返したくなる、そういうことがよく感じられる内容でした

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2024年10月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「機械」という短編を11年もかけて読みその過程を綴ったもの。
こんな読書の仕方もあるのかと衝撃を受けた。
速読が全てではない。
ゆっくり読んで内容をかみしめ味わうことこそ至高の読書体験。
冊数に囚われず、何を読み何を感じ何を得たかに重きを置けるようになりたい。
真剣に考察したり、妄想を広げて 脱線したり…。
著者の本に対する熱量や愛を感じた。
自分もこんな読書体験をしてみたい。

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2024年09月26日

Posted by ブクログ

もし本書を読まずに『機械』だけを読んでいたら、主人がお金を落とすというのは、落としたと称して実際は誰かにあげてしまってるのかな、と解釈したかもしれない。「困っているものには自分の家の地金を買う金銭まで遣ってしまって忘れている」という記述や、夜中に細君の部屋に忍び込んでお金を盗るくだりなど、その解釈が暗示されているフシもある。
...が、そんな平凡な読み方など一切せず、主人は持ったお金を文字通りに「落とす」という前提で話は始まる。最後まで飛躍的で強引な想像ばかり重ねながら、その点だけは他に解釈の余地がない。なるほど、そこが『機械』のツボであり、無限に楽しく読み続けるコツなんだな..と思ったりした。
小説の根っこの部分で何か自分にとって不思議な思い込みを入れられると楽しい。稀に天然の誤読でそうなるときがあるけど、意外と気づけず、強引に辻褄を合わせて読み続けられたりする。そういうときの人間の創造力はなかなか凄いと思う。

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2024年05月19日

Posted by ブクログ

読み終わった。読み終わったよ。
時間かけようと思っていたのにあっというまだった。本編が気になってばっと一気よみしてしまって、どう解説?書くんだろう!と気になって読んでしまった。
ああ。少しずつ読もうとしてたのに。

狂人のこと、意識のこと、読書のこと。

一番面白かったのは詩の速読の意味のなさ、というところでそれが面白かった。
読書という時間の無駄をさらに時間をかけてあれやこれや考えて読むという、非常にスリリングな企画だ。
一冊くらいこんな読み方してみたい。

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2020年09月23日

Posted by ブクログ

横光利一の短編「機械」を読む、という連載を11年かけて行ったものの書籍化。巻末に「機械」全文が収録されていて、これを並行して読み進めることになる。昨年、ガルシア=マルケスの「百年の孤独」と友田とんの著作「『百年の孤独』を代わりに読む」とを併読した私にとっては、似たような経験を、一冊の中で行うようなものだった。
「百年の孤独」と違って文量も登場人物も少ないのだが、解りやすい短編ではない。語り手「私」の発する一文、一段落の長さが非常識で読みづらい(おそらく横光利一が意図した「私」の語り口なんだろうが…)。時間感覚がよく解らなくなるのは、「百年の孤独」と(まるで別の意味合いにおいて)同じ。それを本書の著者・宮沢章夫が、演劇の人らしく「からだ」を軸に置きつつ、時には局所的な事物(「カルシュームの粉」とか)に注目したりしながら、読み進める。
著者は11年かけられたが、私には無理な話で、所詮フィクションの人間関係に、そんなに長い時間付き合えない。読者の私はほぼ毎日読んだ。途中で栞を挟んで、二日も間をあければ、「さて、なんの話でしたっけ?」となってしまうような狭い世界の話が延々続くのだから、休んでいられない。雑誌の連載だったので、数ページごとに見出しが出てくるから、栞を挟むタイミングが頻繁に訪れるのは助かった(一回あたりの読書も数ページだったりした)。が、小説「機械」のほうはまるで切れ目がなく、無理やりプラスチック付箋を貼り付けて区切りとした(改行なんて待っていられないのだ)。

小説「機械」において、この感想を書くにあたって見返していて気づいた不明点。始まって4ページ目(本書ではp.303)にある一文(「フレーズ」に引いておく)。この一文の事実・認識がある「私」であるのに、何故に小説終盤では、あのような認識になるのだろうか。
今の「私」が振り返っているような語りと思って読んでいたのだが、その「私」の意識が一貫しているのかどうか、それも疑わしく感じてきたところだ。

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2026年04月30日

Posted by ブクログ

タイトルに魅かれて購入。
横光利一の『機械』を11年かけてゆっくりゆっくり読む試み。
やっぱり遅読はええですな。

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2015年03月13日

Posted by ブクログ

おおいに奇妙な小説を、おおいに奇妙な読み方をする。
狂人かもしれない語り手の、時間を曖昧にした語りをひとつひとつ丹念に読み解いていくことで、
最後に「語りによるからだ」を見出す地点まで至った。


主人
軽部
屋敷

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2015年01月28日

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