高槻成紀のレビュー一覧
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試し読み
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保全生態学入門、と題し若い読者向けにまとめられている。内容は、というと若い読者向けとは思えないほどの密度。2006年に出版されたものであるが、まさに現在進行形で直面している問題であると読んでいて思った。印象的な記述がある。シカ食害について駆除反対派と駆除容認派が対立した時の事。『好きなものが違う人が出会えば対立するのは必定です。こうしてシカ派と植物派は対立しました。しかし、保全生態学の視点からすれば、どちらも間違っています。なぜなら、保全にとってたいせつなのはシカだけでも、植物だけでもなく、その両方がバランスをとって生きる、その状態を守ることだからです。』(p136より引用)この一文はまさに私
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ネタバレまず「シカ問題」と言った時、それは人間にとっての問題ということ。貴重な植物が鹿によって減ってるとか農作物被害とか、それも人間目線で何が大事か決めているだけ。また人間も生態系の一部であり、都市型生活の主流化がこの問題を作り出しているということ。人間の都合で適切な頭数を決めるというのはナンセンスだし、コントロールできるものでもない。人はずっと自然を恐れつつ依存して生きてきた。近代以降は減れば保護するし増えれば悩むの繰り返し。右肩上がりの消費社会を求めることの限界。このままじゃダメだと強く思う。あとそれからやたらと鹿の生態(好きな植物、そうでない植物、消化器官とか角、繁殖)に詳しくなれた気が…。読ん
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なぜか昔からタヌキが大好き…愛すべきタヌキの本、見つけてすぐに読み耽った
タヌキの生態のみならず、オオカミなどのほかの動物、タヌキの周りの植物なども教えてくれる。
タヌキ、ユニークな存在だ。
「科」は市、「属」は町など分類を住所にたとえて頂けたのも大変頭がスッキリした。
そして何よりも、人間による自然破壊や自然を顧みない姿勢に憤りを感じ、深く考えさせられた。
震災後、逞しく戻ってきてくれた植物やタヌキたちが、人間のための工事により再び立ち退きを余儀なくされたと知り、愕然とした。
自然の生命力、回復力を無視して破壊することが果たして復興と言えるのでしょうか?
キツネや野ウサギのように人 -
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ドバトや野生のイノシシに餌をあげようとする人の話をよく聞く。自分では“動物に優しい”善意の行動だと思っているのだろうが、私からすればそれが余計にたちが悪い。そんな餌やり行為は高槻先生が提唱する、野生動物の生態系における「リンク」という概念を理解すれば明らかな誤りだとわかる。
「良かれ」と思っている人に「あなたの考えはまったく間違っています。180度考えを変える必要があります」と言うのは難しいし、言ってもすぐには理解されないだろう。高槻先生は学者としての「良心」からか、動物に関する世間の頑固な誤謬に対し、回りくどい言い方を避けて直接的に読者に語りかけている。
例えば、渋谷のハチ公を例に出し、ハ -
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以前読んだ、同じ著者の「動物を守りたい君へ」がとても良かったのでこちらも子供に読み聞かせしました。同じように良書でした。こちらの方が焦点が絞れているとも言えます。
とても良いのは総合的だということです。基本的には生き物の話であるわけですが生態学ということで、社会科的な視点が必要になっています。たとえば、スリランカやモンゴルの暮らし、そこの人々の考え方や、ほんの少しだけれど歴史も。この本を読むと、多面的なものの見方をしなければいけないとか、人は社会全体で間違った通念を持ってしまうことがあるといった、とても大切なことが生き物という親しみやすい具体例を通して学べます。「かわいい!」とか「かわいそ -
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この本で、我が家では初めての試みとして、うちの小学生中学年の子供たちに中高生向けのジュニア新書を読み聞かせしてみました。そうしたところ結果的に我ながら素晴らしいと思える教育的効果があげられたので、今後もこのような本を探してぜひまた読み聞かせに使ってみたい、と思うまでの良書でした。
本書の何がそんなに良かったかというと、まず話題が子供たちにとってわかりやすいところから始まっているということです。子供たちも「動物を大切にしたい」という気持ちは当然持っています。さらに植物の受粉や動物の生態の話などは、授業でも断片的に少しずつ習っていることなので、全然わからない話ではありません。それで本書の良いと -
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ジュニア新書ということで子供むけに書かれた内容。
しかし生態学を知らない大人が読むにもわかりやすくてよくまとまった内容だった。
子供向けなのに「科学的な知見から」ということを徹底していたところがよかった。
私は大学である程度生物学を勉強したので、「生態学全般」に関してこの本を読むことで新たに発見したことは多くなかったけれど、恥ずかしながら個々の事象については新たに知ったことが多かった。
子供たちにこの本の内容を知ってほしいのはもちろんだが、ジュニアと言わず様々な人が読む価値があると思った。
アイヌの人々の考え方と保全生態学の考え方に通じるものがある、という記述に共感した。『カムイ・ユーカラ -
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[ 内容 ]
ラッコが駆除された。
漁業に被害を与えるという理由だったが、それで増えると思った漁獲量が減った。
なぜだろう?
怖いクマや爆発的に増えるシカと、ほんとうに共存できるのだろうか。
いま、新しい学問・保全生態学がさまざまなチャレンジを試みている。
私たちが野生動物とどう関わればいいかを考える手引きとなる一冊。
[ 目次 ]
1章 いま野生動物にこんな問題が
2章 絶滅はなぜおきるのだろう
3章 保全生態学が野生動物をまもる
4章 保全生態学のじっさい―私たちの研究から
5章 野生動物問題の解決に向けて
6章 野生動物をどう考えればいいか
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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生物多様性については、いまだに個人や企業として何をすれば良いのかよく分からないし、十分な理解がないままに「何をすればいいのか?」という答えを出すことに急いだり、アクションリストに先走ってしまう雰囲気になんとなく抵抗感がありました。
そんなモヤモヤしたなか、本書は、「そもそも何が問題なのだろう?」と自問自答させられるような、本質的な問いを投げかけてくれます。
動物は好きだけど、ペットと野生動物は全く違う。
何故そもそも野生動物は絶滅しているのか。
保全にとって大切なのはどういうバランスなのか。
そもそも人間優越、自然支配、自分たちの当たり前を見直す必要はないだろうか。
本当の豊かさとは。
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動物保全に詳しい高槻先生の著作。イラストがとても良い。本棚に飾ってもとても可愛らしい良い表紙だ。動物と日本人の言葉の関わり、生活と動物との関わり、立ち位置。色々なジャンルから動物のことを知ることができる本だと感じた。また、まえがきの部分はパンダファンには怒られるかもしれないが私は常日頃「パンダばっかり見に来るのはなぜだ」と腹を立てている人間なので、先生の記述を読んで少し溜飲が下がった。
さて、思った以上に評価が低い本だ。おそらく「動物の言い分」に寄っている箇所がないからだと思う。それはそうだ。動物に直接聞くしかない。これからの動物言語学の研究が進むことがあれば本当にわかってくるかもしれない。
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ネタバレ以下2点がキッカケで読むことになった『タヌキ学入門』(高槻成紀)。
❶『狼 その生態と歴史』(平岩米吉)にタヌキも出てきた時、関連書読みたくなってきた。
❷ 『エチュード春一番 第三曲幻想組曲「狼」』(萩原規子)で、
「キツネやタヌキが人を化かす話を、おぬしも少しは聞き知っているだろう。だが、昔話に言い伝えが残った時点で、キツネやタヌキの化け方がどれほど稚拙だったかがわかる。オオカミであれば、何一つ証拠を残さなかった。人間にほとんど気づかせなかったのだ。
(中略)
キツネやタヌキの比ではないな。人間の脳というものは、じつにたやすく幻影を見るのだ。その性癖につけいる技術さえあれば、人にはめ -
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案外、評価の低いレビューが多かったですが、私自身は楽しんで読むことができました。
かつて日本では人々の生活環境と自然の距離が近く、手が届く/目に触れるところに野生動物(タヌキヤキツネなど)がいました。
農耕・畜産などの性産業も身近で、「食べる」という行為は食糧を確保する=採集/収穫するか、獲物を狩猟する→調理する→食べる→片づける、という一連の行動すべてを指していました。
現代では都市化が進み、身近な動物は「ペット」か「動物園のアイドル化された動物」か「TVで見る自然番組」となり、動物に対して抱くイメージも、その実態とはかけ離れたものになっています。
たとえば、「可愛いアイドル」として絶 -
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タヌキと言うと人をたぶらかす、カチカチ山でウサギに一泡ふかされるといったイメージがある。しかしそれは人間が作り出したイメージで、もしタヌキが人なら、「そういうのを印象操作と言うんですよ」、「レッテル張りはやめてください」とどこかの誰かのように言いたくなるだろうなあ。
タヌキはポンポコポンと腹包みをたたいたり、ドロンと化けたりはしない。タヌキのおっとりしたイメージについて、ふっくらした体形からそのように思われていると著者は述べている。秋になるとおいしい果実類をたくさん食べるのでタヌキ山関に変身する。
タヌキが食べているものをフンから調査すると、植物の種子、葉、昆虫が多 -
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いわゆる「里山」と言われる場所が職場でもあり、シカは日常的に見る動物。
シカの害は耳に入ってくるものの、断片的だった。
シカが森林の遷移にどのように影響するかをしっかりまとめてくれて分かりやすい。
森林の高齢化
希少植物の減少
土壌の流出
シカが大きく影響していることがわかる。
それに付随して、
例えば、シカの反芻の仕組みだったり、シカに強い植物、シカから物理的、化学的に防御している植物などの紹介、シカの1年の過ごし方、出産など、シカ周辺についても詳しくなれる。
シカが増えている原因は何なのか?
温暖化?オオカミの絶滅?狩猟圧の低下?さまざまな説をあげつつ、そのどれにも原因をもとめていな