高槻成紀のレビュー一覧

  • 野生動物と共存できるか 保全生態学入門

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    人間による環境改変によって絶滅する生物の数は増える一方、という中で環境と動物の生態の関わり合いを論じる。「ジュニア新書」とはいえ食物連鎖の延長のような話にはとどまらない。

    絶滅しかかった野鳥を守るには、卵を襲うネズミの駆除は不可避。オオカミもおらずハンター人口も減っている日本で「シカの命を奪うのはかわいそう」という運動が続くと森林が全滅してしまう(この愛護運動は「バンビ症候群」といって世界中で見られるらしい)。一方で野生のゾウによる被害の甚大なスリランカの農村で、個体数調整を考えた著者に現地の人々は「ゾウを殺すなんてとんでもない」と答える。ゾウは神聖な動物なのだ。

    野生動物の保護はそれぞれ

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    2019年01月01日
  • ヤマケイ新書 唱歌「ふるさと」の生態学~ウサギはなぜいなくなったのか?

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    「 ふるさと」の歌詞の描写に生態学者がガチでレスする感じ。真面目にふざけている感じが大好き。「うさぎ追いし」とは?現代人にはなぜ馴染まないのかを徹底追及。「小鮒釣りし」を徹底追及。子ども時代?なんならメダカだろうという切り返しも秀逸。

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    2018年09月18日
  • ヤマケイ新書 シカ問題を考える

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    極端に走らないところに信頼感があります。
    私は勝手にオオカミの絶滅が関係していると考えていましたが、シカの増加の原因と思われるものを一つづつ消去していくやり方は説得力があります。
    先日読んだ「蘇我氏の古代」の吉村武彦さんも同様、わからないものはわからないとはっきり言い切れるのがすばらしい。

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    2016年03月01日
  • 野生動物と共存できるか 保全生態学入門

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    保全生態学入門のサブタイトルどおり理解しやすく目的を達成できた。
    第1章の生物が消えていくの中で、農業基盤整備事業を農業基本整備事業と書き違えたり、暗渠排水の説明が咀嚼不十分からか間違っていて気になった。

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    2014年03月07日
  • 野生動物と共存できるか 保全生態学入門

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    古本で購入。

    生物の保全には生態の保全が必要、つまりその生物を取り巻く環境の保全こそが重要。
    そこで力を発揮するのが、「保全生態学」。
    本書はこの保全生態学の基本について丁寧に書かれてます。

    今どんな問題が起きているか、絶滅とは、保全生態学とは、その実践とは、生物に対する価値観とは…
    そういったテーマごとに多くの具体例で話をしてくれるので、とてもわかりやすい。

    設定されてる読者層が中学生くらい(たぶん)のジュニア新書らしいつくり。
    語りかける文体なので、非常にとっつきやすいです。

    ただこの「ジュニア新書」、侮るなかれ。
    読んだことのある人はわかると思うけど、「どこが『ジュニア』だ」と

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    2013年07月27日
  • ヤマケイ新書 唱歌「ふるさと」の生態学~ウサギはなぜいなくなったのか?

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     「生態学」という、「生物と環境の関係を解明する学問」(p.18)で、生物をミクロに捉えるのではなく「生物どうし、あるいは生物と環境の関係を総合的にとらえる」(同)学問が専門の著者が、「故郷」の歌詞を読み解きながら、その歌詞に表現されている「里山」とはいかなる場所か、なぜ里山は破壊されたか、という話題を中心に語ったもの。まさに「学際的研究」という言葉が相応しいような、特に後半は社会的、歴史的な構造の変化についての考察がなされている。
     「故郷」の歌は、訳があって数年前に合唱をすることがあり、ピアノの伴奏の練習をやったり、いずれこれを英訳して歌う授業ができないかとか、そんなことを考えていて、たま

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    2025年11月13日
  • 人間の偏見 動物の言い分 動物の「イメージ」を科学する

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    非常に評価しづらい。人々が動物たちとどう接し、彼らそれぞれにどういう印象を持つように至ったのか。そして社会情勢の変遷によりどのような変化が生まれたのか。そして今後人々はどのように動物たちと接していくべきなのかをまとめた一冊。文章は(やや価値観が古いな、と思う部分は散見されるものの)読みやすく、紹介される事例も面白い。なのだが結論がどっちつかずの玉虫色で、「結局何が言いたいの?」が正直わかりづらい。もちろん、動物倫理なんて簡単に答えを出せる問題ではなく、「これはこう」なんて断言してしまったら必ずどこかの方面でカドが立つのはわかるのだが、やはり一冊の本としてはなんらかはっきりとした結論を提示してほ

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    2024年12月09日
  • 森の鹿と暮らした男

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    フランスの森の中で7年間ノロジカたちと暮らした著者の記録。森の友人を撮った写真付き。子どものころから集団での生活になじめなかっ著者は、19歳の時に家を出て森で暮らすようになる。そこで出会ったノロジカたちとの生き方、サバイバルではなくまさに共存である。
    現在も森の近くにパートナー(人間です)と暮らしながら、自然との共存を目指しているという。

    以前「狼の群れと暮らした男」を読んだときには、驚いたが共感はできなかった。本書は、ひそやかな共感を感じた。その違いは、何なのだろうか。じっくり考えたい。

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    2024年05月07日
  • 動物を守りたい君へ

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    野生動物(自然環境)をどのようして守るか、という側面について重点的に書かれた本でした。
    昨今話題になった「ペット」についての部分は冒頭の一生だけでしたし、そこで語られる内容は(その次の章の「家畜」の在り方についての章も含めて)他の本でも語られている情報も少なくなく、特別に新しい視点が提供される、という事はありません。
    とはいえ、岩波ジュニア新書という媒体で、中高生にとって読みやすい語り口で説明がされているので、動物倫理について考えてみたいという生徒にとっては良いきっかけになると思います。
    巻末の読書案内も(若干、本書の読者として想定されているであろう中高生にとっては難解な本もあるようには思いま

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    2021年11月29日
  • 人間の偏見 動物の言い分 動物の「イメージ」を科学する

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    ヒトが独擅場と自負する知能は狩猟する獣に共通する。遊牧は文明の原点で、定住化=農業開始は能力退化。人類は“自己家畜化”することで“繁栄”してきたが、ハンターではなくドンキーになることでもあった。農業はリスク低減に見えたが気候条件などで大きく成果に上下がでるし、水路確保などで広域代表権力の誕生も促した。採集捕食者とのバトル開始でもあった/著者の専門はシカ。遺体の腐敗はヒトに共通する、鎌倉、~桃山時代、江戸時代初期までよほどの貴人でなければ葬儀はせず“河原に置き捨て”だったらしい。葬儀と埋葬をするのはヒトだけ。「ヒトの肉の味」をケダモノに知らせないためか?
    クジラが海岸に打ち上げられても、食肉にせ

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    2020年02月09日
  • タヌキ学入門:かちかち山から3.11まで 身近な野生動物の意外な素顔

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    以下はメモ。
    「高速道路の野生動物の交通事故死亡ではタヌキが一番多く、40%にもなるという」
    「タヌキの事故死亡数は高速道路だけで年間1万頭になり、一般道を含めれば11万頭から34万頭にもなると推計されている(佐伯、2008)」
    「東京都町田市と隣接する神奈川県相模原市では毎年300頭もの動物が犠牲になり、そのうち47%がタヌキ、39%がハクビシン」

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    2018年12月30日
  • 人間の偏見 動物の言い分 動物の「イメージ」を科学する

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    ●人間が持っている動物に対してのイメージは文化や時代によって変わっていく。どうしてその動物にこういうイメージを抱くのか科学的にアプローチしている。

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    2018年10月31日
  • タヌキ学入門:かちかち山から3.11まで 身近な野生動物の意外な素顔

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    タヌキって身近なのに、以外と知らない。
    タヌキとキツネの輪郭変えずに模様変えると横顔だけだと、タヌキがキツネに見えてくる、などイラストも楽しい。短足で秋になると丸々と太り、腹が地面につきそうに。糞の分析でタヌキの1年の生活がしのばれる。身近にあるもの割と好き嫌いなしに食べて、タヌキが特殊化せずに、都市化にも柔軟にたくましく生きている姿が頼もしかった。
    改めて、愛すべきタヌキ。タヌキがのこのこ歩きまわれる日本でありたいと願う。

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    2017年02月22日
  • タヌキ学入門:かちかち山から3.11まで 身近な野生動物の意外な素顔

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    本一面タヌキタヌキとタヌキがゲシュタルト崩壊。タヌキが普通に生きていけるような里山が残っていったらいいのになあ。

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    2016年03月23日
  • タヌキ学入門:かちかち山から3.11まで 身近な野生動物の意外な素顔

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    誠文堂新光社のこのシリーズは文章の量と図版の量のバランスがとても良く、読みやすい。
    タヌキはキツネと並んで、日本人にとって特別な動物であり、三鷹辺りの住宅街でも生息しているらしいから、野生哺乳類の中では一番身近な動物かもしれない。(鼠はもっと都心でも生息しているけど、あれは野生とは言わないよね。)
    この本で一番感銘を受けたのは、震災の後タヌキが戻ってきて植生が豊かになったというところ。そして愚かな人間がせっかくタヌキたちが作り出したものを引っこ抜いて防潮堤を作ってしまうところ。
    こういう人間の愚かさにはいつもガッカリさせられる。自然界で生きるものたちはこんなことは決してしない。
    タヌキが暮らせ

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    2016年02月29日
  • タヌキ学入門:かちかち山から3.11まで 身近な野生動物の意外な素顔

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    著者は、タヌキをはじめとした日本人になじみの動物たちの生態の研究者。
    昔話に取り上げられるタヌキをキツネの比較や、設楽焼のタヌキ、タヌキ寝入りやタヌキ親父などの言い回しなど、親しみやすい取り上げをしているが、地道なフィールドワークによる食生活の調査なども面白い。
    311のタヌキへの影響などにもおよび、写真も多く広範囲で興味深い。

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    2016年02月14日
  • 野生動物と共存できるか 保全生態学入門

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    子供が読んだので語ろうと読む。自分の小学校時代に子供だけで山に冒険しに入りニホンカモシカを見た時は感動した(実は小学校にもシカが時々出没するほど田舎だった。熊に遭遇しなかった事が幸い)。小中で好きだった人の父親はハンターだったな…などと懐古。以降は本からの引用です//飼育動物と野生動物。メダカ。農業基本整備事業…田んぼに大きな変化。外来生物。農業被害、ラッコ、ウニ、昆布、漁獲高減。生息地の破壊。1900年は20億未満。世界中の島々…ヤギ…捕鯨のため。

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    2012年06月23日